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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第4章 邪竜の洞窟編
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第72話 ユートの告白?

「それよりお前はリナちゃんの純潔を心配した方がいいかもしれねーぜ? なんせこのオレと一緒なんだからな」

「おい!! リナに手を出したら承知しないからな!!」

「ははっ、冗談に決まってんだろ。んじゃ、そろそろ休憩は終わりにして行くとすっか。ユートとセレナはまた後で会おうぜ」



 アスタは腰を上げ、左の道の方に歩き出した。



「それじゃセレナ、気を付けて」

「スーもね。ってちょっと待って!! 結局アタシはこの変態と一緒ってこと!?」

「そういうこと。頑張ってユートとの愛を育んできて」

「ふ、ふざけないで!!」



 スーもアスタの後に続く。リナは僕と離れるのが心細いのか、僕とアスタ達を交互に見てオロオロしていた。



「わ、私はどうしたら……」

「まあ、公正なくじ引きで決まったことだし仕方ない。リナとも一旦ここでお別れだな」

「……はい」



 リナは小さく頷いた。正直心配でしょうがないけど、リナは僕との【悪魔契約】によってステータスは大幅に上がってるし、僕が与えた【災害光線】の呪文もあるので大丈夫だと信じよう。



「だけどもしリナ達の方に七星天使が現れたら、すぐに〝念話〟で僕に知らせてくれ。急いで駆けつける」



 僕は小声でリナに囁いた。



「……分かりました。ふふっ」

「ん? 何か僕変なこと言ったか?」

「あっ、すみません。ただその、お優しい方なんだなと改めて思っただけです。アスタさん達のこと、本当に心配しておられるのですね」

「……別にそんなんじゃないさ」



 僕と行動を共にしていた人間が七星天使に魂を奪われたり殺されたりしたとあらば、僕が「人間と悪魔が共存できる世界を築く」という理想を成し遂げる上での汚点になりかねないと思っただけ……。そう僕は自分に言い聞かせた。


 それからリナは左の道へ歩いていき、その背中が暗闇に溶けて見えなくなるまで見送った。



「それじゃセレナ、僕達も――ってあれ?」



 振り返ると既にセレナはそこにおらず、一人でさっさと右の道を進んでいることに気付いた。



「お、おいセレナ! 一人じゃ危ないだろ!」



 僕は慌ててセレナを追いかけたのであった。




 リナ達と分かれてから五分が経過した。今まで洞窟の幅は広くなったり狭くなったりしていたが、この道に入ってからは広がっていく一方である。それに不思議とモンスターが一体も出てこない。なんだか嫌な予感がする……。


 セレナはというと、僕の五メートルほど先を早足で歩いている。背中からは僕の傍を歩きたくないという意志がヒシヒシと伝わってくる。



「な、なあセレナ。この先何が起きるか分からないし、できるだけ固まって歩いた方がいいと思うんだけど……」

「嫌よ! どさくさに紛れて変なとこ触るつもりなんでしょ!」



 まだ言ってるのか。まあ僕の前科を考えたら警戒するのは当然だろうけど。



「……セレナって、本当に僕のことが嫌いなのか?」



 なんとなく聞いてみると、セレナは立ち止まって僕の方を振り向いた。



「今更何言ってんのよ!! 大大大大大っ嫌いよ!!」

「……だよな」



 これは照れ隠しとかじゃなくガチで嫌われてるな……。


 それにしてもサーシャが【未来予知】で近い内に僕とセレナがキスをする(しかもセレナの方から意図的に)未来を視たという話が本当ならそろそろデレ始めてもおかしくない頃だろうに、一向にデレる気配がない。むしろ好感度は下がる一方のような気がする。いよいよサーシャの話が本当かどうか疑わしくなってきた。



