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あああああああ  作者: けろっぐ
第2部:最終試験!!
41/42

005

 あの後、崩れ落ちたバジリスクの死体跡から、薄緑色の丸い小さな魔晶石を見つけたり、プルプル怯えるヒューくんをなだめすかすために、その魔晶石をプレゼントしたり、とひと悶着あった。



 猫っぽいのに、光物に興味津々でしたよ。この子ったら。



 で、魔晶石をオモチャにしたヒューくんが、遊び疲れてムニャムニャ眠りに落ちた後、速攻で索敵範囲を上空や地中まで含めるように調整して、再度<索敵(サーチ・エネミー)>を発動し直した。







(――それにしても、<隠密(スパイ)>を発動しているんだから、私の陰は薄くなっているはず……。なんで見つかったんだろう??)



 そんなことを考えながら、キラキラ光る魚群の場所に戻ると、既にそこには魚群どころか魚の陰一つなく、ましてやヒューくんの親御さんの陰すらも見当たらない訳で……。だよね、ちょっと戻ってくるのに時間がかかり過ぎたよね。さて……どうしようかな?



(<追跡(チェイサー)>を使えば、一応探すことは出来るはずだけど……。でも、そうすると、今追っかけている金色わんこのデータが飛んで、初期化されるし……。でも、迷子をほっても置けないし……。うーんどうしよう!?


 しまったなぁ……。最初から複数ターゲット可能にしておけばよかったよ。……まぁ、それは後で改造するとして。うーん、何かいい手は……。同時並行で同じ技能を別々のターゲットにする方法……。


 あ。そうか。一つはバックグラウンドにしておいて、一つをアクティブにすればいける……かなぁ? うーんそれよりも、マルチタスク出来るようにした方が……)



 森の中に一人佇み(腕の中には子猫がいるけど)、あーでもない、こーでもないと、考えていると、突然<索敵(サーチ・エネミー)>に引っかかるモノが複数現れた。距離にして左後方80メートル付近の木の上。その方向を向いてエアタグを確認すると――。




---

距離:80メートル

危険度:低

種族情報:妖猫族(ケット・シー)

---


---

距離:80.5メートル

危険度:低

種族情報:妖猫族(ケット・シー)

---


---

距離:79.7メートル

危険度:低

種族情報:妖猫族(ケット・シー)

---




 あぁぁぁっ! ラッキー!! ケット・シー見っけ!!



 ケット・シー達は、こちらには気がついていないようで、私がいる方向とは逆の方向に進んでいる。



(――このままだと見失っちゃう!!)



 ケット・シー達に追いつくべく、私は慌ててその方向に向かって駆け出した。















「す、すみません! ケット・シーの皆さん! ちょっと待って貰えますか!!?」



 5分ほど全速力で木々の中を走り抜け、タグを追い続けると、ようやく頭上にケット・シーらしき姿を目視で確認できる距離まで追いついた。そして、歩みを止めてこちらを見て貰おうと、大声を張り上げる。


 その思惑は成功し、一瞬ビクッとなった三匹――三人?は、慌てて木の上からこちらの方に視線を向ける。そして、驚いたような表情をこちらに向けてきた。



「「ヒュー!?」」

「本当だ!! ヒューだ!」



(あ、よかった。ヒューくんを知っているみたいだ。もしかして親御さんとかなのかな??)



 私がヒューくんを抱えているのを誤解するといけないので、急いで説明をしようと、口を開きかけた所でケット・シー達が不思議な事を言いだした。



「お前、今までどこにいたのにゃ!?」

「……まつのにゃ、アナタ。あの子寝ているにゃ? ……それに……なんで宙に浮いているのにゃ??」

「本当にゃ……。浮いているにゃ……」

「もしかして、悪い魔獣かなにかに操られているのにゃ!?」

「そうかもにゃ! さっきの声がその主かもにゃ!!」




(へ?! 浮いている!?)



