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姉弟物

お姉ちゃんと迎える甘々新年

作者: 海獅子

クリスマスに続きまして今回も、読みきりをお送りします。


 「ゴーーーーーーーーン!


  ゴーーーーーーーーン!」




 遠くで鐘の音が聞こえている。


 今、鳴っているのは除夜の鐘で、これから新年を向かえようとしていた。




 「もうすぐ新年だね〜」


 「そうだね」




 僕は姉と一緒に、自室のコタツの中にノンビリ入っており。

一緒になって、テレビを(なが)めていた。



 

 「(チャン~、チャラララ〜、ララ〜♪)」 




 画面では、アイドルが歌っているが。

大して頭に入っていなかった。




 「ねえ、大ちゃん、もっとギュッてして〜」


 「分かったよ、姉ちゃん」




 なぜなら今、僕は、姉がコタツに入っている背後からコタツに入り。

両足の間に姉を入れ、身体に腕を廻していたのだ。


 姉は、良く僕に甘えてくるのだが。

寒い冬などは、こうやってコタツに入った状態からの抱擁(ほうよう)を要求してくる。




 「(ギュッ)」


 「うん……っ……」




 僕は御要望どおり、廻した腕に少しだけ力を入れると。

姉が、気持ち良さそうな溜め息を漏らした。


 それから姉は、頭を後ろに倒し、僕の右肩の上に頭を乗せながら。

身体を僕に預ける。




 「大ちゃん、気持ちが良いよぉ〜」


 「僕も気持ちが良いよ、姉ちゃん」




 姉が、そう言って自分の身体を軽く()すり。

その振動を受け、僕も姉にそう返した。


 姉は後ろから、抱擁されて気持ち良さそうだが。

抱き締める僕も、気持ち良かった。


 タダでさえ、姉は柔らかく抱き心地が良い上。

室内なので上に着ているのは、厚手だけどシャツ一枚だけなのである。


 そうなると当然、抱き心地が良い身体が僕に寄り掛かるので。

ますます柔らかさを感じていた。


 そんな気持ちの良い感触がしていたので。

僕は、当然テレビに意識は向いていなかったのだ。




 「ねえ大ちゃん、今度はナデナデして……」




 そう言って甘える、姉の御要望に答えるべく。

僕は左手で、姉の髪を撫でた。




 「(ナデナデナデ)」


 「う、うぅん……っ……」




 撫でる髪の感触も、滑らかで気持ち良い。


 それもタダ髪を撫でるだけでなく、指に髪を通したり。

あるいは、頭を揉むように撫でたりもした。


 すると、気持ち良さそうな声を、また漏らす。




 「(ゴロッ)」


 「(スリスリスリ〜)」




 そうやって撫でていたら。

余りにも気持ちが良いのか、僕の腕の中にある身体を撓垂(しなだ)れさせ。

頬を僕の肩に付けてから、まるで猫が甘えるように頬を肩に擦り付ける。


 また、さっきからずっと、姉の甘い匂いを感じていたが。

それもまた、心地良かった。



 ・・・



 僕の姉は、こんな風に良く僕に甘えてくる。


 僕が幼い頃は、逆に僕の方が姉に甘えていたのだが。

それが、僕の背が姉を抜いた頃あたりから、事あるごとに僕に甘える様になったのだ。




 ”だって大ちゃんは、大きいけど他の男の子みたいに怖くなくて。

 まるでゴールデンとかピレニーズみたいな、優しくて大きな、もふもふワンコに抱き付いているみたいで、気持ちが良いのよ♡”




 気になって一回、どうしてこんなに甘えてくるのか聞いてみたら。

そんな答えが返ってきた。


 しかし、甘えることはあっても、姉は姉であり。

僕は、姉には頭が上がらない。


 だがそれもあってか、姉は僕が甘えられる相手だと安心しているのだろう。



 ・・・




 「ねえ、ねえ、もうカウントダウンが始まるよ〜」


 「えっ、ああっ」




 姉の声で、昔の事を思い出していた僕は、思わず現実に引き戻される。


 気付くと姉は顔を上げ、テレビの画面を見ていた。


 テレビ画面を見ると、新年までの秒数が表示されている。




 「さん、に、いち……」




 画面の数字に合わせ、姉がカウントダウンする。


 そしてついに。




 「 ”A Happy New Year” 」


 「(ドン、ドンドン、ドン、ドンドン)」




 新年を向かえる同時に、画面からメッセージが出てきて。

遠くの空から、爆発音が聞こえる。


 新年の花火が上がったのだ。




 「あけましておめでとう〜」


 「(コツン)」


 「おめでとう」




 姉がその瞬間、僕の方を向き新年の挨拶(あいさつ)をした。


 僕も姉の方を向き、同じように挨拶を返す。


 でも、おでこをくっ付けてながら挨拶しなくても……。




 「ねえ大ちゃん、後で初詣へ一緒に行かない?」


 「別に、良いよ」


 「じゃあ、その前に身体を充分に温めないと……。

 だから、もうチョットだけ、このままで居てちょうだい♡」


 「はい、はい」




 顔を離してから、今度は一緒に初詣へ行こうと言ったので。

特に約束も無かった僕が了承(りょうしょう)すると、そう言って姉がまだ甘えるつもりでいた。


 僕は仕方(しかた)がないと思いつつも、姉の御要望通りにする。




 「ねえっ、大ちゃん……。

 もっと強くギュッてしてぇ……」


 「(ギュッ〜)」




 そんな中、ポツリと姉がそう(つぶや)いたので、僕は強く抱き締めた。




 「はあっ……」


 「姉ちゃん、痛くない?」


 「うんん、これくらいだと、逆に気持ちが良い……」




 強く抱き締めたら、(かす)かな声が聞こえたので。

それに気付いた僕が思わず(たず)ねると、姉が、そう言って気持ち良さそうな声で答えた。


 しかし僕の方も、柔らかく抱き心地の身体を思いっきり抱き締め。

頬を姉の頭に付けているので、姉の甘い匂いがますます強くなり。

目眩(めまい)がするほどの、気持ち良さを感じていた。




 「大ちゃん。

 私まるで、大ちゃんに包み込まれているみたいで、気持ちが良いの」




 姉が、ウットリした声でそう言うと。




 「姉ちゃんも柔らかいから、抱いていると気持ちが良いよ」




 僕も同じように、姉に言い。




 「大ちゃん……、大ちゃんが私の弟でよかった……」




 ウットリした声のまま、姉が、まだ続けると。




 「僕も姉ちゃんが、僕の姉ちゃんでよかった……」




 僕も目眩がするほどの気持ち良さの中、姉にそう返した。



 こうして僕が、コタツの中で姉を背後から抱いた状態のまま。

二人は、しばらくの間、お互いの気持ち良い感触を味わっていたのだった。





                        お姉ちゃんと迎える甘々新年 終わり

チョット、あざと過ぎたかな……。


甘々な方向を目指したら、こうなってしまいました(笑)。


それでは、皆さん良いお年を〜。

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