「僕はセレナのこと、好きなんだけどな……」



 僕は溜息交じりに呟いた。その瞬間、セレナの顔が暗闇でもハッキリと分かるくらい真っ赤になるのが分かった。



「ななななな、何言ってんのいきなり!? こ、こんな時に告白するとか頭おかしいんじゃないの!? 時と場所を考えなさいよ!!」

「は!? ちょっと待て、今のは告白とかじゃなくてただ――」



 いや、これは告白になるのか? 僕は腕を組んで考えてみる。



「……そうだよな。セレナは可愛いしスタイルも良いし料理上手だし、性格は僕にはキツいけど本当は優しかったりするし、僕って無意識の内にセレナの事が――」

「わーわー!! ストップストップ!! それ以上言ったら肘のぶつけたらビリビリする部分を百回ぶつけてもらうから!!」

「これまた地味に痛そうだな……」



 半分冗談のつもりだったけど、予想以上に効いたようだ。それと余談だけど肘のぶつけたらビリビリする部分は「ファニーボーン」という正式名称があるらしい。



「だ、だいたいアンタのような冴えない男に好きになられても困るの! アタシにはイケメンで背が高くてすっごいお金持ちの、アンタとは比較にもならないくらい魅力的な彼氏がいるんだから!」

「ん? 確か昨日『異性との交際経験はゼロ』ってサーシャが言ってたような……」

「……!!」



 再びセレナの顔が真っ赤に染まる。



「セレナ?」

「ええそうよ!! 今のは見栄を張っただけで本当は交際経験ゼロよ!! 笑いたければ笑えばいいじゃない!!」

「……はは」

「なに笑ってんのよ!!」

「セレナが笑えって言ったんだろ!?」



 というか今はこんなことで言い争ってる場合じゃない(原因は僕にあるけど)。一刻も早く『狂魔の手鏡』の封印場所を――



「ん?」



 すると僕の右足に何か固い物がコツンと当たった。何だろうと思い、僕はしゃがんで目を凝らしてみる。それは石ころサイズの〝金塊〟だった。なんでこんな物が――



「きゃっ!?」



 その時セレナが小さな悲鳴を上げた。



「どうかしたか?」

「前を見て!!」



 セレナに言われて前方に注目すると、何体ものモンスターが僕達の方へ向かってくるのが見えた。レベルはどれも100前後だが、軽く二十体はいるだろう。



「しばらくモンスターが出てこないと思ったら、今度はこれか……」



 だがまとめて出てきてくれた方が僕としてもありがたい。この程度の数なら三十秒もあれば片付けられ――


 と、そこで僕は気付いた。あのモンスター達の目が僕達の姿を全く捉えていないということに。そして僕はあのモンスター達が僕達を襲おうとしているのではなく〝何か〟から逃げているのではないかという推測を立てた。



「やるしかないわね……!!」

「待てセレナ。ここは壁際に避けてジッとしていよう」

「はあ!? そんなことして囲まれたりしたら――」

「いいから」

「ちょ、ちょっと!」



 僕はセレナの腕を掴み、壁際に引き寄せる。間もなくモンスター達が迫ってきたが、僕達には目もくれずにそのまま通過していった。どうやら僕の推測通りだったようだ。



「ごめんセレナ。急に引っ張ったりして……あっ」



 ふと見ると、セレナの顔がものすごく近くにあった。あと少しでキスしてしまいそうな距離。ひょっとしてサーシャが言ってた未来ってこれのことか……!?



「ぐはっ!?」



 しかし唇が触れ合うことはなく、サーシャは僕を思いっきり突き飛ばした。



「この変態!! やっぱりこういう変態行為が狙いだったのね!?」

「今のはどう見ても不可抗力だったろ!」



 やっぱり違うか。そもそも今のはセレナからでも意図的でもなかったし。



「それより前方を警戒した方がいい。この先に〝何か〟がいる」

「! 何かって、もしかして……」

「ああ」



 地面の激しい揺れと共に大きな足音が近付いてくる。間もなく二体の巨大なドラゴンが僕とセレナの前に姿を現した。

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