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僕と積極的彼女  作者: 葉月 悠
2/2

僕と雨

拙い文章ですが暖かい目で見てもらえたら嬉しいです。

 予感は的中した。


「やっときたよ。智也傘持ってない?私忘れちゃってさ」


「ちょっと待ってて」


 と言いつつ外に目をやる。雨が降っていた、それも大粒の。このまま無視して帰ってもいいがいいが渡辺さんは顔はもとよりスタイルまでいいのだ。しかも今は夏服でワイシャツしか着ていない。傘無しで帰ればワイシャツが透けてそこら中の男から視姦されてしまうだろう。


「折りたたみならあるけど」


「よっかったー。じゃあ行こっか」


 と言ってさも当然のように相合傘を要求してくる。昨日告白されるまでは一言も話したことがないはずなのに、今相合傘している。なんとも不思議な感じだ


「渡辺さん、家はどの辺なの?」


「んーと、学校から15分位で智也の家からだと5分位のとこかな」


「なら送ってくよ」


「ほんと?嬉しい!」


 と言いながら無邪気な笑顔を見せてくる。彼女にファンクラブがある理由の一つが解った気がした。そんなことを思いながら歩き出す


「そういえば、昼の告白断ったの?」


「当たり前でしょ。私は智也のことまだ諦めたないんだから。」


「さいですか。ちなみに相手は誰だったの?」


「確か、サッカー部の内藤君。3年の」


「ふーん。やっぱり君はモテるんだね」


「妬いてくれた?」


「いや、僕はまだ君のことよく知らないからね」


「そっかー、あっ、着いたよ家」


 立ち止まり渡辺さんの家を見る。少し新しめのアパートだった。セキュリティはしっかりしてそうだ。


「それじゃあ僕は帰るね」


「待って、家で雨宿りしていきなよ。今雨強いしさ」


「さすがに1人暮らしの女の子の家に入るのはまずいって」


「いいからいいから」


 と言って半ば強引に家に入れさせられる。実際折り畳み傘は小さく、僕の左肩はびちょびちょだった。この雨で靴下まで濡れて気持ち悪かったので正直ありがたかった。


「とりあえず、タオル貸すから足と肩拭きなよ。気持ち悪いでしょ?」


「ありがとう」


 彼女からタオルを受け取ると甘い香りがした。柔軟剤の匂いだと分かっていても少し ドキッ としてしまう。


「私はシャワー浴びてくるから。あ、覗いちゃダメだからね」


「分かってるよ」


 彼女はイタズラな笑みを浮かべながら風呂場に入っていく。僕はシャワーの音を聞きながら借りたタオルで足と肩などを拭く。風呂に入るということは裸になるわけで今シャワーを浴びている渡辺さんは裸ということになる。そんなことを考え悶々としているとシャワー音が止んだ。助かったと思ったのもつかの間、出てきた彼女はなんとも色っぽかった。

 髪から水が滴り落ち、顔も少し紅潮していて、服もTシャツになっていた。


「智也君、そんなに見つめられたらさすがに恥ずかしいよ」


「ご、ごめん」


 言われて初めて彼女に見とれてることに気づいた。慌てて視線をそらすがそういう時に限っていつもどこを見ながら話していたか忘れる。結局下を向くことにした。

 気まずい時間が続く。心なしか雨の音が大きくなった気がする。


「ねぇ、今告白したら付き合ってくれる?」


「ごめん…」


 ほんとはこんな可愛い子が僕なんかに告白してくれたのだから喜んで付き合いたかった。しかし僕には中学時代のことがある。舎弟の中には犯罪者になり警察に捕まった者だっているのだ『若気の至り』と言ってしまえばすむ話なのかもしれないがそんなことはできない。自分のしたことなのだから。


「ごめん、もう帰るね」


 彼女の呼び止める声も無視して逃げるように家から出て行った。帰る途中見覚えのある人がいた気がしたが気のせいだろう。


 家に着く頃には全身びしょびしょになっていた。傘は彼女の家に忘れてきた。帰ってシャワーを浴び、倒れるように布団に入った。今日はいろいろありすぎた。


 *****


 翌日の寝起きは最悪だった。夢で昔のことが出てくるわ、寝坊するわで朝から不機嫌だったのは言うまでもない。朝食はとらず、弁当に冷凍食品を詰め込んで、歯を磨き、着替えて急いで学校に向かった。今日は渡辺さんはいなかった。


 学校には遅刻ギリギリで着くことができた。おかげで朝から渡辺さんのことについて質問ぜめにあうこともなった。

 授業中睨みつけられたりは当たり前のようにされたが昨日1日でそれには慣れ、ゆっくり授業を聞こうと思った時に前の席の海斗から無言で渡される。


『渡辺ちゃん拉致って今から輸強すんだけど来ない⁇場所は渡辺ちゃん家ね』


 と書かれたメッセージと彼女が縛られてる画像があるトークが開いてあった。


「村田が俺に誤爆したのスクショ撮ったんだけどどうするよ」


「行くしかないだろ」


 と言って席を立つ。


「先生、体調悪いんで早退します」


「俺も同じくです」


 と言って僕と海斗は教室を飛び出る。今まで忘れていた昔の感覚を思い出しながら学校を後にした。




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