~とあるアリスと音のない国~
5人目のアリスはとある国の音楽一家に生まれたアリスが不思議の国に迷うお話です。
今回のアリスが迷い込んだ国は【音のない国】その国に住む者は産まれた時から音を持たずして生まれてきそこに移住した者は音を自然と失くしていったそんな不思議の国にアリスは迷い込んだ。
そしてその国には一人だけ音を持つ男が存在した……。
そんな不思議な男とアリスの物語である……。
5人目のアリスはとある音楽一家に生まれたアリス、一見幸せそうに見えるがそうでもないみたいですよ・・・・・・・・・・・。
大きな部屋に大きなグランドピアノ……の前に座る少女がいたがその少女はピアノの鍵盤に手を伸ばす様子もなく寂しそうにピアノを見つめながらピアノの前の椅子に座っていた・・・・・・・・・。
「はぁ・・・・・・・・・・私こんなに嫌いだったけな・・・・・・・?『音楽』もっと昔は楽しかったような気がしたのに・・・・・・・。」
とため息をつきピアノの鍵盤に手を伸ばしピアノを人差し指一本で力なく抑えていった。
(ド―――――ド―――――・・・・・・・・ドレミレド―――――・・・・・・・。)
そんな単調な音押してアリスは心が壊れたようにニヤっとひきつるように笑った。
「もうこんな音でも嫌いになりかけてる・・・・・・・・それもこれもこの家のせいだ……本当は……好きなのに。」
と小さくつぶやくと、アリスの後ろにある両開きの扉が大きな音を立て開いて誰かが入ってきた。
「さっきから気色の悪い音色を立てているのは誰ですの?」
と言いアリスに近づいてきた。
その人に向かいアリスは、
「私よ、お母様。何か問題でも?」
すると、アリスの母親はアリスに向かって平手打ちをした。
「何を考えているのアリス?こんな気色悪い音をよくも奏でられたわね……私たちの家をお分かりなの?音楽一家なのよ?!」
すると、アリスは母親を睨みながら、
「音楽一家が何?なんなの?そんな為に私は嫌なことまでやらされなきゃならないの?」
すると、母親がアリスに澄んだ顔で、
「そうよ。あなた達子供は私たちの音楽の血筋を絶やさないために生産された子孫繁栄の為だけのただの道具よ・・・・・・・・・。」
その言葉にアリスの心の中で何かが崩れる音がした、そしてアリスは驚いたまま微動だにしなかった。
アリスは母親がそこまで酷い人だとは予想していなく何か慰めの言葉でも帰ってくると少しの期待を乗せ甘く見ていたらアリスの兄弟達と共に子供の事を『道具』としてしか見ていなかったと初めて知りアリスの中の今までのすべてが崩れていったのだ・・・・・・・・・・・・。
すると母親がアリスに向かって慰めるでもなくさらに追い詰めるような一言を浴びせた。
「ふっん……その程度で潰れているようじゃ道具すりゃ勤まらないじゃない……ただのゴミね。そんなゴミはこの家には必要ないわ……。」
と言う捨て台詞を吐きアリスがいる部屋から出ていった。
母親が出ていき扉が閉まるとアリスは再びピアノの方に向かいアリスは泣き声も上げずにサラサラと涙を流しながら、アリス自身が作った曲を弾いていた。
その曲はただ寂しくて哀しいだけの感情を真っ向から表していた・・・・・・・。
アリスはその曲を弾き終わると、ピアノの鍵盤の上に倒れてそのまま先ほどとは違い声を上げ号泣したが、アリスの泣き声はピアノの不協和音にかき消されアリスの悲痛を叫ぶ声に気付く者はいなかった。
そしてかなりの時間が経過しアリスは号泣しながら泣き疲れて鍵盤の上で寝ていたらしく目を開けムクッと起き上がると、ピアノの上にちょこんと座る長身の男が足を組みながら天を見つめていた。
その知らない男にアリスは寝起きながら声をかけた。
「誰だ・・・・・・・・・あんた?」
すると、ピアノの上に横になり両手を顎に乗せアリスの顔の近くでアリスに向かって、
「この屋敷の中でたった一人あなたの悲痛な叫びを聞いた者ですよ・・・・・・・・・・」
すると、アリスの顔は少し赤くなったがすぐ収まり男に、
「何のことだ?知らないが・・・・・・・・・」
と、知らないふりをしたアリスに男がアリスに、
「いけませんよ!自分の気持ちを押し殺して生きていくのはあなたにはして欲しくありません………。先ほどの気持ちを出し切っていたあなたの曲はとても素敵でしたし勇ましかった!!」
とアリスを褒めちぎる男にアリスは、
「な………何が言いたい・・・・・・・・・んだ?」
すると、男がアリスに、
「もう一度あのころの様に楽しく音楽したくないですか?」
するとアリスが男に向かって縦に首を下すと男が、
「それでは……初心に帰るために一度『音』の大切さを学びましょうアリス・・・・・・・。」
するとアリスが不思議そうに男の方を見ながら首をかしげた。
「音の・・・・・・・・・大切さ?」
すると男はアリスに手を差し伸べたてきたのでアリスは惹かれるように男の掌の上に手を重ねた。
すると男がアリスに、
「それでは行きましょう・・・・・・・・・。」
と言い男とアリスは部屋から跡形もなく消えてしまった。
男の手を握ってからアリスは気を失っていた……目を開けると一面の畑に咲くヒマワリが目に飛び込んできた。
その風景にアリスは圧倒されていると、後ろからアリスは肩を掴まれた!
「わぁっ!!な・・・・・・なんですか?」
とアリスが言うと、肩を掴んできた女の人は手で何かを伝えようとしていた。
「しゅ・・・・・・・・・手話?話せないの?」
と言い周りを見渡してみると、手話で会話する人たちでいっぱいだった。
その光景にアリスは驚愕し、
「どうゆうこと?」
と一人アタフタしているとその女の人の後ろから身長が高めの男と普通ぐらいのオーバーオールを着た女の子が走って来た。
「お~いそこの女の子退いてあげて!!作業の邪魔になってるから!!」
と手話で話さない男がアリスに近づいてきたその男の顔はアリスをここに連れてきた男の顔に似ていたが気のせいだろうと思い喋りかけた。
「あの・・・・・・・・ここって。」
すると、男がアリスに、
「不思議なんだろ?皆、喋らないから……。ここは【音のない国】と呼ばれる『消の国』だよ。ここで産まれた人々は元々『音』と言うものを知らないんだそして、ここに移住してきた人間の『音』も自然と奪ってしまう魔の国と呼ばれているよ。君はそんな国に何をしに来たんだい?」
すると、アリスは正直に男に話した。
「私、誰かに連れて来られたんですけど・・・・・・・・誰だか思い出せなくて……。」
すると、長身の男はアリスに、
「なら、おれんとこの仕事こいつと一緒に手伝ってくれよ!」
といいオーバーオールの女の子の肩を掴んだ。
女の子はアリスに親指を立てニコッと笑った。
そして、アリスは男の家に向かう途中に疑問を聞いてみた。
「どうして、あなたただけその・・・・・・言葉を。」
すると、男はアリスに、
「悪魔の子・・・・・・・・・・そう呼ばれていた。それ以外俺が喋り音を感じ取れる理由は知らないそしてこの国で俺だけしか『音』を感じ取ることをできない。それだけだ・・・・・・・・・。」
と急に態度が変わり、男の足の速さが早足になり自分の家に向かっていた。
そんな男の背中をオーバーオールの女の子は優しくたたき励ました姿を見てアリスは微笑ましく見つめることしかできなかった・・・・・・・・・・・・・。