才能の塊
さて、僕の授かっている力について少し整理しよう。
アレス様は出会った時、加護と表現して僕に分かりやすくしてくれるという配慮をしてくれたが、授かっている力は厳密に言えば加護ではなく『奇跡』という代物だ。
違いは先ほど言われたように、身体に常に宿っているか宿っていないか、が先ほど発覚した一つ。これは前から知らされていた違いに起因するものだろう。
前から知らされていた違い、それは神様の力を直接授かっているかいないかだ。言い換えると、神様の力をそのまま授かるか、人間の肉体が常に耐えられるレベルまで落としたのを授かるかの違いだ。
直接授かっているのが奇跡であり、そのまま授かっている分人体にも危険がある。だから常に宿っていない、宿っているの違いが生まれている。
その違いの所為で、今、僕は肩身が狭い。
僕は今指を指して笑われている。やはり平民、とか、なんでこの学園に来たの、だとか言われている。反論しようにも、あのような結果が出たのは事実だし、神様から直接力を授かっているとか説明しても頭おかしい人間でしかない。それに、僕を嗤う流れが出来ていた。
必死に我関せずという態度を作って待っていると最後の一人、フィレイ王子の番が来た。
師匠と一緒に勉強していたというフィレイ王子、その人の力には関心がある。
「うーん、立ちたくないなぁ」
フィレイ殿下はにへらにへらと笑って側近のエウィンとカイル殿下に笑い顔を向ける。
「さっさと行ってください」
「もっと優しい言葉くれなぁい?」
そう言いながら、フィレイ殿下は六角形に両足を入れた。
すると、一瞬にして彼の周囲を白く眩い光が取り囲んだ。説明の時の教官とも、さっきまで見ていた他の受験生達とも比べ物にならない目まぐるしい変化だった。
眩い光は即座に魔法陣全体に広がり、水晶が輝きだす。
水晶の輝きで一瞬目が眩みそうになるほどの感覚を覚える。周囲の人は耐えきれずに目を抑えてしまったようだ。
眩む感触を覚えさせた水晶は、赤、黄色、水色、紫の四色だった。全てが眩く、同等の輝きを放っている。他二色は沈黙しているようだ。
彼はおそらく師匠の次に規格外という言葉が似合う人物だろう。師匠と一緒に勉強していたというのも伺える。
フィレイが魔法陣から出ると、眩しい光景が落ち着いた。誰でもしっかりと目を開けるようになった。けれど、二割かはまだ瞼に手や腕を当てていた。
それからというものの、試験会場はフィレイの話題で持ち切りになった。僕の話題に触れられなくなったから良かった。
場内の様子を観察していると、教官が手を鳴らした。
「よーし、次は身体測定な。魔法は禁止だぞ」
身体測定は僕も見慣れたようなものだ。リコンの道場でも一年に二回やってた走力、持久力、瞬発力、筋力、柔軟性を測る測定。
この測定では先ほどの魔力測定で赤い水晶を輝かせた人が優秀な結果を見せた。
その中でも頭一つ抜けていたのが僕とフィレイ。全ての測定において一位こそ譲らなかったものの、フィレイの評価が更に上がった。
師匠にこそ敵わないが、師匠を思わせるぐらいに万能な強さを誇っている。
そうして測定の全行程を終えた僕たちは、教官達に案内され闘技場の観客席へと移動させられた。観客席から数人しかいない会場を見ると、その広さが体感出来る。この広さの闘技場が学園内にあるというのだから驚きだ。
教官はメタル色のデコイを右手に持ち、僕たちに話しかける。
「よーし、最後は実演をしてもらう。魔法や身体といった基礎能力を図ったが、やはり使えなければ意味がない。それを教えるのがこの学園だが、現在の能力を把握する必要がある。故に、これからお前らにはこの的をあの会場で攻撃してもらう」
教官はデコイを腰に刺していた短剣で切りつける。短剣はデコイの身体を通り、しっかりと奥まで切り裂いた。
けれど切り裂かれたデコイは即座に修復し、まるで何事もなかったかのような姿に戻っていた。
「見ての通りだが、このデコイには如何なる攻撃も効かない。ただ剣は通るし、魔法も貫通するから、練習用の的としては使いやすい。これからお前らには一人で五分間、自分が最も得意とする方法で攻撃しろ。いいな?」
会場は沈黙で答える。
「では、最初の四人だ。お前ら、こっちに来い」
前方に座っていた四人を指でなぞって指定すると、彼らを中央へと続く階段に連れていった。




