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-ある女の成り立ち-
家族は貧乏だった。
家を建てた借金を返すためだ。借金を返したあとは子どもの大学費用を貯めるために貧乏が強いられた。
お金を貯めるためには使わないこと。
怪我をしないこと。なにもしないこと。
食卓には鶏肉豚肉畑でとった野菜が並んだ。
私は覚えていないが、姉を保育園に送ったあと、母は家で内職をし私と兄は段ボールの柵に入れられた。
兄はチョコレートが好きで、抱っこしてチョコレート、抱っこして、と泣いていた。
3歳になった頃妹が産まれた。
私はあまりワガママになった記憶はないが、喋らない私を従姉や従兄や伯母が気を遣って一緒にいてくれたことを覚えている。
父と母は度々大きな喧嘩をした。
父の仕事は警察官で派出所から県警本部に移動した頃だろうか。家に帰る時間が徐々に遅くなり父の怒声が増えていった。
母はたまにパウンドケーキを焼いてくれた。美味しかったのを覚えている。
夜になると姉が私の陰部を腕で擦り上げてくることが増えた。そして私は王子さま役になり、お姫様の姉を悪者のお城から助けて、姉の陰部を腕で擦りあげる、というお芝居をすることが増えていた。
私もお姫様役がいい、といいながら先に寝てしまう姉に抱き締められながら、一人で隠れて自慰をするようになった。
妹が1歳になり、親戚から認知されてきた。私は少しずつ自分の存在を主張したい気持ちが増えてきた。
自慰の回数は増え、爪を噛み、服のタグがダメになるくらい指と爪の間を刺激した。
母は恥ずかしいからやめなさい、汚いからやめなさい、と手を叩いた。
私の行動には常に目的があって
無闇に楽しむ方法が分からない。
母親は気持ちの話より対面的なことを出来るでしょ、こうしないとダメ、と言ってくる。
寂しさが占めていたように思う。
知らない人は安全だ。
言葉を必要としないから。
側にいる人ほど怖かった。
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