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魔力ゼロと追放された私、なぜか王国の魔法を全部書き換えてしまいました  作者: 和三盆


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第25話「続ける理由」

決議から、七日。


王都は、静かだった。


怒りも、賛美も、

大きな声にはならなかった。


それが、かえって不気味だった。


「……減ってるな」


カイが、数字の並んだ紙を見て言う。


「はい」


レイナは、うなずいた。


「技術利用の申請数、三割減」


「止めた村も、増えています」


「責任を明確にした結果が、これか」


「ええ」


レイナは、否定しなかった。


「“考える時間”が、

生まれたんです」


評議会。


今回は、議題が一つだけだった。


【議題】

技術運用を、今後も続けるか否か


極端な案も、出ている。


・全面停止

・研究凍結

・地方ごとの完全裁量


「……もはや、

続ける意味があるのか?」


老齢の官僚が、率直に言った。


「死者も出た」

「信頼も、揺らいだ」


「答えを、出す時だ」


全員の視線が、

レイナに集まる。


レイナは、すぐには話さなかった。


(理由)


(“便利だから”では足りない)

(“可能性があるから”でも、足りない)


深く息を吸う。


「続けるかどうかは」


レイナは、静かに言った。


「私が決めることではありません」


ざわめき。


「え?」


「逃げるのか?」


「違います」


レイナは、はっきり答えた。


「“決め方”を、

提案します」


「今後一年」


レイナは、円卓を見渡す。


「技術は、

“選択制”で続けます」


「使うか、使わないか」

「導入も、撤去も」


「すべて、地方の判断です」


「……王国は?」


「支援します」

「止めもしません」


「……それで、

意味があるのか?」


「あります」


レイナは、即答した。


「技術を使う理由が、

“自分たちの言葉”になります」


「誰かに押しつけられた便利は、

いつか憎まれます」


「選んだ結果の便利は、

守ろうとされます」


沈黙。


「一年後」


レイナは、続ける。


「結果を、すべて公開します」


「死者」

「利益」

「後悔」

「満足」


「続ける価値がないなら」


「その時、

やめましょう」


ざわめきが、

ゆっくりと静まっていく。


「……覚悟が要るな」


ディートリヒが、低く言う。


「はい」


レイナは、うなずく。


「続ける覚悟と」

「やめる覚悟」


「両方です」


数日後。


地方ごとに、

話し合いが始まった。


「うちは、使う」

「いや、様子を見る」

「一部だけ、残そう」


答えは、バラバラだった。


だが。


「自分たちで決めた」


その実感が、

怒りを和らげていた。


夜。


レイナは、王都の端で立ち止まった。


水装置の前。


明かりは、弱い。


だが、消えてはいない。


「……続ける理由」


カイが、隣で言う。


「見つかったか?」


レイナは、少し考えてから答えた。


「はい」


「“正しいから”じゃありません」


「“完璧だから”でもありません」


「でも」


装置を見る。


「考え続ける価値は、あります」


「間違えた時に、

やり直せるからです」


魔力ゼロの少女は、

未来を保証しなかった。


選び続ける権利だけを、残した。


それは、弱さではない。


世界が、

自分の足で立ち始めた証だった。

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