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勇者は聖剣を抜く

 ノーマ一行が国内2番目に高い山『ムーンライト』に居る間、勇者たちは国内で1番高い山『サンライト』に登っていた。


「はあ、はあ、もう、苦しくて、動けない」


 賢者マギは早々にダウンした。


 マギは体力が無いのだ。


「俺が背負う。頑張ってのぼろーぜ」


「これは、兵のみんなを置いてきて、正解ですね。はあ、はあ」


 ミントも息をあげる。


 標高が高くなるにつれて、空気が薄くなっているのだ。


「依頼を全部こなしたら今度は聖剣の情報か。そりゃマギもダウンするよな」


 マギはシャインに運ばれながらぐったりしている。


「最近ハードスケジュールすぎます。ノーマが居ないときついです」



「だが、聖剣を誰かが抜ければ戦力は強くなるぜ」


「はあ、はあ、あははは、抜けるのがノーマだけだったりして、あははは」


「あり得る冗談だ」


「誰も抜けなかったらへこみますね」


「そういうのを考えるのは無しだぜ」


「・・・・・また魔物です。私が倒します!」


 ミントは現れたマウンテンベアーを瞬殺する。


「魔物の肉はそのまま放置して、先に進みましょう」


「そうだな」


 ノーマが居れば確実に回収したが、今はストレージを使えるマギがダウンしているのだ。





 ◇





 こうしてその後3日かけて聖剣の近くにたどり着く。


「ボスのお出ましか」


「ごおおおおおおおおお!」


聖剣を守るようにドラゴンが行く手を阻む。


「アタックブースト!ガードブースト!スピードブースト!」


 勇者は切り札の雷光斬を使わず、雷を剣に纏わせて連撃を繰り出す。


 賢者を庇って今度は勇者が疲弊したのだ。


 ドラゴンは勇者の直撃を受けよろけるが、まだ戦意を失わない。


「アタックブースト!ガードブースト!スピードブースト!」

 賢者は素早く作戦を立て直す。


 ミントに補助魔術を一通りかけ、ミントと勇者で挟み撃ちにしつつ攻撃を続ける。

 賢者も疲弊し、魔力が少なくなっている。


 賢者にドラゴンのブレスが放たれるが、魔術で土の壁を作り攻撃を防ぐ。


 その間にミントと勇者によってドラゴンが討たれ、地面に倒れる。


 勇者の瞬発的な戦闘力は他を圧倒的に凌駕している。


 だがそれでもノーマを必要としていた。


 ノーマが一緒に居れば戦う前に、勇者パーティーの体調を整えて戦闘に臨むことが出来ただろう。


 先ほどのドラゴン戦も、ノーマが同行していれば勇者の雷光斬であっという間にケリがついていた。


 ノーマが居れば斥候能力で魔物を巧みに回避したり奇襲をかけることが出来た。


 ノーマは戦闘継続能力も高く、野営の見回りも得意だ。


 ノーマはマギが倒れても魔術係として動くことも出来るオールラウンダーで、細かい手助けを積み重ね、皆の負担を減らすことが出来る。


 戦う前に有利な状況を作り出すという、一見すると分かりにくいノーマの能力を勇者パーティーは痛いほど分かっていた。


 何もわからず自身で魔物狩りをした事が無い者はノーマを軽く見る者が多い。


 だが実力者の多くはノーマを欲しがる。


「聖剣を抜きに行きましょう」


「そうだな、ん?頭に響くような声が聞こえねーか?」


「それ、聖剣の声。シャインが聖剣に選ばれた」


「聖剣『サンライト』らしいぜ」


「伝承、通りの名前」


 勇者は聖剣を抜く。


「やりましたよ!早くこの山から下りてノーマを探しましょう」


「ミント、ノーマに会いたいのは分かるが、まだ場所も分からねーんだ。やみくもに探しても無駄だぜ」


 ミントは赤くなった。


「大丈夫、連れ戻す」


 賢者がミントの頭を撫でた。


 こうして勇者パーティーは下山する。


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