 ケット・シー達は警戒心をあらわにしながらも、木の上からスルスルと降りてくる。そして、まるで私が見えていない(・・・・・・・・)かのように振る舞っている。



「周りには特に魔獣の気配はしないのにゃ」

「霊的なにおいもしないのにゃ」

「精霊や妖精のイタズラにもみえないにゃ」



 そんなことを言い合いながら、私とヒューくんの周りを遠巻きにクルクル回る三人。



「あ、あのー??」

「何にゃ!!? 今さっきの声が聞こえたにゃ!!?」

「ヒューの方から聞こえたにゃ!! やっぱり何かが憑りついて……」



 私が声をかけた瞬間、ビクリ、と飛びのく三人。



(――いや、何もしないって。……本当に、私が見えていないの?? でも何で???)



 そこでふと思いつき、<隠密(スパイ)>を解除してみる。すると――




「ど、どっから現れたのにゃ!?」

「にゃーーーーーー!!? 人族にゃ!!?」

「ひゅ、ヒューが、人族に捕えられたのにゃ!!!」



 蜘蛛の子を散らすように、ぎゃーぎゃー、わーわー言いながら、ちりじりばらばらに逃げていく三人。――やっぱり、隠密が有効になっていたせいで見えていなかったみたい。じゃぁ、さっきのバジリスクは私の姿を見つけたんじゃなくて、ヒューくんを見つけて攻撃してきたって事? そっか、隠密は自分自身にだけ有効な技能だから、私が抱えた他の生物とかには有効にならないのか……。これも見落としていたなぁ。


 隠密の欠点を反省しつつ、カスタマイズの方法を頭の中で考えていると、バラバラに逃げていた三人が恐る恐ると言った風に、私の方に近寄ってきた。


 ――まぁ、距離はかなり離れているし、三人は茂みの中に隠れているんでパッと見は分からないと思っているようだけど。でも、私はタグがあるからどこにいるのかは分かるんだけどね! そして、三人ともタグが真っ赤になって、しかも危険度が高になっているから、変に刺激すると、攻撃されかねない。


 とりあえず、変な誤解は解こうと、三人がいる方向に向かって視線を合わせると、口を開いた。



「すみません、ヒューくんをご存じなんですか? 私怪しいものではありません。迷子になっていたヒューくんを連れてきただけです」



 そういうと、真っ赤なタグが、黄色に変わり、危険度も中になった。



(――信じるの、早すぎでしょう。本当に私が人さらいだったらどうするのよ。――ヒューくんも素直だったし、もしかして、種族自体が話を信じやすいのかな??)



 まぁ、私は攫う気も騙す気もサラサラないので、早めに誤解を解こうと、更に言葉を続ける。



「ヒューくんに尋ねたら、ご飯のお魚を捕りにきて、お魚を追いかけていたら迷子になったそうです。さっきまで起きていたんですが、遊び疲れて寝てしまいました。出来れば親御さんにお返ししたいのですが、アナタ方の中にヒューくんの親御さんはいらっしゃいますか?」



 すると、黄色のタグの男の人が、ガサリと茂みから出てきた。



 黒い猫が二足歩行でこちらに向かってくる。身長は幼稚園児くらい。その足にはヒューくんと同じく、黄色のブーツ。両腕には金色のバングルをはめている。なかなかのオシャレさんのようだ。


 ヒューくんと同じ金色の瞳には警戒心が浮かんでいるが、話は聞いてくれそうな感じがする。



「えっと、アナタがヒューくんの親御さんですか?」

「……そうにゃ。オレは父親にゃ。――だから、息子を返してくれにゃいか?」



 そういって、すっと両腕を差し出してくる。私はその両腕に、いまだすやすやと眠っているヒューくんをそっと載せると、お父さんは明らかにほっとしたような表情に変わる。


 そして、パッと私の元から飛びのくと、あっという間に茂みの中に飛び込んだ。すると、タグは一斉にすごい勢いで離れていく。



(挨拶もなしかぁ……。――まぁ、この世界の人族は好き勝手やっているみたいだから、警戒するのも分かるちゃぁ分かるけどね。ふぅ……。まっ、問答無用で攻撃されなかっただけでもマシかな?)




 それでも、ちょっと寂しくなって、大きくため息をつく。何か、見返りを求めていた訳ではないけど、やっぱり無視はちょっとキツイね……。





「あ。ヒューくんにバイバイしてないや……」








 ふと気がつき、ぽつり、とこぼした言葉が、やけに森の中に響いた気がした。

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