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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第1章 異世界転生
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第5話 外出の決意

「うおおっ!? ま、待つのだお前達!!」



 早速メイド悪魔達が服を脱ごうとしていたので、僕は慌ててそれを止めた。



「……お前達、自分の年齢を言ってみよ」

「16です」

「17です」

「15です」



 全員未成年かよ!!


 ちなみに悪魔というと何百年と生きているイメージがあるかもしれないが、この世界における悪魔の寿命や成長速度は人間とほとんど変わらないらしい。まあそれはそれとして……。



「皆、今日はもう自分の部屋に帰ってよいぞ」



 僕は気遣いのつもりで言った。女の子達に無理矢理〝そういうこと〟をさせるわけにはいかないし、未成年なら尚更だろう。するとメイド悪魔達の目からポロポロと涙が落ち始めた。



「やはり、私共では夜の相手としては不合格ということでしょうか……?」

「違っ――そうではない。さっきも言ったがお前達は余の理想を十分に満たしている。ただ、お前達も本心ではこういうことには躊躇いがあると思ってな」

「とんでもございません!! メイド悪魔にとってユート様の欲求を満たせること以上の喜びなどありましょうか!!」



 メイド悪魔達が潤んだ目で僕を見つめてくる。やばい、この子達本気だよ。一体どうすれば……。


 その時僕の頭に名案が浮かんだ。いや名案というほどでもないかもしれないけど、とりあえずアイデアを思いついた。



「……一つ聞きたい。お前達はどういった経緯で余の寝室まで来たのだ?」

「アンリ様が『今のユート様には夜の相手が必要である』とおっしゃられたので、私共が喜んで引き受けた次第でございます」



 やはりそうか。アンリにも困ったものだ。



「どうやらお前達は大きな勘違いをしてしまったようだな。確かに余は夜の相手を求めていることをアンリに仄めかした」



 仄めかしてないけど。



「しかし余が求めていたのは、お前達が思っているようなことではない」

「え……?」

「呪文【創造クリエイション】!」



 僕は所持呪文の一つを発動し、あるものを生成した。それは――トランプである。



「余は夜の〝遊び〟相手を求めていたのだ」



 一瞬シンとなる寝室。うん、アンリは〝夜の相手〟としか言ってなかったし何も間違ってないよね! でもやっぱりちょっと苦しいか……?



「そ、そうだったのですか!? 早とちりしてしまい申し訳ございません!!」



 メイド悪魔達は深々と頭を下げる。よかった、なんとかごまかせた。



「気にするな。余がアンリに正確に伝えてさえいればこんなことにはならなかった。余にも非はあるだろう」

「とと、とんでもございません!」

「だからお前達が余に身体を捧げる必要はない。よいな?」

「……御意。ですがユート様、私共の身体が必要な時はいつでもお申し付けください。私共はその時が来るのを心待ちにしております」

「そ、そうか」



 メイド悪魔達は少し落ち込んでいるようだった。



「ところでユート様、その手に持たれている紙の束は一体……?」



 あれ、トランプを知らないのか? まあ異世界だし知っている方が不自然か。



「……これは余が考案したトランプというものだ。遊び方は余が教えるから早速始めるとしよう。きっと楽しいぞ」

「御意!」



 こうして僕は三体のメイド悪魔達と二時間ほどトランプをした後、彼女達をそれぞれの寝室に帰したのであった。


 彼女達の純潔を守れたし、彼女達も満足したようだったし、一件落着だな。一方でちょっとだけ後悔している、心は思春期男子のままの僕であった。




  ☆




 覇王に転生して五日目。今日も僕は大広間の玉座に堂々と腰を下ろしている。



 MP9999999999/9999999999



 改めて自分のステータス画面を確認してみたところ、MPが元の数値に戻っていた。この二日間でMPは睡眠によって自動的に回復することが分かった。おそらく回復量は睡眠時間に比例する。HPの回復方法はまだ減ったことがないから分からない。


 ちなみに聞いた話によると、このステータス画面はこの世界の者全てに表示されているらしく、基本的に自分のステータスは自分にしか見えない。だがその気になれば他者にも見せることは可能らしい。方法は簡単で、頭の中で「ステータス開示」と念じるだけ。まあ僕は自分のステータスを誰かに見せびらかすつもりはないし、それをやることはないだろう。


 でもこの世界に転生してまだ一度も自分以外のステータス画面を見たことがないんだよな。他者のステータスにもちょっと興味がある。



「アンリよ。唐突ですまないが、お前のステータス画面を余に見せてほしい」



 相変わらず僕の前で膝をついているアンリにお願いしてみた。するとアンリは何故か頬を赤くし、無言で俯いた。



「……どうしたアンリ? 具合でも悪いのか?」

「いえ、そうではなくて、その、恥ずかしくて……」



 え? 恥ずかしい?



「取り乱してしまい申し訳ございません。ただ、ユート様が見たいとおっしゃるのでしたら、私は……」

「いや、よい。今のは忘れてくれ」



 恥ずかしいという言葉は予想外だった。きっとこの世界におけるステータスは女性にとって三サイズと同じくらい内緒にしておきたいものなのだろう。ゲームとかじゃボタン一つで簡単にステータスが表示されてたからそこまで気が回らなかった。



「…………」



 はあ、にしても退屈だ。ずっとこの玉座に座ってるだけなので退屈で当然だが、これが五日も続くとさすがにノイローゼになりそうだ。やっぱりたまには外に出たい。



「アンリよ。余はこれから城の外を見て回りたいと思う」

「ご安心くださいユート様。悪魔達による厳戒態勢は常に万全ですので、ユート様が自ら動かずとも敵勢力の接近はいち早く察知することができます」



 そうじゃないんだよなあ。ただ気分転換がしたいだけなのに……。何か上手い言い訳はないものか。



「悪魔を統べる覇王として、我が領土の様相を今一度この目で見ておきたいと思ってな」

「なるほど、承知しました。それでは悪魔百体をユート様の護衛につけさせます」



 なにそれ大名行列!?



「いや、その必要はない。余一人で十分だ」

「そ、そんな! ユート様をお一人で外を歩かせるなど、心配のあまり自害する前に心臓が止まってしまいます!!」

「…………」



 とまあ、こんな感じで僕が一人で外に出ようとしても心配性のアンリがそれを許してくれない。「お前は過保護な親か!」と突っ込みたくなる。


 でも今日こそは絶対に外に出るぞ! 考えろ、アンリに気付かれずに城の外に出る方法を……!!

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