007
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「ふぅぅぅ、いい気持ち!!お風呂最っ高!!!」
私は今、もの凄く景色のいい場所でステキな露天風呂にゆったりと浸かっています。
異世界にありがちの『お風呂が無い』という展開にはならなくて、本当に良かった!!
今私は最高に幸せです!
あの後、すぐに部屋に戻ってきたクレイさんに連れられ、宿泊させてもらう部屋に向うべく、いったい何段あるか分からない螺旋階段をヒィヒィ言いながら昇っていたときだった。
あるフロアに辿りつくと、クレイさんがふと思い出したかのように『カエデ、以前遊びで作った風呂がこの上の階にあるんじゃが、部屋に行く前に入ってみるか?』と提案してきた。そして、私はこの申し出に一も二もなく飛びついた。
地面や草の上に転がされたり、森の中をウロウロ彷徨ったりで、今私が着ている服は泥や草の汁などで汚れに汚れている。そしてこの2日間、お風呂に入れなかったどころか、身体もふけていない状態のため体中がベタベタして気持ちが悪い。その上、この螺旋階段地獄で更に汗まみれ状態である。いい加減『部屋についたら絶対身体を拭こう』なんて考えていた時にこの嬉しいお言葉である。承諾以外の選択肢があるはずがない。
今までヒィヒィ言いながら昇っていた螺旋階段を、スキップしそうな勢いで駆け上がる私。現金とでもなんとでも言ってください。今の状態の私にはお風呂はそのくらいさせる魔力があるんです!
一気に駆け上がり、目的のフロアにつくと、見た記憶がある『逆さくらげ』ぽい絵が描かれた暖簾の様なものがかかった扉が目に入った。
うん、ような、じゃなくて間違いなく銭湯や温泉にある暖簾だね、でも何で!?
驚きに固まっていた私に追いついたクレイさんが声をかけてきた。
「これは、風呂の前にかける『のれん』というものじゃ。で、この『のれん』の奥が風呂になとるから、入って来るがええ。ワシはちょっと用を済ませてくるんで、風呂が終わったらあそこの部屋でゆっくりしとったらええよ」
と暖簾がかかっていない方の扉がついていない部屋を指差す。
「あ、あの、クレイさん、この暖簾って?」
「ああ、これはヴァンとエアロが仲良ぉなったという人間から教えてもらったものを、ワシが再現したんじゃよ、『のれん』がどうかしたか?」
やっぱり、暖簾で間違いないんだ!じゃあ、教えてもらった人間ってもしかしなくても――
「い、いえ。これ、私の国のものなんですよ。もしかしたらヴァンくんとエアロちゃんが教えてもらった人間って、同郷の人かもしれないです」
「ほぉ、そうなんか?じゃぁ、後であやつらに教えておいてやるかのぉ。多分そのうちあやつらから話かけられるかもしれんが、相手してやってくれ」
「分かりました。私もその人がどんな人か聞いてみたいんで丁度良いです」
話はそこで終わり、クレイさんは階下に戻っていく。
私はその姿を見送った後、取っ手を握り扉を押す――が、開かない。
・・・もしかして
今度は取っ手をとり、横にスライドさせるとカラカラと軽い音を立てて扉が開いた。
暖簾をくぐり、開いた扉から室内に身体を滑り込ませると、もしかして、と思っていた通り、壁に沿うように四角い箱が沢山つまれており、箱の中には蔓っぽいもので編まれた籠が一つ一つ収まっている。
うん、間違いなく温泉風だ、これ。扉といい、服を置くロッカーといい籠といい芸が細かいよ、クレイさん!話を聞いただけでここまで再現できるとは、さすがマイスターの名は伊達じゃないですね!
まさか、異世界にきて日本風なものを目にするとは思わず、口から笑い声が漏れる。この様子だと、お風呂のほうも期待して良いかも♪
ウキウキと背負っていたカバンを置くと、今まで着ていた衣服を全部脱ぎ捨てる。カバンの中から新しい服とフェイスタオルを取り出し、服は籠の中に置いて、石鹸とフェイスタオルを手に持ったら、準備は完了である。
お風呂に行こうと一歩足を踏み出した所で、脱ぎ捨てて足元でグシャグシャになっている服に気がつく。とりあえず、このままではあまりにも行儀が悪すぎるので、それらを片付けようと手に取ると――うん、これはお風呂を勧められるレベルだね。これは。
無言のうちにビニール袋にそれらをつっこみ、カバンの中に放り込む。
証 拠 隠 滅
今の事はなかったことにして、そそくさと入ってきたほうとは違うほうにある扉を開く。と、そこには大きな露天風呂と広大な景色が広がっていた。
眼下に広がる緑の海。木々の果てにかすかに見える連なる山。そこにかかる雲は夕陽に照らされオレンジ色に染まっている。露天風呂は大きな樹をそのままくりぬいて作ったような出来栄えで、天井、壁、床、お風呂に至るまで全て木で出来ている。総檜風呂も真っ青な贅沢な作りである。
目の前に広がる見事な景色に、私は暫く目を奪われるが、真っ裸で立ちすくんでいる事に気がついた。とりあえず身体の汚れを落としてお風呂に浸かってこの景色を堪能しようと、手近にあった木桶にお湯を汲み、石鹸とフェイスタオルをそこに浸し泡立てて体の汚れを落とす。
石鹸で頭を洗うと髪の毛が痛みそうだけど、とりあえず非常事態と言う事で、目いっぱい泡立てた泡で頭と髪を洗って綺麗に洗い流す。うん、以外とキシキシしない。よかった。
身体も綺麗になったところで、ゆっくり湯船に浸かり、手足を伸ばして改めて景色を眺める。
「ふぅぅぅ、いい気持ち!!お風呂最っ高!!!」
魂の叫び、というように声が抑えられない。いやいや、本当に最高なんだよ。もの凄く景色のいい場所でステキな露天風呂にゆったりと浸かって。しかも独り占め。叫びたくもなるってもんですよ。
行儀が悪いけど、すいーっと這い蹲るように泳いで景色がよく見える場所まで移動する。つまりは露天風呂と外の切れ間に。下手すると滑り落ちてそのまま"ジ・エンド"になりかねないのであまり身体を外には出さないように気をつけるよ、もちろん。
しばらく湯船につかりながら、遠くに見えるかすむ山々をぼーっと眺めていて、ふと気がついた。
外に見える風景は見渡す限り緑・緑・緑で、視界をさえぎるものはない。どうやらここの場所はものすごく高い場所にあるらしい。結局ここってどこなんだろう?クレイさんが
『リヒトの大樹に行かないと』って言っていたからここがそうなのかなぁ?
それにベルデちゃんとクレイさんからざっくり聞いてはいたけど、この大樹林って考えていたよりもものすごく広いみたい。それに、あの山?山脈?上が霞んで見えないんだけど、どれだけ高いんだろう?
なんて、色々考えていると
「ねぇ、アンタ、マサトと同郷って本当?」
突然声をかけられた。
そういえば、クレイさんがヴァンくんとエアロちゃんに話しておいてくれるって言ってたから、直接聞きにきてくれたのかな?この声はエアロちゃんだよね?
見とれていた風景から目を離し、声のしたほうに身体ごと顔を向けるとそこにはヴァンくんとエアロちゃんが素っ裸で仁王立ちでそこにいた。
な ん で す と?
お風呂のくだりはテルマエをイメージして書いてみました。
いいですよね、テルマエ。




