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小人族

よろしくお願いします。

小人さんたちの集落はニザヴェッリルという地下世界だった。


ボクとトールさんが山羊車から降りる前から、ボクたちのクルマ周辺に小さい人たちが「おお、お客じゃ」「オカマの雷神トールじゃないか」「あの娘っ子…見たことないの」と、ワラワラと寄ってきている。社交的で好奇心旺盛のようだ。


ボクたちが山羊車から降りると彼らが群がってくる。


小人族ドヴェルグは…ボクの太もも程度の身長しかなく、頭身も三、四頭身くらい。手足も相応に短いヒゲモジャなおじいさんだ。愛嬌もよくニコニコしていて、自分の身長よりも大きいハンマーを持っている。



「…あらン♡ ドヴェルグの皆さま方~っ。ご機嫌麗しゅう~ッ♡ 突然で悪いけど、今日はこの娘…お義母様のトコロの戦乙女ヴァルキュリーにアイテムを創って欲しいのよぉ~~ッ♡」


「よ、よろしくお願いしますっ」



トールさんに倣い、ボクも精一杯の笑顔で挨拶をする。ちなみにお尻の食い込みを直しても、すぐに元に戻ってしまうので、両手の指で布地を摘まんで無理やりに元の位置に戻すように、手でお尻を隠していた。





それから小人さんたちの長老格っていうか、代表の四人との話し合いになった。


「…ふむう。そこの娘っ子の…髪と肌の色を変えるアイテムを創れと?」


「はい。ボク、フレイヤの命令で、異世界に赴かなきゃならないんです。でも髪とか肌の色で任務に支障が出ちゃうと大変なので…」



ボクたちは彼らが用意してくれた椅子に座っている。

テーブル越しに対面に座っている小人さんのリーダーっぽい人たちは髪と髭が凄すぎて表情が良く分からない。オマケに眉毛も長いから細かい表情がさっぱりわからないけど、温和そうな様子だった。


だけど、他の三人の小人さんたちは落ち着かないらしく、ボクたちの周りにチョロチョロと群がっている。


ボクの後からは「この女子おなご、尻が剥き出しじゃ」「寒くないのかのぅ?」「突いたら怒るかのぅ?」などとヒソヒソ声が聞こえているので、お尻のガードが油断ならない。


だけど目の前の小人さんよりも周りにいる小人さんの動きが気になっていると、あっさりと話が付いたようだ。



「よし、他ならぬ雷神トールの頼みじゃ。承知したぞい。…ではお前さんの髪を触らせてくれんか?」



小人さんのリーダーっぽい人の一人が事もなげに言うと、他の三人も「よかろう」とのことだ。あまりにも簡単に承知してもらったのは、やっぱりトールさんのおかげなのかなぁ。こんな格好していても結構人徳あるのかもしれない。ボクは意外な事実に感心した。


それはそうと、この小人さん…ボクの髪を触りたいの…?

そりゃそうか、髪の色を変えるアイテムを創るんだから、職人としてボクの髪質とかを確認しないといけないよね。


ボクが承知すると、小人さんが「どれ、失礼するぞい」と、テーブルの上に乗ってきた。

そしてボクの髪をひと房手に取ると、髪や髭に覆われた顔を近づけて「うむむ」と唸っている。



「…これは…なんという髪質じゃ。しっとりとして、それでいてサラサラしておる…。絹のような滑らかな手触り…。これは正に至上の髪じゃわい…」



小人さんがボクの髪を手放しで褒めている。

ふふふ。

結構悪い気しないな。生前も美髪が密かな自慢だったけど、今はそれ以上みたいだね。


小人さんはボクの髪を何度も指で漉いて、指から何の抵抗もなく零れ落ちる髪をひとしきり堪能したあと、「…よし、髪は理解した。髪の色はワシに任せい」との事だった。



そして次の小人さんがとんでもないことを言ってきた。



「では次にお主の肌を触らせてくれ。…そうじゃのう。さっきからワシの前に突き出しているチチが気になってのう…」


「…ッ!?」



そういえばボクはさっきから両手でお尻をガードしているんで、確かに体勢的にはムネを小人さんに突き出している(?)体勢のようだ。

確かにおっぱいを差し出しているように見えなくもない。

ボクは思わず「ナニ言ってんの!?」と叫びそうになるのを堪えて、平静を装って聞いてみる。



「…あのー。ボクの肌を確認したいなら、肩の部分でどうですか…?」


「ワシらの国に住んどるのジジィばっかりでのう…。アンタみたいな女のチチには触れ合う機会がないんじゃ。な~に、心配いらん。その衣服から覗くちちを指で突くだけじゃ。お主の肌に関係する事でもあるのじゃし…。このワシの探求心を満足させてくれんか?」


