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あああああああ  作者: けろっぐ
第1部:戦う力
29/42

003

お気に入り登録&評価、ありがとうございます!


コメントもちょこちょこお寄せ頂ける様になって、ヒャッハー状態でございます。

引き続き楽しんで読んでもらえるようにがんばります!

「カエデお姉さま、戻ってきてからずっと考え込んでいるけど、どうしたの?」

「ん?・・・ええっとね、やっぱり私以外にも攫われた人が居たんだな、と思って・・・」



 あの後、私は赤銅色の髪の男が消えた辺りの情報(きろく)を何度か取り出して、私が気を失った後に何があったのかを調べてみた。すると嫌な予想通り、私以外にも二人、あの黒い光の輪の中から釣り上げられている場面を見つけたのだ。


 一人は屈強そうな人間らしき男の人で、もう一人は逞しい体つきをしたトラっぽい獣人の男の人だった。






 私が釣り上げられた場所から右手に100mも進まない所で、屈強そうな人間らしき男の人を釣り上げた情報を見つけた。私はすぐさま情報表示対象を静止画像から立体動画に切り替えて、この後の出来事を見る事にした。


 空中に映し出された赤銅色の髪の男は、釣り上げた人間の男の人を見て満足そうな笑みを浮かべたと思ったら、懐から布に巻かれた棒状の物を取り出した。そして男が布を開くと、中からは血に濡れたような真っ赤な色をした数本の棒が現れた。


 大体長さは10cmくらいで、太さは私の小指ほど。どれも棒の片方の先が鋭く尖っている。少し細目の杭っぽい形、と言えば分かりやすいかな?そしてその杭は、日の光に晒されると鈍く光を反射していたので、どうやら木製ではなく金属製らしい。


 一体何をする気だろう、と赤銅色の髪の男の行動を見つめていると、杭の一本を右手に取ったと思ったら、宙吊りになっている男の人の脇腹めがけて、戸惑いも躊躇も一切無く、一気に杭の根元まで押し込んだ。



 ・・・ニヤニヤしながら、全く悪びれも無く人のお腹を刺したんだよ。もしかしたら私も同じ目に遭ってたかと思うと・・・想像しただけで背筋がゾッとした。



 痛みに苦しそうに顔をしかめ、身をよじって暴れだした宙吊りの男の人の事なんて完全に無視して、赤銅色の髪の男は杭の頭に何か・・・黒くて丸い宝石の様なものを取り付けた。すると、真っ赤に染まっていた脇腹の血が何かの生き物のように・・・そう、ヒルのようにヌメヌメと動き出した。そして黒い宝石の様なものにその血が集まると、渦を巻いて宝石に吸い込まれたと思ったら、突然宝石が砕け散った。


 すると、不思議な事にアレだけ血塗れていた服は何も無かったかのように元の状態――杭が刺された部分は穴が開いたままだけど――になり、あんなに暴れていた男の人は急に大人しくなった。


 男の人が大人しくなると、赤銅色の髪の男は後ろに控えていた二人に声をかけて男の人を宙から下ろさせる。その間も男の人は全く抵抗しなくて、逆に不気味だ。


 男の人が二人に支えられて地面に降り立つと、驚いた事に男の人は自ら赤銅色の髪の男に向って足を折り、頭を垂れた。そして、従順に赤銅色の髪の男の後ろについてゆく。



 一体何が起こったの?



 その時は目の前で起こった出来事にただただ疑問が湧き上がるだけだった。




 そして、その疑問が晴れたのは、一人目の男の人が釣り上げられた場所から更に右手に50mほど進んだ場所での出来事だった。赤銅色の髪の男が、逞しい体つきをしたトラっぽい獣人の男の人を釣り上げた情報を見つけたのだ。


 そこでも私は情報表示対象を静止画像から立体動画に切り替え、その様子を見守る。

 

 赤銅色の髪の男は先ほどと同じように懐から杭を取り出し、上半身裸の獣人の男の人の脇腹に突き刺す。そして黒い宝石を取り付け、血がヌメヌメと集まる。獣人の男の人も同じように身をよじり暴れているが、宝石が砕け散った後、やはり獣人の男の人も急に大人しくなった。


 ここまではさっきの男の人と殆ど同じだったけど、よく見ると獣人の男の人の脇腹にはさっきまで無かったはずの真っ黒な模様が浮き出ている。それは不思議な模様をしていて、文字と絵が合わさったような感じで、杭が刺されていた場所を中心に蜘蛛の巣のように脇腹全体を覆っていた。


 たぶん、これが原因で赤銅色の髪の男に従順になったんじゃないかな?さっきの人間の男の人は服を着ていたから見えなかっただけで、もしかすると同じような模様が脇腹に浮き出ているのかも・・・?


