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ホラー・ホラー風味

ラジオアプリ 心霊スポットマイク

作者: まい

 夏のホラー2022投稿用



「」 = セリフ

[] = ラジオ音声

〔〕 = 掲示板のコメント


 でお送りします。

 ある夏の日に、突如配信が開示された携帯端末アプリが有った。



 インディーズのアプリなら良くある事で、世の中にはそう言ったマイナー過ぎるアプリを見つけるのが異様に上手い人種も存在する。


 そんな人種の中にはネットの匿名(とくめい)掲示板で 面白いアプリを見つけた と発表会でもするかの様にスレッドをたてる者もいる。






 そんな掲示板サイトで、今日も提示されたアプリが。



 そのアプリは【心霊スポットマイク】とタイトルがあり、アプリの説明部分には単純な文章しかなかった。


 心霊スポットの中継ラジオアプリ


 詳細は書かれておらず、とてつもない説明ベタな製作者なのだろうと予測された。



 そのアプリだが、スレッドをたてた主も説明がヘタで、()み取れた意味は“若者(バカモノ)の悲鳴が聞けるアプリ”であるとだけで要領を得ない。


 だがそうしている内にスレッドが進むと、ごく一部だが自分も使ってみようとする勇者が現れる。


 その勇者が実際に使った感想だが、



〔ウヒヒ、メシウマwwww〕



 こいつも感想が下手だった。


 しかし何か面白そうなモノであるのは伝わったらしく、後続が出始めた。


 実際に聞いてみると、心霊スポットへ踏み入った者達が会話をしていたり、何か心霊現象っぽいナニカが起きて(おび)えたり。

 そこから本気で恐がって、小さな物音がするだけで上がる絶叫。 同時に展開する(みにく)い若者達の言い争い。


 最後は心霊スポットの恐怖に負けて逃げ出す所まで。


 その感想もチラホラと書き込まれていくが、一つの書き込みに注目が集まった。



〔これ、マジモンの生中継ラジオアプリかも知れん〕



 そこから始まる根拠の列挙。


 それをまとめると、現在地の直ぐ(そば)にある心霊スポットへ少し前に入っていった若者グループの声が、ラジオアプリから聞こえているらしい。


 他にも同様の声が上がり、国内各地の心霊スポットでの一連の恐怖体験がキリのいい所までパッキングされて、ランダムに流れている模様。



 ここまで証言らしきものが出始めてしまえば、信ぴょう性がイヤでも出てくる。


 次第に〔今から心霊スポットへ行ってくる!〕


 なんてコメントまで飛び出し、しばらくした後にラジオアプリを使って聞いている()()()者の音声がアプリで流れたりした。



〜〜〜〜〜〜



 そこまで行ってしまえば、ネット掲示板のオモチャになるまでが早かった。


 単純に若者が恐怖で錯乱(さくらん)する様子を(たの)しむ者以外も出てくるのは必定。


 各地の心霊スポットへ行って、掲示板で宣言したセリフを言うから自分を特定してみろとか言うのも現れたが、そいつらの放送は何故がアプリが採用してくれなかったりして笑いの種になった。





 ――――が、ある日の深夜。


 突然そのラジオアプリが静かになった。


 しかしそれは別に、アプリの放送(サービス)が終了した訳でも無い。


 なにやらカチャカチャと小さな音はするのだ。


 それに思わず、とある掲示板利用者の一人が声を発した。



 「なんだ?」



 と。


 するとアプリの方から、いきなり声が出た。



[なんだ?]



 と。


 急に変わった毛色の放送に、掲示板がざわめく。


「[なにが起きたんだ?]」


 利用者の一人が出す声と同じ言葉が、ラジオから流れて来ているのだ。


 他の掲示板利用者達も似たような状況だった。


 多くの利用者達が〔誰の声だ?〕〔急展開キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!〕と騒ぎ出す。


 そんな騒ぎの中、平静でいられない者が一人。


 そう、恐らく生中継されている当人。



〔もしかしたら俺かも〕


 なんて書き込む為に叩くキーボードの音が、ラジオアプリからも響いてくる。


〔いや、やっぱり俺だわ。 (キーボード)タイプ音が連動してるし〕


 確信したソイツがそう書き込むと、掲示板が盛り上がる。


〔アプリに心霊スポット認定されました!〕


 なんて書き込みも見られる。


 だがこの土地で、そんな不吉な話は聞いたことがない。


 そう思う中継中(推定)の人がコメントて反論するも、コメント稼ぎに見られてしまう様で、反応がイマイチだった。



 意地でも中継中の場所は自身のウチであると、利用者達に認めさせたい当人は頑張るが、やはり効果無し。


 どうすれば良いのかキーボードタイプの手を止めて「[う〜ん……]」と悩みだす。


 すると、そんな状態でラジオの方から音が聞こえた。




 [じゃらり]


   [じゃらり]




 金属の鎖の音にしか聞こえない、かなり重たい音。


 その音をラジオから聞きつけて、辺りを警戒(けいかい)する。



 が、何も見付からない。



 だが音がしているので、近くに何かあるはずだと見回し続ける掲示板利用者。




     [じゃらり]


 [じゃらり]




 ラジオから聞こえてくる鎖の音は大きくなる。


 流石に焦りが(つの)るが、音の発生源を特定できない。


 それでその焦りが怒りを産み、ふとした瞬間。







「[あ]」

「[あ]」 以降、ラジオは次の若者達の様子を流し始め、ネット掲示板では[あ]の人は以降で書き込みを行った様子は確認されなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] きゃー! ( >Д<;)
[良い点] 今回は一風変わって今風アイテムと環境、そして交流を用いたホラー。 見ず知らずのはずの相手と何かしたり話したりするというのも、考えたら不思議な話ですね。 [気になる点] 〇ルソナ3の時間経過…
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