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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第3章 魂狩り編
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第41話 覇王vsガブリ

「この人の魂をどこへやった!? 今すぐ元に戻せ!!」

「くくっ、そいつは無理な相談だなあ。【魂吸収】によって抽出された魂は自動的に『七星の光城』へと送られる。つもりもうここにはねーんだよ」



 七星の光城……そこが七星天使の拠点か……?



「俺だって本当はこんなことしたくねーんだけどなあ。セアルの命令で仕方なくやってるんだよ。ちょっとは同情してほしいもんだぜ!」



 ヘラヘラ笑いながらガブリは言った。あからさまに嘘だと分かる。



「セアル……そいつが七星天使のリーダーだな?」

「ああ。さっき使った【魂吸収】だって元々はセアルの呪文だしな」



 そこもキエルさんの推測通りか。どうやらセアルは何らかの方法で【魂吸収】の呪文を他の七星天使にも与えているようだ。多分僕の【能力付与】と同系統の呪文を用いたのだろう。



「人々の魂を奪ってるのはお前だけじゃないな?」

「ピンポーン! 俺以外にも魂狩りをやってるのは二人いる。だから俺だけを責めるのはお門違いってもんだぜ?」



 おそらく一人はセアル。もう一人は別の七星天使だろう。



「何故お前達はこんな真似をしている? 人々の魂を奪って一体何を企んでいるんだ?」

「おいおいさっきから質問ばっかりだなあ! 俺はテメーの先生じゃねーんだ、聞いたら何でも答えてくれるとでも思ってんのかあ!?」



 まともに答える気はナシか。まあいい。



「ああそれと、その女の身体はテメーにくれてやるよ。魂抜かれて意識ねーからおっぱい揉んだり○○○したり何でもやりたい放題だぜ!? まあテメーが俺から逃げることができたらの話だけどな」

