勇者パーティーVSブラックギャング
ツーはボスにミーアを差し出した。
ボスは少し考える。
村のごみどもに舐められるのはいけねえ。
だが女を早く味わうのも大事。
ボスはミーアを嘗め回すように見た。
「村は後で確実に従わせる。後はワンに任せる」
「ボス!何かがこっちに向かってくる!」
「任せた」
ボスはミーアを抱え、走って街に戻っていった。
◇
ボスは街に戻る前にミーアを見る。
月明かりに照らされ、ミーアは魅力的に見えた。
「ヒール!リカバリー!」
ボスはミーアに回復魔術を使い、ミーアの頬をパンパンと叩く。
隷属の首輪をミーアに嵌めたが、支配するには心を折る必要がある。
ミーアが起きると急いでボスから離れようとする。
「おっと待ちな!」
ミーアの腹を蹴る。
ミーアの動きをボスはじっくりと眺めた。
ミーアが自身の着る外套を掴んだのを見逃さない。
ミーアの外套を奪い取る。
「か、返して!」
ボスは口角を釣り上げた。
ミーアの腹に拳を叩きこみ、ミーアを黙らせた後、外套をほおり投げる。
「ファイア!ファイア!ファイア!」
外套を燃やす。
「ち!丈夫な外套だ」
外套を枝にぶら下げ、斧で何度も叩いてボロボロにする。
ミーアは思い出す。
ノーマに買ってもらった大切な思い出。
思い出の外套。
ボスはミーアの表情を確認し、反応を確かめる。
ミーアがブーツに手を当てた。
そのブーツも奪い取って斧でボロボロにしていく。
ミーアが初めてノーマに会って初めてプレゼントされたブーツ。
私の足を気遣ってくれて、ノーマが作ってくれた大切な物。
ミーアの瞳から涙がこぼれる。
「う、ああああああ!ああああ」
ボスがミーアに近づくと、ミーアは左手の指輪を庇うように隠した。
「その指輪をよこせ!」
「い、いや」
「いいからよこせ!」
「いや!」
ミーアはカメのように丸まり指輪を守る。
この指輪はノーマにプロポーズされてもらった大切な指輪。
ボスはミーアを上から蹴る。
「痛い目に会いたくなければ渡せ!」
「いや!いや!」
ボスは何度もミーアの背中を踏みつける。
「いい加減に従え!」
ミーアを思いっきり蹴り上げ、ミーアが吹き飛ばされる。
「殺しちまったか!」
ミーアの体が光り、指輪が割れた。
「はははは!守りの効果がついていたか!ラッキーだったな!」
ミーアは割れた指輪を見ていた。
その体は小さく震える。
◇
ノーマはミーアを追うが、ワンに足止めされた。
「スピードブースト!アタックブースト!ガードブースト!」
俺は自分に補助魔法をかける。
きゅうが大きくなり地面に着地する。
「ツーを倒したのか?」
「お前と同じ顔の奴か?」
男の表情が険しくなる。
「本気を出す!俺はナンバーワンの幹部だ!ワンと言われるその意味を教えてやる!」
腰から短剣を取り出しその短剣を握ると、短剣がどす黒い色の魔力を発した。
「オロチ!」
短剣から9体の魔力で出来た大蛇が俺に迫る。
聖剣ムーンライトを取り出し、大蛇を斬っていく。
「何故斬れる!魔術攻撃以外で倒すことは出来ない!」
『ふっふー。僕は精霊だからね。剣自体が魔力を纏っているのさ。』
「相手には聞こえてないけどな」
『君にアピールしているのさ』
きゅうは狐火を使って大蛇を焼き、消滅させた。
「狐の炎が強くなっているのか!オロチすべてを消されただと!」
「ファイア!ファイア!」
魔術攻撃で牽制しつつ聖剣で斬りつけようとするが、ワンはバックステップをしつつもう一回オロチを使った。
俺ときゅうでオロチを全て倒し、ワンに迫るが、ワンは大した抵抗も出来ず斬られ倒れた。
恐らくオロチを使った短剣は魔剣。
使用者の代償を糧に力を発揮する物だ。