 そう考えていると獣人の男の人も地面に降り立つと、自ら赤銅色の髪の男に向って足を折り、頭を垂れる。それを満足そうに見る赤銅色の髪の男。やっぱりムカつくな、こいつ。


 そして、男たちはぞろぞろとこの場を後にした。


 本当はずーっと追いかけようかとも思ったんだけど、彼らが向った先が大樹林を覆う山脈で、そこを昇りだした所で、私は追跡は諦めた。だって何の装備も準備していない体力のない私が山登りをしたところで、たかが知れてるし、それにもし仮に彼らに追いついてしまったとしたらとにかく不味い。


 今の私は、技能(スキル)を使えるようになったと言っても、現場検証や相手のステータスを見るくらいしか出来ないし、戦う手立てが一切無い状態でもしあの集団に遭ってしまったら、あの男の人たちと同じように隷属させられるか、今度こそ命が危ういかもしれない。


 そう考えると足を踏み出す事が出来なくて、情けないけど、すごすごと隠れ家まで戻ってきて、今に至る、というわけです。はい。






 そして、隠れ家に戻ってきてずーっと考えていた事があるんだよね。



 焼け焦げた大地を見て思った『復讐なんて本当に無意味なのか』と言う事もそうだけど、そもそも戦う手段も無く自衛も出来ない無力な私が、屈強な男たちを連れ従えたあの赤銅色の髪の男から『身体の一部』と『私を攫ってきた時に使った魔道具』を手に入れる事が出来るのか?という事なんだよね。


 

 ・・・うん、どう考えたって今のままじゃ不可能だよね。



 そもそも山脈の向こうに向った時点で山越えしないといけないのは確定だし、山を越える体力もない、この世界のお金も無い、ツテも何もない私がどうやって大樹林(ここから)抜け出せばいいのか全く分からない。



 うわー、せっかく技能(スキル)手に入れて魔法が使えなくても何とかなるかな、とか思ってたのに、結局どうにもならなそうじゃない。・・・どう考えたって詰みでしょ、これ。



「はぁ、私弱いなぁ・・・」



 ため息を吐いて、がっくりとテーブルの上に頭を乗せると、そう無意識に言葉が口から滑り落ちた。すると、隣の椅子に座っていたベルデちゃんの顔が驚いた表情になる。



「カエデお姉さまが弱い?なんで?」

「んー、いやねぇ、復讐してやる!って意気込んだはいいものの、その手立ても無いし、それどころか復讐なんかして意味があるのかなぁ、と思ってさ・・・」



 幼女に対して大人である私が喋っている内容がなんだか情けなさすぎて、最後のほうは声がゴニョゴニョと小さくなる。まぁ、ベルデちゃんのほうが年上なんだけどさぁ。姿が子供だから、どうしてもそういう気分になるわけよ。



「復讐に意味なんてないんじゃないかしら?」

「え?」



 情けなくも零した言葉はちゃんとベルデちゃんの耳に届いたようで、きょとんとした表情でそう言葉を返してきた。



「意味を見つけようとしてもそれって言い訳にしかならないんじゃないかしら?」



 小首を傾げ、そう言葉を続けるベルデちゃんに、私はテーブルから頭を起こすとベルデちゃんの方に身体を向け、視線だけで続きを促がした。すると、ベルデちゃんは私の目を見ながら、ゆっくりと一言一言言葉を選ぶように言葉を続けた。



「きっとね、復讐に意味をつけちゃうと、後々後悔しか残らないわよ。『○○の為に仕方なく』とか『○○だからあたりまえなんだ』って意味づけちゃうと、復讐が終わった後に必ずそれを言い訳にするわ。それよりは自分自身の我儘で通したほうがよっぽど後悔も残さないし・・・」



 その言葉は私の目をみて言っているのに・・・なんだか、ベルデちゃんが自分自身に言い聞かせているように感じた。ベルデちゃんも私と同じように復讐したい相手がいるのかな・・・?




 ただ、復讐する事を否定せずに肯定してくれたベルデちゃんのその言葉は、私の胸の中にすとんと入り込んだ。



 そっか・・・そうだよね。いちいち理由なんて考えないで、自己責任でやっちゃえばいいのか。うーん、でもそのせいでベルデちゃんやクレイさんに迷惑がかかるようになるのはヤダなぁ・・・



 って、駄目駄目!!今ベルデちゃんが言ったばかりじゃないの!

 誰かを理由にしちゃ駄目なんだって!!あくまでコレは私の我儘なんだから、誰にも迷惑がかからないようにやるんだよ!



 ・・・そのためには・・・誰にも迷惑をかけないくらい私が強くなればいいんじゃない?復讐相手が歯向かう気も起こさないくらい、ベッコベコにへこましてやれば、いいんだ!



「よし、!そうか・・・そうだよね、意味なんて考えないで、私がやりたいからやる、っていう意気込みでやればいいんだね!!なんか、すっきりした!!ありがとう、ベルデちゃん!!」



 握りこぶしを作り、鼻息も荒くそう決意を口にすると、ニコリと微笑まれた。



「ふふ、どういたしまして。カエデお姉さまは考え過ぎなのよ」

「うーん、そうしたいのは山々なんだけど、30目前の女子は考えてから行動する、ってパターンが定着してますんで・・・」



 その微笑み方と口調がお姉さんぽくて、私は苦笑いと共に言い訳を口にした。





 ・・・今度から『ベルデお姉さま』って呼ぼうっと。

勢いだけで今回書いたので、誤字脱字、繋がりがおかしなところがあるかもしれません。見つけたら突っ込んでいただけると助かります!

(コンタクトの調子が悪くて見返しても文字がかすんで・・・)

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