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魔力ゼロと追放された私、なぜか王国の魔法を全部書き換えてしまいました  作者: 和三盆


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第27話「差を売る者」

それは、善意の顔をしていた。


【提案書】

技術未導入地域向け

特別支援契約のご案内

提供:東部連合商会


「……来たな」


レイナは、紙を伏せた。


「はい」


カイが、ため息をつく。


「一番、分かりやすい形で」


提案の内容は、単純だった。


・技術導入の初期費用、全額肩代わり

・運用管理は、商会が代行

・収益の一部を、長期で還元


「親切だな」


カイが、皮肉を込めて言う。


「条件を、見てください」


レイナは、ページをめくる。


小さな文字。


※管理権限は、商会に帰属

※契約解除には、違約金を要す

※改修・停止の判断は、商会協議事項


「……選択権を、奪ってる」


「ええ」


レイナは、静かに答える。


「“格差の不安”を、

商品にしています」


評議会。


今回は、商会の代表も同席していた。


「これは、支援だ」


代表は、堂々と言う。


「王国が是正しないと言った格差を、

我々が埋める」


「何が問題だ?」


「問題は」


レイナは、即座に返した。


「誰が、未来を決めるかです」


「契約は、自由意志だ」


代表が、肩をすくめる。


「選ばなければいい」


「“選ばない自由”が、

本当にありますか?」


レイナは、穏やかに問い返す。


「生活が苦しい」

「周囲との差が広がる」


「その状況で出される契約は」


「選択ではなく、

追い込みです」


ざわめき。


「……なら、

どうしろと言う」


商会代表が、苛立ちを見せる。


「王国が、

すべて面倒を見るのか?」


「いいえ」


レイナは、首を振った。


「取引を、

禁止もしません」


「ただし」


一枚の文書を、机に置く。


【追加規定案】

・管理権の独占禁止

・停止・撤退権は、地域側に帰属

・契約内容、完全公開義務


「……商売にならない」


「かもしれません」


レイナは、淡々と言う。


「でも」


「それでも成立する取引だけが」


「“選択を尊重した支援”です」


沈黙。


商会代表は、

しばらく黙り込んだ。


(……うまい)


(禁止しない)

(だが、旨味を削ぐ)


会合後。


廊下で、カイが呟く。


「敵を、作ったな」


「はい」


レイナは、否定しなかった。


「でも」


「ここで黙れば」


「選択制は、

形だけになります」


数週間後。


提案は、修正された。


条件は、厳しくなり、

利益は減った。


だが。


「……これなら」

「自分たちで決められる」


そう言って、

契約した村もあった。


夜。


レイナは、書類を閉じた。


「……差は、なくならないですね」


カイが言う。


「はい」


レイナは、静かに微笑む。


「でも」


「“利用される差”は、

減らせます」


魔力ゼロの少女は、

格差を消さなかった。


格差を、支配に変えさせなかった。


世界は、相変わらず不公平だ。


だが。


不公平を理由に、

未来を売り渡さなくていい世界に、

少しだけ近づいていた。

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