そして役場へ。
近づいてよく見ると、確かにバス停の形だけど時間も書かれてないし、これで馬車?が来るのかな?
わたしの不思議そうな様子を見たシノムンさんが言うには、
「これはね、馬車が近づくと光るんだよ、ここにお客さんが来たことも馬車に伝えてくれるんだ」
はたして…バス停みたいな円形の部分が黄色く光だした…
少しすると、
「よぉ~、なんだぁカミさんどーしたあ?」
「おはよう、グラル。こちらのお嬢さんは、あー、迷子のお嬢さんだ」
「おはようございます…」
「おーぅ、おはよぅ~」
なかなかものおじしない?方のようだ。それよりもあれ、馬じゃないよね?!
乗車部分を引っ張っていたのは…む、虫…。
どーみてもどでっかいダンゴムシーーーー!!!!
いやいや、いやいやいや、お顔だけ漫画チックなのは何なの、どうしたの??!つぶらな瞳すぎるでしょ…。
ちょっとフリーズしてるうちに馬車?のジュウニンになってた。そしてなかなかスピード出てる!風が気持ちいいかも。
落ち着いてきたので馬?について聞いてみたら、
「あぁ、カオリの居たところにも馬はいたんだね。あっちは軍の領分だから王都とかにはいるはずだ。
で、庶民の馬といえばこの『トリリラ』って言う生き物だ。小さいのもいてダンゴムシは虫、引っ張ってくれてるこいつは動物だ。カオリの居た世界にはこういうのはいなかったの?」
いやいや、いやいやいや、いやいやいやいや!
居ましたけれども。居ましたけれども!!!
「確かに小さいのは居ましたけれども……………こんな、こんなのは居ませんでしたよ?!ていうか、ダンゴムシなのにパワフルですね?!」
「姿は同じでもこちらは動物だからね、そりゃ違うさ」
む、むむむ…。
『当然だろ?』みたいな顔されても。
異世界だ。自分は今!!異世界にいる!!
そんなこんなで役場へ着いた。
…道中はなんていうか、巨大ダンゴムシしかみてなかったからよく覚えてない…。
「ほいじゃおふたりさん、またな~」
グラルさんと愉快な馬?はこうして次のお客さんを乗せに向かった、完。
……………………。
ヤバイな、もう疲れてきた。ところで役場ではなにするんだっけ?服を渡すんだっけ?
到着した役場はレンガ造りで平屋の、何だか平べったいとしかいえない感じの建物だった。ちなみに色はピンク。繰り返す、色はピンク!!
扉は開けっ放しで、こじんまりとしたカウンターと奥の机に3人の人影が……。
「おはよう、ちょっと遅れたか?この娘さんが昨日伝えていた子だよ」
シノムンさんがわたしの肩に手を置いて言った。え。電話的なものがあるのかな??
「おはようございます、カオリと言います。よろしくお願いします。」
が、しかし。カウンターの向こうにいる3人はなにやらガサゴソとやっているようで。
「たしか、ここらだって!」
「ちょっと待ってねえー」
「2人は捜索続行!」
あ、1人こっち向いた。
「おはよう、シノムン。おはよう、異世界から来たお嬢さん」
シノムンさんと同じくらいの年に見える、ちょっと寝癖のあるおじさんがあいさつを返してくれた。
「朝早くから悪いね。役場の仕事を始める前に済ませてしまおうと思ったんだが、マニュアルが見つからなくてね。ちょっとだけ待ってもらえるかい?
あぁ、私の名前はドルトだ。あっちのブラウンの髪のがアルギス、ミルク色の髪のほうはソニアと言うんだ。よろしく、カオリ」
「マニュアル…?あ、はい、よろしくお願いします、ドルトさん。」
「…やっぱり見つからないかい?」
と、シノムンさん。
「大丈夫だ。ちょっとだけ下のほうに居て、見えないだけだ、多分」
「よし、俺も探そう。カオリは、…悪いけどそこの椅子に座って待っててくれ・・・」
役場の方々が捜索を続けて、20分後くらいに「出たーーー」と聞こえた。
??出た??おばけ的な感じの、モノなの・・・?そもそもマニュアルって何・・・・。
「いやぁ、待たせて悪かった。小さい子向けのはすぐに見つかったんだけど、10代以上向けの奴は滅多に使われないから戸棚の奥に前任者がやってしまったみたいでね。やっと引っ張り出せたよ。
このマニュアルがカオリのこれからの生活に役立つと思うよ。確か書いた人が異世界の人だったはずだからね」
ちょっとくたびれた皆さんが私のところへ戻ってきて、シノムンさんが話しながら一冊の本を手渡してきたので受け取る。そこには、
☆☆☆リムナ王国完全攻略☆☆☆
つい出来心で。
思いついたらまた投稿します。