005 ★
7/3:修正 文章のはじめの字下げ追加
7/21:改稿 書きミス等を直し、文章を少し追加しました。
「さて、ご飯も食べたし、外――は一旦置いておいて、洞窟内を調査しよっかな!」
少し物足りない朝食をちゃっちゃっと胃の中に収めた後、ポケットティッシュで軽く鍋を拭って片付ける。そして、洞窟内を軽く探検……もとい調査することにした。
何も無いだろうな~、と思いつつ軽い気持ちで色々探っていたけれど、驚いた事に結構便利なものを発見した。好奇心って大切だわー。
昨日は洞窟内を確認する暇も無く寝落ちしてしまったので気がつかなかったけど、よく見ると入り口から一番遠い左側の壁下辺りが少しだけ明るい事に気がついた。
光が反射しているのか、それともどこか隙間があって光が漏れ落ちているのかなと思い、ちょこちょこ這いより見てみる。するとサッカーボール大くらいに岩が抉れている場所があり、そこに敷き詰められるようにして青白い石が沢山転がっていた。
そして不思議な事に、石自体がうすぼんやりと光っている。一個一個は大した光でなくても、それなりに数が集まれば、そこを照らすだけなら十分な光量を生み出している。
蛍石か蓄光石ってやつかな? 池や庭園とかで使っている所あったしなぁ……。こんなところで見つかるもんだねぇ。
手のひらにのる位の大きさの石を拾い、手触りを確かめるように転がしていると、ふと気がついた。石がひんやりと冷たいのだ。
最初は石が冷たいのが当たり前だと思っていたけど、一分二分と手の中で暖めていても石が暖かくなることは無く、最初に触った時のまま、ひんやりとし続けている。そして、この石がたくさんあるせいか、岩が抉れているその場所だけ洞窟内の温度より冷えている。
「冷たっ!! ――そうだ!ここに食料保存しておこう」
いそいそと食料品が入っている買い物を取りに戻り、袋から冷やしておいたほうが良いものを窪みに並べて置く。そして、少しでも冷気が漏れない様に空になった買い物袋で窪みに蓋をする。
「ちょっと不恰好だけど、冷蔵庫の完成! これで暫くは食料持つね!」
いつ救助が来るのか分からない状況だし、出来るだけ食料は大切にしたほうが良いよね。
冷蔵庫を作った後、特に見るものは見つからなかったので、洞窟内をキレイにすることにした。洞窟内で一番平らそうなところの石を一つ一つ丁寧にどかし、寝床を確保。そして、どかした石やそこらに転がっていた手ごろな大きさの石を、入り口付近に集めて小さなかまどを作った。
これで秘密基地――もとい隠れ家の完成である。
「よし、隠れ家作りはOK! うーん、そろそろ飲み物の在庫もヤバイしお水確保しなきゃなぁ。それにはやっぱり――外に行って水場を見つける必要があるか……」
ちびちびペットボトルのお茶を消費していたけど、生きるためには水分の確保は絶対に必要である。それに外に出て水場を探しつつ、電波が届く場所を探すのもいいかもしれない。
生きて帰るにためには、自力でこの場所から抜け出すか誰かの手を借りるしかない。ただ、電波が届かない今の状況では、このままこの場所で隠れて過ごすのは自殺行為に等しく、偶然誰かの手を借りることも現状では不可能に近い。
今頼れるのは自分自身だけ。幸い大きな怪我もなく、食料も運がいい事に多少ある。動けるうちに動いて、周りの情報を集めつつ、森を抜け出れそうなら抜け出して、人や民家を探して助けを求めよう。
「よし! そうと決まれば行動開始!」
私はそう決意すると、探索に必要そうなものをリュックサックに詰め込んで背負って、昨日から愛用している杖兼武器を片手に持つ。そうして洞窟を這い出し、辺りをキョロキョロ窺って何もいないことを確認すると、丁寧に洞窟の入り口を隠した。
そして、昨日と同じように岩肌を左手側において、周りに注意を向けながら慎重に外の探索を開始する事にした。
主人公が言っていた「蛍石」や「蓄光石」は確かに光りますが、蛍石は紫外線か加熱で光るものですし、蓄光石に関しては人口の物です。
物は見たことありますが実際の仕組みなどは知識として詳しく知らないため、ここがまだ知っている土地(異世界ではなく日本)だと勘違いし続けます(笑)
ちなみにこの石は主人公が使ったように食料の保冷としてこの世界では一般的に使われています。