「え…。そんなコトいわれても…」


「ジエラちゃん、指で突かれるくらいいいじゃない。減るモンでもないし」



ううっ。

まさかここにきて○仙人みたいな要求をされるとは思わなかった。でも初めて会った人にボクのおっぱいを突かせて良いモノかとも思う。


でも…確かに胸の谷間を強調するようなデザインの競泳水着鎧(?)を着込んでいるし…。

小人さんってボクたちとは種族も違うし、ボクのおっぱいに対して性欲っていうか、淫らな気持ちにならないかもしれない。

彼の言う「チチを突かせてくれ」っていうのも、あくまでしっかりとしたアイテムを創るための情報収集の一環なんだろう。


それに…。

ボ、ボクは(気持ち的には)男なんだ。こんな巨乳なんて脂肪の塊だと思えば恥ずかしくなんかないよ…ね?


ボクが迷っていると、他の小人さんがテーブルにあった箱から物凄い首飾りを出してきた。



「ワシらの腕を疑っておるのかの? …これはフレイヤの嬢ちゃんから頼まれていた『黄金の首飾りブリージンガメン』じゃ。この首飾りを創るのに余った黄金のインゴットの欠片があるでのう。その黄金を用いてお主用の宝飾品を創ってやるぞい。それに髪や肌の色を変える効果も付与することも出来るでな」



ボクの目の前に出された首飾りネックレス…『黄金の首飾りブリージンガメン』は物凄い精緻極まりない作品だった。

ただ置いてあるだけでキラキラと七色に光り輝いているし、黄金といっても、各種宝石も散りばめられてるみたいだ。

それにもかかわらず、こんなに成金趣味っていうかゴテゴテしているのに、下品っていう印象はみじんもなく、豪奢っていうか、お洒落っていうか…確かにこれ程までの作品は女神であるフレイヤにこそふさわしい作品だ。


だけど…お高いんでしょう?

ボクは代価を恐る恐る聞いてみた。



「…うん? そうじゃな。お主の乳を突かせて貰えるなら、フレイヤ嬢ちゃんの『黄金の首飾りブリージンガメン』とお主用の黄金の宝飾品を無料タダでよいぞ」




……。


はい?


こ、この…もの凄い金細工とボクのアイテムが…ボクのおっぱい突かせてあげれば、それで貰えるの?


ハダカにされて“○ろへ○”とか“ぱ○○ふ”とか“○ょいきょ○”とか“いんぐ○○んぐり”とかを要求されるんじゃなくて?


こ、これは…おっぱいをつんつんされるくらいどうってことないんじゃ…。

トールさんの言う通り、減るモンじゃないし……。


だけど、ボクのおっぱいを…そんなふうに使うのは…。

ここは即断一択よりも、最初はおっぱいの他にも対価が捻出できるか話し合うのもアリだよね。だめなようならおっぱいで。



「もし、ボクのおっぱいがダメとなったら、そのときは何が対価になるんですか?」


「元々フレイヤ嬢ちゃんに伝えてある『黄金の首飾りブリージンガメン』の代価はのう…黄金そのものの代金と、手間賃代わりに嬢ちゃんとワシら四人で飲み会…まあ接待じゃな。その予定じゃったんじゃが?」



ッッ!!?


ふ、フレイヤが…この小人さんたちと…お酒を……?




□ 妄想 □



「…ああ、私、酔っちゃったみたい…」


「ほうかほうか」


「…なんだか眠くなっちゃった…♡ いい気持ち…」



フレイヤは上機嫌。

それもそのはず。『黄金の首飾りブリージンガメン』という至高の宝物を手に入れたのだ。

そのおかげで、気分が高揚しているのだ。


終始、高いテンションで、早いペースで酒を煽っていく。



やがてフレイヤは疲れてしまったのか、くったりしてしまっていた。



「…ぐふふ。ワシらと同じペースで飲んどればこうなるわなぁ」


「ひっひっひ。ガキじゃあるまいし、男の住処にホイホイやって来て酔いつぶれるとは…。フレイヤ嬢ちゃんも期待しとったんじゃないか?」


「据え膳じゃあっ!」


「旦那のオーディンとも疎遠だっていうしの。どれ、ワシらが慰めてやろうか…!」



そしてフレイヤに危機が迫る…!



□ □ □



わーーーーーーーーッッ!!!!!!


この小人さんたちは人畜無害そうな振りして…なんてとんでもないことを…!

ボクのフレイヤの貞操の危機だ!!

飲み会なんて絶対に認めないぞ!



小人さんの話を聞いて決心がついた。

ボクのおっぱいなんかどうでもいい!

フレイヤを護らなきゃ!






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