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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第7章 反逆のラファエ編
150/227

第150話 最終形態

 ラファエが第二形態になったことで再び形勢は逆転し、僕はあっという間に追い詰められることになった。



 覇王 Lv999


 HP136/2000

 MP1600/2000

 ATK100

 DFE100

 AGI100

 HIT100



 ラファエの全ステータスが上昇したことで攻撃一つ一つの威力が増し、僕のHPは今にも三桁を切ろうとしていた。MPを温存するのがやっとといった有り様で、まさに絶体絶命を絵に描いたような状況である。



「まるでさっきの再現ですね。これでは何のために時間を巻き戻したのか……」



 ラファエは余裕の表情で、全身傷だらけになった僕を眺めている。もはや自分の勝利は決まったと思っているに違いない。



「フッ……」



 ふと、僕の口元から笑みがこぼれる。それを見たラファエの眉が僅かに動いた。



「驚きですね。この状況で笑う余裕があるとは……」

「なに、アスタ達が今の変わり果てた貴様の姿を見たら、なんて言うだろうかと想像してしまってな」



 僕の言葉に、一瞬ラファエの瞳が揺れる。だがすぐに殺意を宿した目に戻った。



「黙れ!! もうそんな人達のことはどうでもいい!!」



 心の迷いを断ち切ろうとするかのように、ラファエは大声で叫ぶ。



「僕には何もいらない!! 自分の居場所も、仲間も!! ただ貴方を倒すことさえできればそれでいい!!」

「……居場所も仲間もいらない、か。それを聞いたら、アスタ達は悲しむだろうな」

「黙れえええ!!」



 トドメとばかりにラファエが呪文を繰り出そうとする。だが、その時――



「なっ……!?」



 驚愕の声はラファエのものだった。ラファエの周囲を数多の【覇導弾】が埋め尽くしていたのである。



「馬鹿な、いつの間に……!? いや、そもそもこれだけの数を生成するだけのMPはないはず……!! 今度は何をした!?」

「疑問に思わなかったか? 貴様が第二形態になる前、余は1000の【覇導弾】を生成し、貴様を攻撃した。だがそれら全てが直撃していたら、貴様は第二形態になる間もなく力尽きていただろう」



 僕の言説に、ラファエは大きく目を見開いた。



「まさか……手加減していたと……!?」

「そう。あの時貴様に放った【覇導弾】は、その四分の一の200に過ぎない。では残りの800はどこへ消えたのだろうな?」



 ラファエはハッとした顔で、自分の四方を囲む【覇導弾】を見回す。



「気付いたようだな。余が1000の【覇導弾】を生成した直後に【未来贈与フューチャー・ギフト】と唱えたのを覚えているか? この呪文によって800の【覇導弾】を未来に飛ばし、それが今になって戻ってきたというわけだ」



 【未来贈与】は生命を除く物体や物質を未来に転送することができる。当然、呪文によって生成された物質も例外ではない。



「最初から、この展開を読んでいたというのか……!?」

「さすがに全ての展開を読んでいたわけではない。だが、こう見えて余は用心深いものでな……」



 戦慄の表情を浮かべるラファエだったが、すぐに口角を歪めてみせる。



「そ、それがどうした!! 今の僕はステータスが大幅に上昇しているのを忘れたか!! たかが800程度の【覇導弾】など――」

「呪文【弱体化】!!」



 その瞬間、頭の上に巨大なおもりを乗せられたかのように、ラファエの身体がガクンと下がった。



「くっ……これは……!?」

「確かに貴様の推測通り、余はステータス強化系の呪文を所持していない。が、反対に弱化系の呪文については考慮していたか? ステータスを下げるのは貴様の専売特許ではない」



 今まで【弱体化】は僕が人間の力に合わせるために使ってきたが、このように敵のステータスを下げるのが本来の用途である。ちなみに【覇導弾】も【弱体化】も第三等星呪文なので、ラファエの特性で防ぐことはできない。



「そういえば、まだ台詞の途中だったな。続きを話したいのなら聞いてやろう」

「調子に……乗るな……!!」



 僕はラファエに反撃の隙を与える間もなく、これらの【覇導弾】をラファエに向けて射出した。



「うあああああっ!!」



 再び爆風と噴煙が巻き起こり、ラファエの絶叫が響き渡る。


 やがて場が落ち着くと、そこには全身ボロボロで横たわるラファエの姿があった。HPは僅かだが残っている。今回も僕は全ての【覇導弾】を放たず、まだ100ほど空中に留まらせている。



「HPが0にならないように攻撃するのも一苦労だな……」



 そんなことをぼやきながら、僕は静かにラファエの所まで歩み寄っていく。



「来る……な……!!」



 するとラファエの口から微かな声が洩れ、僕は足を止めた。どうやら意識はあるようだ。



「僕は……負けていない……!!」



 まだ闘うつもりらしく、ラファエは歯を食いしばり、自力で身体を起き上がらせる。



「その根性は認めるが、もうやめておけ。貴様では余には勝てない。そもそもこの闘いに何の意味がある?」

「意味ならある……!! 言ったはずだ、これはセアルさんへの罪滅ぼしだと……!!」

「……罪滅ぼし、か。セアルがそんなことを望んでいるとは思えんがな……」

「黙れ!! 覇王の貴方に何が分かる!! 僕達の何が!!」



 ラファエの殺意は消えていない。それどころかより一層強くなっている。



「おおおおおおおおおおっ!!」



 ラファエの雄叫びに呼応するかのように大気が震え、大地が揺れる。そして地面の割れ目から黒い光が噴き出し、ラファエの身体を包み込む。



「何……!?」



 僕が驚愕している間にも、ラファエの体長が更に伸び、全身の筋肉がはち切れんばかりに膨れあがっていく。


 その光景を目の当たりにして、僕は確信を得た。ラファエは自分の力を〝二段階〟に分けて封印していたと。



「これが僕の――最終形態だ!!」



 ラファエ Lv999


 HP530119/530119

 MP340842/340842

 ATK3874

 DFE4098

 AGI2576

 HIT2134



 第二形態から最終形態になったことで、ラファエのステータスも大幅に更新される。



「ついにレベルMAXか……!」



 第二形態のレベルが600だった時点で想定はしていたが、まさかこれほどとは。国の一つや二つは簡単に滅ぼせるほどの力はあるだろう。


 先程の【弱体化】の呪文で僕はMPを300消費し、残りMPは1300。再び【弱体化】でステータスを下げる手もあるが、僕の推測が正しければ――


 僕は空中に温存していた100の【覇導弾】をラファエに向けて放つ。だがそれら全てがラファエの身体に届く前に消滅してしまった。



「無駄だ!! 最終形態となった僕の特性により第三等星以上の呪文の効力は受けない!! もはや貴方に勝ち目はない!!」



 やはり特性も強化されている。これでは【弱体化】どころかほとんどの呪文が通用しない。万事休すってやつか……。


僕は九州に住んでおりまして、現在地震で色々大変なことになっております。真夜中に救急車の音があちこちから聞こえております。


そういった状況ですから、18日の更新はお休みします。次回の更新は20日予定です。



……部屋がメチャクチャで泣きそう。

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