きゅうがその場に座り込む。
きゅうはもう限界だろう。
「きゅう、ミーアを助けてくる。隠れていろ」
「きゅう~」
力なくきゅうが鳴いた。
◇
「見つけたぞ!」
『愛しいミーアは無事だったね』
「ボスの奴、俺に気づいたぞ。あいつは斥候の能力があるのか?」
『君と同じスーパーノービスかもね』
「なら俺以外で初めて見るな」
「1人で追って来たか!なめるなよ!」
ボスの斧と俺の聖剣で打ち合う。
距離を取ると、「「スピードブースト!アタックブースト!ガードブースト!」」とお互いに同じ魔術を使う。
「おめーも同じか」
「スーパーノービスか?」
『同じだね』
「後ろから勇者が来た」
『わお!流石勇者!おいしい所でやって来るね。サンライトが戦いたいって言ってるよ』
「ノーマ!俺が倒すぜ!ミーアを助けろ!」
「勇者、必殺技を使って雷光斬も使って、戦い続きで疲れてないか?」
「問題無いぜ」
「ボスはスーパーノービスかもしれないぞ」
「ただのスーパーノービスなら負けないぜ」
ボスが激高する。
「舐めるなよ!お前は勇者で粋がってるかもしれねーが、勝つのは俺だ!」
「ただのスーパーノービスがいい気になるな!」
勇者とボスが言い争っている内に俺はミーアを助ける。
ミーアは俺に抱き着いて震えた。
「外套もブーツも指輪も無くなっちゃった」
「ミーアが無事ならいいんだ」
俺はミーアを抱えて戦いから距離を取る。
勇者とボスが打ち合う。
「ねえ、さっきノーマがシャインの事を心配してたよね?助けなくていいの?」
「大丈夫だ」
勇者とボスが離れた瞬間ボスは「ファイア」を使う。
「動きがバレバレだぜ!」
勇者は魔術剣でファイアを切った。
ノーマが良く使う戦い方だ。
「なぜ俺の動きが読める!」
「読んでねーよ。だが、動きがぎこちないぜ」
「訳が分からん!」
「ノーマと散々戦ってきた!それに比べてお前の動きはぎこちない!」
「スーパーノービスをバカにするな!」
「してねーよ!だが、スーパーノービスになっただけで満足しているお前には負けねーぜ!」
勇者はボスに斬りつけ、ボスの動きが悪くなってくる。
それからは一方的だった。
勇者が何度もボスに攻撃を当て、ボスが倒れた。
勇者はその場に座り、ぜえぜえと呼吸を荒くした。
「な?疲れただろ?」
俺は得意げに勇者に言った。
「ノーマは本当に勇者が疲れるかどうかを気にしてたんだね」
「はあ!はあ、疲れた。ノーマ、お前よりはやりやすかった。ただのスーパーノービスとノーマを比べるとのノーマの厄介さが良く分かる」
『ふふ、サンライトもノーマを褒めているよ』
「ムーンライト、持ってるのも疲れるから消すぞ」
『待って待って!僕を君の左手の甲に紋章として浮かび上がらせる事で、消しても話が出来るよ』
「いやいいよ。後でな」
『話が出来ないとさみしいよ。それに君の【後で】はずっとやらないよね?』
俺は無言で聖剣を消した。
消すかどうかの権限は俺が握っている。
ムーンライト、グッドナイト。
「聖剣と話をして楽しそう。私にもなんて言ってるか教えて」
「もう消したから話は出来ない。勇者、歩けるか?」
「歩くぜ」
道なりに村へ向かって歩くと、きゅうが出てくる。
「きゅう~」
「きゅう、無事で良かったよ」
ミーアがきゅうを抱きしめた。
◇
「ブラックギャング!お前らのボスは俺が倒したぜ!今すぐ街に帰れ!」
村に着くとまだブラックギャングが残っていたので、勇者の大声で退散してもらった。
「声を出すのも疲れるぜ」
「お疲れ、帰ったらゆっくり寝てくれ」
こうして戦いは終わった。
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