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俺様皇子とお茶会その1〜あとは若いお二人で?〜

連絡よーし!フィオナよーし!ついでに私たち以外に人が居る気配も他になーし!


心の中で声を出しながら確認する。

昨日私を呼び出しに来た時にエンカウントして入るけれども、実際に会わせるとなるとやけに緊張する。

いや、皇子の方がもっと緊張してるかも。だって彼女にしたい人にようやく直接会って話せるんだから。こんなことでもたついていたら時間勿体無いし!

それになんかあったら「あとは若い人達だけで!」って逃げれば大丈夫だろう。

意を決してドアを開ける。


「コルティナですけ、え、なにこれ!?」


白いテーブルクロスがかけられた机にはケーキや焼き菓子が綺麗に盛り付けられており、口直しとして色とりどりのフルーツも置かれている。お菓子をより美しく見せるためにキャンドルがほんのりと、だが暖かく灯っていた。

そして黒がメインの制服着こなした男性が、湯気が立ち上るほど温かな白湯を洗練された優美な手つきでポットに注いでいる。

「ようこそ、お茶会へ」

想い人にようやくきちんと会える嬉しさからか、ハヴィエル皇子はそれもうとても綺麗にこちらに微笑んだ。

すごい、なんという破壊力。好きじゃないのに思わず好きと言ってしまいそうなくらい素敵な笑み。

でも私しっかりして!これは私に対しての微笑みじゃないから!フィオナに対してだから!大丈夫、私空気読める!

私を後ろを振り返って斜め後ろにいたフィオナの後ろへ移動し、両肩を掴んで前にぐいと押し出す。

「これ、フィオナのためなんだよ」

彼女の肩あたりから顔を出して、顔を覗く。ほんのり桃色に染まる頬が見える。おお、これは好感触では?

本当はまだ俺様皇子を認めてはないけど、美味しいサンドイッチを食べさせてくれたので少しくらいは協力してあげようかなという感じだ。

まあフィオナ自身がどう思うかってのが大事だし、私はフィオナの気持ち最優先なのでどうなるかわからないけれど。

「まぁ、私のために用意してくださったんですか?ありがとうございます。」

「いえいえ。こちらこそ細やかですみません。あ、初めてお目にかかったというのに名乗っておりませんでしたね。すみません。俺はハヴィエル・ディ・クルーガーと言います。美しいと評判のフィオナ令嬢とお会いできたのが嬉しくて舞い上がってしまいました。不手際をお許し下さい。」

「いえいえ、こちらこそ名乗っておりませんでしたのでおあいこというものですわ。ご存知のようですが、私はフィオナ・クライスと申します。改めまして素敵なお茶会に招待して頂き、大変嬉しく思います。今日は宜しくお願い致しますね。」

お互いに優雅にお辞儀をし合う二人を見て、ここが高い地位の親を持つ子が多く通う学校であり、2人はその頂点あるいは頂点に近い存在であることを不意に再認識してしまった。フィオナはそういうものを気にしないで仲良くしてくれるけど、本当は庶民の私と仲良くなるのはあまり推奨されないことなんだよね。

なんて事を思いながら2人を見守る。

「コルティナ、一緒に座りません?」

「え、ううん。私は遠慮しておくよ。所作とかわかんないし、迷惑しかかけないからさ」

不意にフィオナから声をかけられて慌ててしまった。あぶないあぶない。2人の時間なんだから邪魔しないようにしないと。

「迷惑なんてかからないわ。私、コルティナと一緒だからお茶会に参加したのよ?貴女が参加しないなら私も帰るわ。」

「それは困りますね。コルティ、貴女も是非参加してください。フルーツがお好きのようですからたくさん用意したんですよ?それにこの茶会は個人的なものなので所作も気にしないで大丈夫ですから。ね?」

フィオナと皇子が立て続けに参加を促してくる。

いや、でもお茶会に参加したら二人っきりになれないし、でも私が参加しないとフィオナも帰っちゃうし……

私の端末がポケットで震えたので失敬して新着を確認する。

俺様皇子からのメッセージ1件の文字。目の前にいるのになんで?

不思議に思いつつ中身を見る。


『黙って座れ』


アッ、はい!参加させて頂きます!

「お母さんにも確認取れたので、是非参加させてください!」

「嬉しいわ!」

フィオナが嬉しそうにニコニコしながら私の手を引いて椅子に座った。

この皇子やっぱり怖いよ。こんなに猫かぶり中なのにめっちゃ怖い文打ってくるとか怖い。

内心ドン引きしながら机の上を見る。家庭科室の机は大きめだからかたくさんのお菓子やケーキ、見覚えあるサンドイッチが置かれていた。

これは食べないと勿体無い!

そんな私の食いしん坊目線に気がついたのか、皇子が笑いながら声をかけてきた。

「好きなだけ食べて大丈夫ですよ。昨日も貴女はたくさん食べてましたからね。たくさんあるので持って帰ってもらっても余るくらいです。フィオナ令嬢もどうぞ。」

「まあ、良かったわねコルティナ!貴女食べるの大好きですもの。お言葉に甘えてたくさん食べさせて頂く事にするわ。あ、ハヴィエルさんとお呼びしても?仲良くなりたい方とは親しげに呼び合いたいのです。私のことはフィオナと呼んで頂けますと嬉しいわ。」

「でしたらハヴィエルと呼び捨てて構いませんよ。俺もフィオナと呼ばせて頂きますので。あ、いちごがお好きでしたらこのショートケーキはどうですか?東の小国が生み出したケーキですが、シンプルでとても美味しいんです。」

そう言って彼はケーキナイフで1ピースを切り出し、そっと白い小皿に乗せてフィオナに差し出す。

「確かに美味しそうですわ!ありがとうございます。」

フィオナの笑顔を見て、皇子は照れるようほんの少しだけ笑った。そしてそれを隠すようにあらかじめ置かれたティーカップに紅茶を注ぎ込む。

何という上品な青春なんだろう。

私は大好きなスモークサーモンのサンドイッチを頬張りながらそっと見守ることにした。


読んで頂きどうもありがとうございます!

今回はまだ続きます。もう1人、男の子出したいんですがまだまだ無理そうです…

誤字脱字などありましたら、お手数ですが教えて頂けると幸いです!

あと、こんな展開が見たいというリクエストもお気軽にどうぞ!

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