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あああああああ  作者: けろっぐ
第1部:戦う力
36/42

幕間:その4

お気に入り登録&評価、ありがとうございます!

引き続き楽しんで読んでもらえるようにがんばります!


さて、幕間は今回も三人称で書いてます!そして今回は短めです!

「さて、お主だけを呼んだのは、お主には一足先にやってもらいたい事があるからなんじゃよ」



 応接室を出た二人は、クレイが仕事場として利用している地下室に足を運んでいた。


 本来はかなりの広さがあるはずであろうその部屋は、所狭しと大小様々な道具が置かれ、足の踏み場が無いほどに雑多としている。


 壁一面には巨大な本棚が設置され、一片の隙間が無いほどびっしりと本が詰められている。それでも置き場が足りないのか、本棚の前には本の山がいくつもいくつも作られており、そこから下手に本を抜き取ろうものなら、簡単に荷崩れを起こすだろう事が容易に想像出来る。


 天井からは、ひと目見ただけでは何に使うのか全く分からないものが、かなりの数、吊り下げられている。動物の毛や皮のようなもの、干からびた植物や袋詰めにされた何か。


 部屋の中央には、作業用の机として置いたのか巨大な木の机がその存在感を示している。しかし、そんな机の上には山のように丸められた紙の束や、ガラス瓶に収められた魔晶石、見た事もないような器具が隙間無く置かれている。


 そんな物珍しいものばかりがある部屋のなかを、キョロキョロと視線を彷徨わせていたベルデにクレイはそう声をかけた。



「やる事――ですか」

「そうじゃ、ちょっと待っとれ」



 クレイはそう言うと、部屋の隅に置かれている木製の小さなチェストの引き出しから何かを取り出した。そして、その取り出したものを、ぽーん、と投げて渡す。


 それを難なく受け取ったベルデは、広げた手のひらを見て――驚愕に目を見開いた。



「く、クレイ様! コレは!?」



 そこにあったのは、蝋燭の光に照らされて琥珀色に煌く、楕円型の宝石だった。いや、『宝石』なんて言葉で片付けては駄目だろう。それは、精霊の命ともいえる『精霊石』そのものだったのだから。



「お主の察した通り、土の中位精霊――ソイルの精霊石じゃよ。この大きさならあと20年あれば立派な上位精霊になれたはずじゃがの……」



 そう、この精霊石は一般的な卵ほどの大きさがある。精霊石の大きさが大きければ大きいほど、精霊として長い年月をすごした事になる。そして、その大きさが魔力量に直結する。精霊石が大きければ大きいほど、膨大な魔力を保有している証になるのだ。



「精霊石さえあれば、復活できるのではないのですか?」

「――残念ながら、そこに魂がなければ無理じゃ……。よく見てみぃ、その精霊石には既に魂は宿っとらん」



 そう言われ、ベルデは改めて精霊石に眼を向け、観察する。


 手触り自体はつるりとしてどこにも引っかかる部分がないのだが、精霊石を蝋燭の光にかざして分かった。精霊石の中には蜘蛛の巣状に細かいヒビが入っており、そこからは魂の存在を欠片ほども感じない。――この精霊石は、今にも崩れ落ちる寸前なのだ。



「魔力が……殆ど残っていません――。それに、確かに魂もありません。もうコレは――ただの石(・・・・)です」

「確かにの。――じゃがの、ただの石(・・・・)ではなく、ただの石寸前(・・・・・・)なんじゃよ」

「――どういう意味ですか?」



 全く意味が分からない、とばかりに首を傾げてクレイに問うベルデ。その様子を見たクレイは、ニヤリと肩頬を引き上げ、悪戯っぽい笑みを浮かべる。



「ほっほっほ。それが、お主への試練じゃ。自分でよぉ考えてみぃ。――まぁ、ちょっとはヒントをやろうかの。お主は今、大樹林内限定とはいえ自由に動けとるの? 普通、お主の様な本体が別にある精霊は、契約者からの魔力の供給がなければ、自身の本体からは動けんはずじゃ。それを可能にしとるのは、自分の魔力と大樹林内のマナを契約者からの魔力の供給代わりにしとるから、じゃの?」



 そう指摘すると、ベルデは小さくうなずいた。



「――そうです。多くは大樹林内のマナを利用していますが」

「じゃ、そういう事じゃ」

「それってどういう――。あぁ!? そういうことですか!? でも、どうやって!?」



 一瞬考え込んだ後、「分かった」とばかりにベルデは顔を輝かせる。しかし、実際にどうやってその方法をとれば良いのか分からず、次には戸惑いの表情を浮かべる。


 コロコロと変わるそんな表情を、生徒を見守る教師の様な顔で見守るクレイ。そしてベルデが答えに辿りついた時、右手の人差し指を立て、チッチッチ、と左右に揺らす。



「それを考えて、実行するのがおぬしの試練じゃ。それが自分で出来ぬ限り、カエデと一緒に大樹林を出る事は出来ん。努々忘れるなよ?」

「――はい……」



 クレイが示した方法は、ベルデの手の中にある魔力が空っぽの『精霊石』をタンク代わりに使う方法だった。それなら精霊石の魔力が尽きるまで自由に動く事は出来るようになる。


 そこまでは、理解出来たベルデだが、そこからの方法――既に空になった精霊石に魔力を注入する方法、が考えつかない。それもそうだろう。自身の精霊石は魔力を使っても自然に魔力が回復する。それは、人や動物が意図せず心臓を動かしている事と同じく、無意識に行っている事なので、それを意識的に行う――しかも、自分の精霊石ではなく、別の精霊石へ――事が本当に可能なのか、疑いたくもなる。






 すると、頭から煙が出そうなほど考え込んでいたベルデに、救いの手が向けられた。




「まぁ、今朝おぬし等がわしに隠れて食べていた、果物(ヤツ)をワシにも用意してくれるんじゃったら、もう少しヒントを出してもええぞ?」



 救いの手の言葉はちょっと意地悪だった。



「!!! 起きておられたんですね」

「ワシもルブスの実は大好きでのぉ。めったに食べれんから楽しみじゃのぉ」

「……今から、探してきます」

「ぉぉ、そうか! 催促したみたいで悪いの。後、ナーバの実も見つけたらよろしくの!」

「――分かりましたっ!!!」



 ほっほっほ、と髭を撫でつつそういうクレイの言葉を背に、ベルデは地上に上がる階段へ駆け足で向う。急いで果物を集めるために。特に、「ナーバの実」は日が暮れる前に摘まないと、甘みが渋みに変わってしまい、食べられたものではなくなる。




 それを見越しての発言なら、意地が悪いと言うか、なんというか。











 その後、何とか無事に果物を集めて戻ってきたベルデに、クレイは上機嫌で精霊石への魔力の注入方法を教えるが、その方法を聞いたベルデは、悲鳴を上げ卒倒した。






「嫌です!!」

「それしか、方法が無いんじゃから、しゃぁないじゃろ。まっ、がんばれ!」

「嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です!! いやぁぁぁぁぁ!!!」

「ぇえぇ……。そんなに嫌なんか……」





 魂からの叫び声を上げるベルデと、そんな全身全霊の拒絶に凹むクレイだった。

ベルデが果物を取りに言っている間に、主人公をお風呂に案内。

その後、いそいそと果物を食べに戻ったクレイさんでした。



魔力注入方法については、今後どこかで。

さて、皆様の予想を裏切れるかなー


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