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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第4章 邪竜の洞窟編
73/227

第73話 三体のドラゴン

 ユートとセレナが二体のドラゴンに遭遇したのとほぼ同時刻。左の道を進んだアスタ、スー、リナの三人も一体の巨大なドラゴンと対峙していた。



 ディストレスドラゴン Lv741


 HP89674/89764

 MP50887/50887

 ATK821

 DFE798

 AGI480

 HIT601



 アスタ達の視界にドラゴンのステータスが表示される。そのドラゴンはアスタ達を前にして爆発音のような咆哮を轟かせた。



「ついに出てきやがったな! やっぱレベル700のドラゴンともなるとステータス半端ねえなおい!」

「アスタ、今は無駄口を叩いてる場合じゃない」

「分かってるって! それじゃいくぜスー、リナちゃん!」

「うん」



 戦闘態勢に入るアスタとスー。



「ってあれ? リナちゃん?」



 リナからの返事がなかったので、アスタとスーは後ろを振り返ってみる。そこには白目を剥いて石像のように硬直したリナの姿があった。



「うおーい!! リナちゃんの奴ドラゴンを見て気を失ってるぞ!! 何で付いてきた!?」

「こうなったら二人でやるしかない」

「……はあ。みてーだな」



 アスタとスーはドラゴンと向かい合う。そして間もなく戦闘が開始された。




  ☆




 僕とセレナの前に現れた二体のドラゴン。まず僕はドラゴン達の頭上に目を凝らし、そこに表示されているステータスを確認した。



 ペインドラゴン Lv723


 HP62409/75708

 MP64312/64312

 ATK756

 DFE746

 AGI402

 HIT564



 ヘイトレッドドラゴン Lv756


 HP80178/91967

 MP51098/51098

 ATK996

 DFE887

 AGI559

 HIT608



 右の青い竜はペインドラゴン、左の赤い竜はヘイトレッドドラゴンという名前らしい。こいつらがサーシャの話にもあった『邪竜の洞窟』を統べるドラゴンか。まさか三体の内二体が同時に現れるとは予想外だ。


 しかもステータスだけで見るなら二体とも七星天使のウリエルよりも高い。これは今までのようにワンパンKOというわけにはいかなさそうだ。しかしドラゴンといっても所詮はモンスター。僕達ほどの知恵はないし呪文も唱えられないので、恐れるに足りないだろう。


 ただ一つ気になるのは、二体とも既にHPが一割ほど減っているということだ。間違いなく僕達の前にこのドラゴン達と戦った者がいる。まさか、七星天使か……!?



「ユート、ここはアンタがドラゴン達を引きつけて! その隙にアタシが先に行くわ!」

「ああ! ってちょっと待て、その台詞って普通逆じゃないか!?」

「アンタなら二体のドラゴンが相手でも死なないでしょ多分! それともアタシにドラゴンの相手をしろって言いたいの!?」

「そうじゃないけど……。っておい、くるぞ!!」



 ヘイトレッドドラゴンがセレナに向けて炎を吐き出した。



「セレナ! 僕の後ろに隠れ――」

「呪文【重力操作グラビティ・コントロール】!!」



 セレナが呪文を唱え、地面を強く蹴り上げる。するとセレナの身体が洞窟の天井近くまで浮き、ヘイトレッドドラゴンの炎を見事にかわした。


 僕は空中に浮くセレナを見上げる。重力を操る力、それがセレナの呪文か。



「っ!?」



 その時〝あるもの〟僕の視界に入り、僕の目はそれに釘付けになってしまった。



「これがアタシの呪文【重力操作】の力よ。アンタなんかに心配されるまでも――って、何をそんなにまじまじと見てるの?」

「いやその、ここからだと、セレナのスカートの中が……」

「へっ……? きゃあっ!? や、やだ、スパッツ穿き忘れてきちゃった!!」



 顔を真っ赤にし、素早くスカートを押さえるセレナ。ちなみに今日は白色でした。



「この変態!! これ以上アタシの方を見たら許さないわよ!!」

「そ、そう言われても……。それより次の攻撃がくるぞ!」



 ヘイトレッドドラゴンが炎を、ペインドラゴンが濁水をセレナに向けて放射する。それらをセレナは【重力操作】の力を駆使して華麗にかわしていく。さっき見るなと言われた手前、あまりハッキリとは目視できないけども。



「ああもう、やりづらくてしょうがないわ……」



 セレナはスカートを押さえたまま僕の前に着地し、溜息交じりに言った。



「それもこれもアンタがここにいるせいよ!!」

「僕のせいかよ!? スパッツを穿き忘れてきたセレナが悪いんだろ!」

「うるさい!! アンタが女の子の下着を見て興奮するような変態なのがいけないの!!」

「そんな無茶苦茶な……。てか今はこんなことで言い争ってる場合じゃないだろ!」

「……そうね」



 セレナが二体のドラゴンと向き合う。それからセレナは足下に転がっている石ころを十個ほど拾い上げた。



「何をする気だ?」

「黙って見てなさい」



 セレナが石ころをドラゴン達の真上を目がけて投げる。その石ころはドラゴン達の身体にに落下した。



「グギャアアアアアアアアアア!!」



 すると二体のドラゴンが苦痛の叫びを上げながら地面に這いつくばった。それを見て僕はなるほどと納得する。



「石ころの〝重力質量〟を変化させたのか」

「そういうこと。アタシの【重力操作】は触れたもの全てに有効なの。重力質量は最大で1000キロまで変化させられるわ。その分MPの消費も大きくなっちゃうけどね」



 セレナが涼しげな顔で説明する。ドラゴン達にとっては複数の鉄球が直撃したようなものだろうし堪ったものではないだろう。



「それじゃこの隙にアタシは先に行ってるから! 後は任せたわよユート!」

「結局そうなるのかよ!?」



 セレナは【重力操作】を使ってドラゴン達の頭上を軽々と飛び越え、洞窟の先へと進んでいく。この先には七星天使がいるかもしれないんだ、セレナを一人で行かせるわけにはいかない。



「待てってセレナ――っと!!」



 セレナを追いかけようとする僕にペインドラゴンが濁水を放射し、僕は横に跳んでそれをかわした。


 地面から起き上がり、鋭い目つきで僕を二体のドラゴン。なんかめっちゃ怒ってる。言っとくけどさっきのは僕がやったんじゃないからな? ともかく簡単に僕を行かせる気はないようだ。



「……やるしかないか」



 僕は小さく息を吐いた。ここでドラゴン達を撒いたとしても帰りもまたここを通るだろうし、こいつらはここで倒しておいた方が良さそうだ。セレナの事は心配だけど、今は大丈夫だと信じよう。


 既にセレナの姿は見えなくなっていた。戦うことを考えたらセレナが先に行ってくれたのは都合が良い。これで心置きなく呪文が使える。



「呪文【大火葬】!!」



 ドラゴン達の身体が炎の渦に包まれ、二つの悲鳴が洞窟内で反響する。同時に呪文を使ったことで【変身】が解除され、僕は覇王の姿に戻った。



「小動物共よ、かかってくるがいい。余が遊び相手になってやろう……」

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