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HP9999999999の最強なる覇王様  作者: ダイヤモンド
第1章 異世界転生
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第12話 悪魔契約

「とまあこんな感じだけど、理解できたか?」

「は、はい。不思議なこともあるものですね……」



 リナは僕の話を信じてくれるようだ。てっきり最初は疑われると思ってたけど。



「……僕が人間に化けて適当な作り話で君を騙そうとしている、とは考えないのか?」

「え!? そうだったのですか!?」

「い、いや違う! 今のは例えだ!」



 きっとリナはとても純粋な心の持ち主なのだろう。



「でもこれで僕が人間を滅ぼしたり君をモルモットにしたりすることはないって分かっただろ? 元人間の僕がそんなことするはずがない」

「は、はい。納得です」

「……まあ、アンリ達は人間を滅ぼす気マンマンだから困ってるんだけどさ」



 僕は溜息交じりに言った。



「しかし、どうしてそのような身の上を私に話してくれたのですか?」

「…………」



 僕は少し考える。確かに僕の身の上をリナに明かしたところで何か利益があるわけでもないのに、リナの信用を得る為とはいえ、何故僕はこのような話をしたのだろうか。



「……ただの気まぐれだよ」



 きっと嬉しかったんだろうな。この世界に転生して以来、人間とまともに話すのなんてこれが初めてだったし。だから僕の事をリナによく知ってもらいたいと無意識に思ったんだろう。


 とはいえ、これからリナをどうするかという最大の問題が解決したわけじゃない。人間嫌いのアンリ達を説得することなんて不可能に近いだろうし……。



「あ、そうだ」



 そこで僕に名案が浮かんだ。確か以前所持呪文を確認した際に【悪魔契約】というものがあったはずだ。これを使ってリナを悪魔にすれば文句を言う者は誰もいないだろう。ただしもちろんリナがこれを承諾すれば、の話だけど。


 僕は【変身】を解除し、元の覇王の姿に戻った。



「リナよ。今から余が説明することをよく聞いて――ん?」



するとリナが口を手で押さえながら小さく笑っていることに気付いた。



「どうした? 何かおかしいか?」



「あっ、す、すみません。その、姿が変わったら急に口調も変わるのが面白くて、つい……。ふふっ」

「……なるほどな」



僕も自覚がなかったので、思わず苦笑いがこぼれた。覇王の姿に戻ったことで僕の中の「覇王スイッチ」が自動的にオフからオンに切り替わったのだろう。そうじゃなくても覇王の外見での人間口調は違和感が凄いだろうし、これで問題ないよな。


 それにしてもリナが笑ってるところは初めて見たな。笑顔になったリナは更に可愛く、僕もなんだか嬉しく気持ちになった。



「では改めて、余の説明を聞いてほしい。お前にはこれより余と契約をして悪魔になり、余の配下になってもらいたい」

「!! 私が、悪魔に……!?」



 リナの表情が強張る。まあ悪魔になれと言われて喜ぶ人間なんてほぼいないだろうし、この反応は予想できていた。



「だが安心してほしい。これは割りとお手軽な契約でな。もし人間に戻りたくなった時は契約を解除すればいつでも人間に戻れる。もちろんこの契約によって何か代償が伴うこともない」

「…………」



 リナは無言で俯く。



「とはいえ、やはり悪魔になることには躊躇いがあるだろう。しかしお前をこの城に置いておく為にも、この契約は必要なことだと余は思っている。よく考えて決めてほしい」

「わ、私が決めていいのですか?」

「もちろんだ」

「…………」



 少しの間、沈黙が訪れる。やがてリナは決心したように顔を上げた。



「分かりました、契約します。いえ、させてください」

「……よいのか?」

「はい。先程のお話で、ご主人様がとてもお優しい方だということが分かりました。そのご主人様が必要なことだと言うのでしたら、私は喜んでそれに従います」



 決意を秘めた目でリナは言った。



「元々奴隷の私に選択権なんてありませんのに、私に決断を委ねてくださったご主人様の心遣いに感謝します」

「……承知した。では早速契約を始めたい、が……」



 言い淀む僕を見て、リナは小首を傾げる。



「どうしたのですか?」

「その、なんだ。この契約を行うにはまず……お前に裸になってもらう必要があるのだ」

「!! は、裸……!?」



 リナの顔が赤くなる。それはまさしく年頃の女の子の顔だった。一応言っておくがこれは本当に契約上必要なことだ。断じてリナの裸を見たいがために嘘をついているわけではない。



「だがお前も男に裸を晒すのは抵抗があるだろう。どうしても無理だと言うのなら、契約は諦めようと思うが……」

「い、いえ、大丈夫です! それくらいの覚悟はできておりますから……!!」

「そうか。では……脱いでくれ」

「……はい」



 リナがぎこちない手つきで服を脱ぎ始める。僕はしばらく顔を下に向け、リナの方を見ないようにした。


 これはやばい。衣擦れの音が僕の妄想を更に掻き立ててしまう。すぐ近くで可愛い女の子が脱いでいると思うと……!!



「お……終わりました……」



 僕は静かに顔を上げる。そこには左手で胸を、右手で大事なところを隠す、生まれたままのリナの姿があった。



「……っ!!」



 一瞬意識が飛びそうになったが、僕はグッと耐えた。年頃の女の子の裸を生で見るのは初めてのことだった。



「男の人に裸を見られるのは初めてですけど……やっぱり恥ずかしいです……」



 顔をリンゴのように真っ赤にし、ギリギリ聞こえるくらいの声でリナが言う。この恥じらっている姿がまた堪らない。僕の本能が暴走する前に早く契約を済ませなければ。



「では契約を始める! まずは目を閉じるのだ!」

「は、はい!」



 リナは言われた通りキュッと目を瞑る。僕は右手の人差し指を立て、トンとリナの額に当てた。



「呪文【悪魔契約】!!」



 間もなくリナの身体が紫色のオーラのようなものに覆われる。それから約一分後、そのオーラは徐々に収束していき、やがて消えた。



「契約完了だ。これでお前は悪魔になった」

「えっ……もう終わったのですか?」

「ああ。どうだ、お手軽だろう? 外見に変化はないが、人間の時より身体能力は数段パワーアップしたはずだ。そ、それより、もう服を着て大丈夫だぞ?」

「っ!! は、はい!」



 リナは慌てて服を着始める。危なかった、あと少しで僕の理性が限界を迎えるところだった。中身が思春期男子のままというのも困りものだな……。

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