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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第3章 魂狩り編
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第52話 ハーレムを懸けて?

「おおっ!? こっちの女の子はメッチャ可愛いじゃねーか! 君名前は!?」

「り、リナです」



するとアスタはリナに手を差し出した。



「好きです! オレと付き合ってください!」

「ごめんなさい!」



 速攻で告白して速攻で振られやがった。見た目通りチャラい奴だな。



「あっちゃーマジかよ! 出会ってすぐは急すぎたか! やっぱ付き合うのはもうちょい時間を置いてからがいいよな!」

「えっ!? いえ、その……」

「おいお前、リナが嫌がってるだろ。妹から離れろ」



 リナが戸惑っていたので僕が庇ってやった。リナはとても安心した顔で僕を見つめる。



「は!? お前リナちゃんの兄貴なのか!?」

「そうだ。言っとくけどリナに変な真似をしたらタダじゃおかないからな。あとちゃん付けはやめろ」

「んだよお前、もしかしてシスコンか?」

「誰がシスコンだ!!」



 僕とリナが兄妹というのはあくまで設定だし、これはただ一人の女の子をチャラ男の毒牙から守っているだけだ。



「しっかし妹の方はすっげー可愛いのに、兄の方はいまいちパッとしねーな。スーもそう思わねーか?」



 余計なお世話だと僕が思っていると、スーがグッと僕に顔を近付けてきた。



「な、なんだ?」

「…………」



 半開きの目でジッと僕を見つめるスー。よく見たら結構可愛い子なので心臓の鼓動が速くなってしまう。するとスーの頬がほんのり赤く染まった。



「……私は嫌いじゃないかも」

「えっ!?」



 思わず僕は声を上げた。



「な、なにいいいいい!? お前こういう男がタイプだったのか!? 嘘だろ!?」

「少なくともアスタよりは良い感じ」

「ば……馬鹿な……!!」



 アスタはその場でガクッと膝をついた。いきなりだったからビックリしたけど、まあ、悪い気はしない。



「そんなことよりセレナはどこだ?」



 ショックを受けるアスタを余所に、サーシャがスーに尋ねる。セレナというのは残り一人の仲間の名前だろう。



「今はお花を摘みに行ってる。そろそろ戻ってくると思う」



 スーがそう言った矢先、奥のドアが開いて一人の女の子が入ってきた。


 黒髪のセミロングで、全体的に程よい肉付き、そしてなかなか立派な胸。僕は思わず見とれてしまう。彼女がセレナか。



「あら、皆集まって何してるのよ? ていうかその二人は――」



 セレナは僕の顔を見ると、一瞬石像のように硬直した。



「あーっ!!」



 そして叫びながら僕の顔を指差してきた。いきなり何だ? ていうかセレナの顔、どこかで見た覚えが――



「あっ!?」



 そうだ思い出した! この子は昨日僕が喫茶店のトイレでラッキースケベをしちゃった女の子じゃないか(第36話参照)!! 確かあの時のパンツはピンク色だった――ってそれは今関係ないだろ!!



「どうして君がここに!?」

「それはこっちの台詞よ!! なんでアンタがこんな所にいるわけ!?」



 互いに驚く僕とセレナを見て、サーシャはキョトンとした顔になる。



「なんだセレナ、ユートと知り合いだったのか?」

「ち、違うわよ!! こいつは、その……!!」



 セレナの顔がみるみるうちに赤くなっていく。きっと僕にトイレシーンを目撃され、挙げ句胸を揉まれた記憶が蘇ってきたのだろう。あの時は本当に悪いことをした。



「と、とにかく! どういうことか説明してよサーシャ!!」

「こいつはユート。私が声をかけて仲間になってもらったんだ」



 だから仲間になるつもりはないんだってば。



「こ、この男が仲間!? そんなの私は認めないわ!!」

「何故だ? ユートは必ず私達にとって心強い戦力になる。七星天使を倒すという悲願の成就にも大きく貢献してくれるはずだ」

「そういう問題じゃないの!! この男は、私に、あんなこと……!!」



 涙目で震えるセレナを見て更に申し訳ない気持ちになってしまう。するとサーシャがイヤらしく笑ってみせた。



「なるほど、だいたい察しがついてきた。見かけに寄らずやるなユート」

「絶対サーシャが考えてるようなことじゃないからな!?」

「……おいテメー。一体セレナに何しやがった……!?」



 アスタがゆらりと立ち上がり、ピクピクと頬を引きつらせる。



「いやその、ちょっと転んだ拍子に、僕の手が胸に当たって……」

「なっ!? まさかセレナのおっぱいを揉んだってのか!? ちくしょおおおおお羨ましいいいいい!! オレは未だに手を握ったことすらねえのによおおおおお!!」



 血の涙を流して絶叫するアスタ。そこまで悔しがらなくても。



「い、言っとくけどワザとじゃないからな!? 事故だ事故!!」

「ワザとだろうと事故だろうと私の、む、胸を触ったことには変わらないでしょ!? この変態!! スケベ!!」

「……ごめんなさい」



 セレナの言葉に僕が反論する余地などなく、ただ謝ることしかできなかった。



「ユート、とか言ったよな? これで一つだけハッキリしたぜ……!!」



 そう言ってアスタはビシッと僕の顔を指差した。



「テメーはオレのハーレムを壊しかねない脅威の存在だ!! よってオレはお前の加入なんて絶対に認めねえ!!」

「誰がアンタのハーレムよ!!」



 セレナがツッコむが、アスタはスルーして続ける。



「だがテメーもこんな理由で追い返されるのは不本意だろう。そこでテメーに一対一の決闘を申し込む!!」



 うわ、なんだか厄介な展開になってきた。



「テメーが勝ったら潔くオレ達の仲間として認めてやる! ただしオレが勝ったら仲間になるのは諦めるんだな!」



 なんで僕が仲間にしてくださいとお願いしてる感じになってるんだ。そもそも僕は仲間になるつもりなんてないのに。



「……やめておけアスタ。お前では百回戦ってもユートには勝てんぞ」

「はあ!? サーシャはこいつの肩を持つってのか!? オレがこんな奴に負けるわけねーだろ! いいから決闘だ!!」



 呆れたようにサーシャは溜息をつく。



「ユート、すまないがアスタからの挑戦を受けてやってくれ。それでアスタも気が済むだろう」

「……分かった」




 というわけで、僕は流されるままアスタと地下訓練場のコートで戦うことになった。


 大きさはちょうどテニスコートくらいで、十メートルほどの距離を置いて僕とアスタが向かい合う。コートから少し離れた所でリナ、サーシャ、セレナ、スーの女子四人が見学する。



「ルールは単純にしてシンプル! 足以外のどっかが地面につくか、コートの外に出た奴が負けだ!」

「……単純とシンプルって同じ意味なんじゃ」

「うるさい黙れ!! オレは必ずテメーを倒し、テメーが奪ったセレナとスーの心を奪い返してやるぜ!!」

「奪われてないわよ!!」



 再びセレナがツッコんだ。セレナはこのメンバーのツッコミ担当なんだろうか。



「言っとくが手加減するんじゃねーぞ!! 本気でかかってこい!!」

「……ああ」



 僕は建前で承諾した。僕が本気を出したら世界が滅ぶんだぞ、分かってるのか?

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