法則その2
「おれ、リア充になる」
そう宮澤に宣言したものの宮澤は
「ん?いんじゃない?」
…何その反応、もうちょっとこう、あるじゃんさ、エッえー とか、 なんだってー とかさ
「いや、なんかアドバイスとか」
「アドバイスかぁ……てかさ、リア充どうこうってより要は小沼ちゃんを落としたい訳でしょ?」
エスパーかこいつは、リア充はみんなエスパーなのか
「とりあえずデート誘えばっ!?」
屈託のない笑顔で宮澤が答える
バカかこいつは、途中式はどこに消えた
そこにたどり着くのに苦労するんだろうが
しかし私のミスでもある、生まれついての白鳥にどうやって白鳥になったのか、とたずねるのは愚問である。
聞くならば醜いアヒルの子から白鳥になった人でなければ
だがデビューというのは大抵高校だ、
二つの近場の小学校から全員現在の中学に進学するこの環境でデビューはしにくい、誰も前列がいないのだ。
よって、私は1から1人で始めねばならないのである。
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家に帰り私はパソコンを起動した。
リア充になるために、私はまず見た目を変えてみることにした。うぇーい とか あるわーとかのリア充言語も大事だがまずは見た目だ。
私は何事も見た目から入る。
以前ギターを始めようとした時も一週間かけてかっこいいデザインを選んだ。その後インテリアと化したのはここだけの秘密だ。
私はパソコンを起動し、
「リア充 髪型」と検索した
するとどうだろう、東西南北のリア充が画面1杯に
「おぉ、、、」
こうして私のリア充化は始まった
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やはりこのホストヘアーがかっこいいな、、、
ザ リア充って感じだ。
しかし…このツンツンはどうやって……
私はGoogleに頼り続けやがて一つの結論
「ワックス」にたどり着いた
これこそが開けてはいけないパンドラの箱…
私はすぐさまドラッグストアにおもむいた。
ワックスは様々な種類があり私は狼狽した。
何がちがうんだ!と
迷いに迷いついに選んだのが
忘れもしない、ギャッツビーのピンクである。
家に帰り私はセットの練習に取り掛かった。
この時の私は信じて疑わなかった、
これで明日からおれもリア充だ…と
「ふむふむ、これがこうなって、、なるほど!」
こうして夜はふけていった。
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私は寝不足だった。
一晩中ヘアセットの練習をしたからだ。
そのかいあってかセットは完璧だ、ポイントは「逆毛」というものだった。慣れてしまえば簡単、どうということは無い。
「いってきまーす!」
世界がいつもより美しく感じた、青空が僕を祝福し小鳥達が歌っている。
周りの視線を感じる、近所の小学生、隣のおばさん、
上級生までもが僕に釘付けだ。
羨望の眼差し、これがリア充というやつか
「おはよう!」
私は宮澤風爽やかなおはようでクラスに入った
一瞬クラスがどよめいたがすぐに視線は私に集中した、成功だ!
一晩で変わった私にさぞ驚いているに違いない
しかし…なんだ?若干戸惑いの色が見える、
「ぷっ」
突然宮澤が吹き出した。なんだ?
「宮澤!何がおかしい!」
「何がおかしいって、ぶふっ、お、お前の髪型、どこのエリート戦闘民族だよ!あはっ、あっははははははは!」
『あはははははははははははははははは』
クラス全員が笑いだした、
そう、
私は逆毛をたてすぎる余り正にサ〇ヤ人のような髪型だったのである。
っ! 小沼さんは……?
涙を流して笑っていた、
終わった…私のリア充ライフ、
私は保健室のお湯で頭を流した、ワックスはお湯じゃないと落ちないのだ
保険の先生は終始笑いを堪えていた。
洗い終わると
「いつ来てもいいからね?」
二度とくるものか、
教室に戻ると私はベ〇ータという実に不名誉なあだ名を授かった
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「なぁ〜悪かったよ」
宮澤である、
こいつがあんな的確なツッコミさえしなければ、私は恨んでいた。
今思うとひどい八つ当たりだ。
「髪型変えたいなら先に言ってくれよ!今度オススメの美容室紹介するからさ?許してくれよ、な?」
後日、宮澤にオススメの美容室に連れてきてもらった
「今日はどんな感じにしますか?」
美容師にたずねられて困り宮澤に救援を求めるべくアイコンタクトを送った。
しかし奴は100%宮澤スマイルで応答するだけで何もしてくれない
やはり馬鹿だ、
だが、同時にかっこいいと思ってしまった
そこで私が出した答えは
「あいつみたいな感じで」
リアルを充実させる法則その2
髪型は美容室で切ろう