ミントは落ち込む
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勇者パーティーは100の兵を引き連れ、北へと向かっていた。
「ここから森に入っていけば聖剣ムーンライトがあるぜ」
「待って、ナイツ領に、向かう」
賢者が息を切らす。
「普通に動けるのは私とシャインだけです。ナイツ領に向かいましょう」
「そうか、分かったぜ」
勇者は体力がある為皆の疲労に気づかなかった。
ペースを落としてナイツ領に向かう。
ノーマだけであれば簡単に進める道でも、勇者パーティーにとっては険しい道であった。
更に100の兵を引き連れ、道の周辺に斥候を放ち、闘いつつ進むことで勇者パーティーの歩みは遅れた。
ナイツ領に着くと街の皆が外に出て出迎え、自然にパレードのような状態となった。
ゲットの屋敷と宿すべてを使い、皆をベッドに休ませると、ノーマの情報が集まってきた。
ミントは熱心にノーマの情報を収集する。
「・・・・・という事をノーマがしていたようです」
ミントは勇者と賢者を呼んで話をする。
「ノーマ、スライムとゴーレムとドラゴンは全部自分で倒せるだろーが」
勇者が渋い顔をした。
「依頼、受けた時には、分かってた事。やるしかない」
「マギ、ノーマはどこに向かったと思います?」
「向かったのはこの国の南部、道を使わず隠れて逃げた、ノーマは国の中央とこの北部からは確実に逃げる。東部と西部は領主がめんどくさい、だから東部と西部は行かない」
「確かにそうだぜ」
「早く向かいましょう!」
「今は魔物狩りを進めるぜ」
ミントがしゅんとする。
「今日はゆっくり休んで、明日からスライム狩りだぜ」
◇
勇者パーティーが100の兵を引き連れ森に入ると、数百のスライムの群れがうごめく。
「魔物に聖剣の力を試すぜ。聖剣サンライト!」
何も持たない勇者の手に聖剣が姿を現す。
聖剣は持ち主の意思で出したり消したりできる。
勇者は聖剣を構え、「サンフラッシュ!」と叫ぶ。
聖剣サンライトの特殊能力で、1日に1回だけ使える特殊攻撃だ。
勇者が聖剣を横に振ると、光の斬撃が地を這うように飛び、勇者の前に居たスライムと木を両断する。
「す、すごいです!」
前に居たスライムと木を一気に倒し、木が倒れていく。
後ろで見ていた兵もざわめく。
勇者は聖剣をじっと眺める。
「ん?何?」
賢者が勇者の様子に気づく。
「いや、何でもない。残ったスライムを倒すぜ」
勇者が聖剣に太陽の光を纏わせ、スライムを倒していく。
賢者と勇者の力でその日の内にスライムを狩りつくした。
ミントは料理係を務めてその日はサポートに回る。
ミントは魔術攻撃が使えずスライムと相性が悪かったのだ。
◇
「次はゴーレムだぜ。試したい技がある」
前には数十体のゴーレムがおり、勇者に迫ってくる。
「シャインが技を使います!後ろに下がってください!」
ミントが皆を後ろに下がらせる。
勇者は聖剣のサンスラッシュの太陽の力と、雷光斬の雷の力と技を聖剣に合わせて振る。
「真・雷光斬!」
斬撃が飛び、複数のゴーレムが音を立てて倒れる。
さらに後ろの地形を削り、轟音が響く。
「思った通りだ!この技は次も使えるぜ!」
「す、凄すぎます」
「後は俺とマギで倒すぜ」
残ったゴーレムを勇者と賢者が倒していく。
ミントは暗い顔で2人を見つめた。
「私の出番が無いです」
ゴーレムは勇者と賢者を中心に討伐された。
◇
「最後はドラゴンですよ」
ドラゴンに大人数で挑むと犠牲が出る可能性が高い為、兵には街で休んでもらい、勇者パーティーだけで対峙する。
ドラゴンの体は大きく青い。
氷のブレスを吐いてくる厄介な存在だ。
「真・雷光斬!」
ドラゴンが勇者の攻撃で倒れる。
「1撃!」
「この聖剣はなかなかいいぜ!」
「今回私の出番が無いです」
「それはノーマの作戦だぜ。ワザと魔術攻撃じゃないと倒しにくい魔物を残して俺達を足止めしている」
「次は、聖剣ムーンライト、ミントが選ばれるかも」
「私じゃ無理ですよ」
ミントは完全に自信を失い、落ち込んでいた。
力では勇者パーティーの皆に及ばず、今回は連続で活躍できなかったのだ。
しかも思いを寄せるノーマには会うことが出来ず、探索もままならない。
勇者と賢者は顔を見合わせた。
「きょうはナイツ領の街に戻ってゆっくり休もうぜ」
「今日は、休む」
マギがミントの背中を撫でる。
「そうですね。帰りましょう」
◇
【ナイツ領の街】
「ミント、今日はゆっくり休んで」
「・・・・・そうですね。休みます」
ミントは歩いていった。
「ミント、落ち込んでる」
「ノーマには会えず、魔物狩りもミントと相性が悪かった。原因は全部ノーマだぜ」
「領主に相談してみる。ミントは強くて良い子、輝ける場所がある。悪いのはノーマ」
ノーマは知らないうちに悪口を言われていた。
ノーマよりミントに甘い勇者と賢者なのである。