「……逃げる? 誰が?」



 僕はガブリと正面から対峙する。



「ほう、さっきの光景を目の当たりにして俺に立ち向かおうってか。なかなか根性あるじゃねーの。ま、どの道俺の正体を知ったテメーを生きて帰すつもりはねーけどな」

「そりゃどうも。それはそうと、お前こそ逃げなくていいのか?」

「……あ?」



 ピキッとガブリの額に青筋が入った。



「テメー今何つった? 俺は天使の中でも最上位の存在、七星天使の一人だぞ? 人間如きには及びもつかないほど遙か高いステージに立ってるんだよ!!」

「ああ知ってる。その上で言ったんだよ、逃げなくていいのかって」



 更にガブリの額に青筋が入っていく。



「……あー、そうかそうか。どうやら恐怖のあまり気が触れちまったみてーだな。なら俺が目を覚ましてやるよ!!」



 ガブリは目を血走らせながら右から左に大きく腕を振った。



「〝三日月斬〟!!」



 その軌道が斬撃に変わり、僕に向かって飛んできた。それに対し、僕は静かに右手を前に出した。



「呪文【絶対障壁】!!」



 僕は敢えて避けず、目の前に無敵の障壁を出現させてガブリの〝三日月斬〟を防いだ。同時に呪文を使ったことで僕の【変身】も解除された。



「なっ……!?」



 元の姿に戻った僕を見て、ガブリは驚愕の表情を浮かべた。



「テメー……まさか……!!」

「自己紹介がまだだったな。余は覇王。生態系ピラミッドの頂点に君臨する男だ」



 いや、それはちょっと誇張しすぎか? まあいいや。



「クク……ハハハハハ!! アッハハハハハハハハハハ!!」



 僅かな沈黙の後、ガブリは豪快に笑い始めた。



「こいつはとんだサプライズだ! まさかこんな所で覇王に出くわすとはなあ! お会いできて光栄だぜ!」



 僕の正体が覇王だと分かっても、ガブリが怖じ気づく様子はなかった。



「いやー、にしても覇王様が人間なんぞに化けてるなんて想像もつかなかったぜ! 覇王としてのプライドとかねーのかよ!?」

「人間の魂を狩ってる貴様にプライドを説かれる筋合いはないな」

「はっ、ちげーねえ」



 するとガブリは何かを思い出したような顔をした。



「そういやウリエルはテメーに殺されたんだっけな。言っとくがアイツを倒したくらいでいい気になるなよ。アイツは七星天使の中でも最弱だったんだからなあ」



 やっぱり最弱だったのかあの人。



「確かにウリエルは余が葬った。仇を討ちたいと言うのならそれもよかろう」

「けっ、誰がアイツなんぞの為に戦うかよ。俺は俺の意志でテメーと戦うだけだ!」



 本当に不憫だなウリエルさん。殺した張本人が言うのはアレだけど。



「最後にもう一度だけ聞いておこう。逃げなくていいのか?」

「調子に乗んじゃねーぞ覇王。テメーは俺に敗北する運命なんだよ。テメーの魂は人間数万人分に匹敵するだろうしなあ……!!」



 どうやらガブリは僕の魂をも奪う気でいるようだ。



「さあバトル再開だ!! 呪文【月重力ムーングラビティ】!!」



 ガブリがこの呪文を唱えると、急に身体が軽くなるのが分かった。



「【月重力】によって半径1キロ以内の空間は重力が6分の1になった!! 果たしてこの環境でいつも通り戦えるかあ!?」



 確かにいきなり重力が変化すると思うように身体が動かない。一方ガブリはこの重力に慣れているのか、軽くなった身体を活かして建物の壁から壁へ次々と跳んでいく。



「〝三日月斬〟!!」



 僕の背後を取ったガブリにより再び〝三日月斬〟が放たれ、僕の身体に炸裂した。



「くっ……!」



 HP 9999999432/9999999999



 僕のHPが大きく削られる。


 何故奴は【魂吸収】を使わない? 僕の魂を奪えばそれで簡単に決着がつくはずだ。おそらく何か理由がある。こいつの性格から考えて相手をいたぶる趣味でもあるのか、あるいは……。



「呪文【覇導弾】!!」



 すかさず僕はサッカーボールほどの紫色の物質を作り出し、ガブリに向けて放つ。その覇導弾はガブリの身体に直撃した。



「ハハハハハ!! おいおい何だその温い攻撃は!!」



 しかしガブリはほとんどダメージを受けていないようだった。



「次は俺の番だ! 呪文【月光砲】!!」



 ガブリの手の平からレーザーのようなものが放たれ、僕の腹部に直撃。僕は大きくよろめき、その場に膝をついた。



「どうしたどうしたあ!? 思ったより全然大したことねーな覇王様! 本当にウリエルに勝ったのかあ!?」



 それからガブリは右手を上げ、指を鳴らす構えをとる。くるか!?



「これで終わりにしてやるよ! 呪文【魂吸収】!!」



 パチンとガブリの指が鳴る。すると女性の時と同じく、僕のいる地面に青白く光る紋章が出現した。


 僕はすぐさま立ち上がり、紋章の外に出る。それと同時に紋章も消滅した。



「あーあ、失敗かあ。さすがにまだ早かったか」

「……どうやら紋章の出現から魂の抽出までにはタイムラグがあるようだな」

「おっ、大正解だ! タイムラグは三秒といったところだな。だからまずは対象が動けなくなるまで痛めつける必要があるってわけだ。面倒くせー仕様だが、ただ魂を奪うだけじゃ物足りねーし別にいいんだけどよ」



 やはりそういうことか。これで確信が持てた。



「サービス心に溢れた男だな。そうご丁寧に説明してしまっていいのか?」

「ああ。どうせテメーは俺の前で無様に這いつくばり、俺に魂を抜かれるんだからよ」



 どうやらガブリは完全に勝った気でいるようだ。僕は思わず笑みをこぼした。



「礼を言うぞガブリ。おかげでようやく余も本気が出せる」

「……ああ?」

「茶番は終わりだ。呪文【弱体化】を解除!」



 僕は大幅に低下させていたステータスを元の状態に戻した。



「さあ……ワンサイドゲームの時間だ」

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