勇者と賢者はすぐ領主に相談に行く。
ミントの体調によっては予定の変更もあり得るのだ。
勇者と賢者の話に領主ゲットは苦笑する。
「話は分かった。ここは魔物との戦いには事欠かない。ミントには前に出てもらい、魔物と闘ってもらうのはどうだ?」
「だが、ミントは早くノーマを探したいとも思っているぜ。マギはどう思う?」
「分からない。ミントに直接聞いてみるべき」
「そうだな。俺から話をしてみるぜ」
「結論は後でも構わん。協力できる事はしよう」
「明日の朝、食事をしながら話す」
「そうだな、今日は休んでもらうぜ」
◇
【明日の朝の宿屋】
ミントが食事を取るのを勇者と賢者が見つめる。
「な、何ですか?」
「これからの方針だが、この領には魔物がまだ多く居る。聖剣ムーンライトを取りに行くか、魔物狩りを続けるか考え中だ。ミントの意見を聞きたい」
「ミントは、どうしたい?」
賢者がやさしく聞いた。
「私は、ここで魔物を狩りたいです。聖剣はシャインとマギで行ってきてください」
「だが、俺は聖剣を持ってるぜ。次はミントが選ばれるかもしれない」
「私じゃ無理ですよ」
「だが!」賢者は勇者の口をふさいだ。
「分かった。私とシャインで行ってくる。100の兵はミントに任せる」
こうして勇者と賢者は国内で2番目に高い山、ムーンライトに登る事になった。
◇
賢者は勇者におんぶされる。
「もう、苦しい」
「流石に、疲れるぜ。魔物が多いし、山は険しい。ミントが居た方が良かったぜ」
「しょうがない。ミントは落ち込んでる。無理に連れて行くと危ない。それにあの子はノーマと違ってまじめ」
「そうだな。だが、ノーマは簡単に登ったんだよな?」
「ノーマなら、簡単に登れる」
「あいつはこういうのが得意だ」
ノーマは特化した力は無いが総合力に秀でていた。
「あいつなら、疲れずに山の上に登って、万全の状態で戦えるぜ。しかも、その気になれば魔物から迂回して戦闘を避けることも出来る」
「ぐおおおおおお」
「サーベルベアか!」
賢者を下ろして聖剣で斬り倒す。
「少し、ペースを落とすぜ」
「賛成」
「サンライトより低い山だから、舐めてたぜ。ここは、サンライトよりきつい。ドラゴンは出てこないが、魔物の数が多い」
「ゆっくり、行く」
◇
「あったぜ!やっと着いた」
数日かけて山を登ると、そこには月の光のように輝く刀が岩に突き刺さっていた。
「聞こえるか?答えてくれ・・・・・駄目だな。マギ、ムーンライトの声は聞こえるか?」
「ダメ、聞こえない」
「ん、ムーンライトの声は聞こえないが、サンライトがムーンライトの声を聞けるらしい。ノーマがムーンライトに選ばれたけど、抜かずに立ち去ったらしいぜ」
勇者と賢者は顔を見合わせ、渋い顔をした。
「ノーマなら、そういう事やる」
「それと、こっちの声はムーンライトに届いている。話をして大丈夫だぜ」
「聖剣ムーンライト、あなたをノーマに届ける方法、ある?」
「ノーマを連れてきて欲しいって言ってるぜ」
「絶対来ない、他の方法、求める」
「聖剣サンライトを出しっぱなしにすれば、サンライトの中で眠ることが出来るみたいだぜ。ただし、ずっといる事は出来ない。時間切れになったらここに戻るらしい」
「時間、どのくらい、持つ?」
「分からないが、1か月は行けそうだと、言っているぜ」
「十分、サンライトの中で眠って」
聖剣ムーンライトが光の粒子に変わり吸い込まれるようにサンライトの中に入っていった。
賢者が苦しそうな顔をした。
「どうした?」
「サンライト、出したままにすると、おんぶしてもらえない」
聖剣サンライトは大きく、持ち歩くとなると勇者が背中で背負う事になる。
「・・・・・頑張って降りるぞ。出来るだけお姫様抱っこをするぜ」
「・・・・・うん」
賢者はうれしい様な苦しい様な微妙な顔をした。
◇
勇者と賢者は疲弊しながら山を下り、その後何とかナイツ領に帰還した。
領主の屋敷に向かう。
ナイツ領の領主の屋敷には、勇者パーティーの部下である斥候ジョブの者達が泊っており、連絡係を務めていた。
「勇者殿と賢者殿!どうされました!?」
「ミントは居るか?」
「今は遠征中です。それより、ボロボロじゃないですか!」
「聖剣ムーンライト、取りに行って戻るの、苦戦した」
「今日はすぐ休んでください!詳しい話は明日聞きます。ベッドはここを使ってください!」
「すまない。休ませてもらうぜ」
賢者は勇者に抱えられて安心したように眠った。
賢者をベッドに寝かせると、勇者もすぐに眠りに落ちる。
その後ミントが帰って来るが、魔物狩りが終わらず、勇者と賢者が先行して南を目指す事になった。
決め手はミントの「早くノーマに聖剣を渡しましょう!」の一言だった。
勇者と賢者は徐々にノーマに追いついていく。
ノーマはミーアに恋をしていた。
その事でノーマの動きが遅れ、ノーマは勇者と賢者に追い詰められていく。




