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あああああああ  作者: けろっぐ
第1部:戦う力
28/42

002

お気に入り登録&評価、ありがとうございます!

引き続き楽しんで読んでもらえるようにがんばります!

「なに、ここ・・・」



 私は思わず唖然とした声を上げてしまった。



 技能(スキル)を使い、道を確かめつつ約2時間ほど森の中をベルデちゃんと共に歩いていると、突然開けた場所に出た。そこは今までうっそうと木や草が覆い茂っていた場所からは考えられないほどに草木の一本も生えておらず、延々と真っ黒な地面のみが広がる焼け野原だった。ただ、焼けて相当な年月が経っているのか、焼け焦げたような匂いは全くしない。

 

 向こう側に見える森の続きが遠い。たぶん500m以上は離れているんじゃないだろうか?左右を見渡しても同じぐらいの幅で円形状に焦土が広がっていた。何故こんな所に焼け野原が広がってるの?それにこの場所に出た途端、急に鼓動を速めた心臓が痛い。一体なんで急に?

 

 ドキドキする心臓の辺りの服をぎゅっと握りしめながら<完全なる解析板(フルアナリシスボード)>と念じる。そして、2日前に生命体がこの付近に居たらその姿を投影するように頭の中で時間軸と表示内容の調整をした。

 

 すると数秒も経たずに、地面からすぅっと蜃気楼のように私の目の前の空中に半透明だけど、ちゃんと色形が確認出来る立体的な静止画像が浮かび上がった。



 それを目にした途端、私は驚きで目を見開いた。



 今まで辿ってきた森の中では私の半透明の映像(すがた)だけしか見つけられなかったけど、今回そこには見た事もない男が3人映し出されたのだから。

 


 一人は年のころは20を過ぎくらいの人間の男で、艶のある長い赤胴色の髪を後ろでリボンで結んでいる。そして、少し不健康な真っ白な肌。太い眉毛の下には薄茶色の瞳。そして薄い唇。案外整っている顔立ちに、以外と引き締まった身体つき。着ている服装や顔立ちからして良いとこの坊ちゃん、って感じがする。


 もう一人も人間の男で、少しグレーがかった髪を短く切りそろえて、後ろに撫でつけている。年のころは30・・・後半くらいかな?こちらもさっきの男とは違う種類の美形。さっきの赤胴色の髪の男がイギリス系ならこちらはロシア系って感じ。そしてさっきの男よりも長身で、鋼のように引き締まったいい身体つき。シャツの間から覗く健康的に焼けた小麦色の肌がとても似合っている。なんだろ、恰好からしてこの人は執事っぽいけど、こんな所にまで執事がついてくるのかな??


 最後の一人はって・・・うっそ、耳!!獣耳!?本物の獣人!?ゴールデンレトリバーそっくりの愛嬌のある顔立ちに、人間みたいな身体つきの・・・男の人!?すごい、流石異世界!!ちゃんと尻尾もある!もふもふしたい!!って・・・片腕だ、この人。よくみたら毛づやもよくないし、ひょろっとしてる・・・着ているものもボロボロだ・・・もしかして奴隷なのかな?それにしても扱いがひどくない?



 私は急いで情報表示対象を半径3mくらいまでに広げて、静止画像を連続して表示するように再調整すると、男たちの静止画像は連続して表示されるようになった。いわゆるパラパラ漫画みたいな感じで。少し動きがカクカクしてるけど、まぁ、それはしょうがないよね。


 しばらくその立体動画を見ていると、突然釣り糸が垂れている地面が黒く光りだした。そして、糸がピーンと張る。・・・これってもしかして。


 突然、赤胴色の髪の男が怒鳴る仕草をすると、男達が三人がかりで糸を必死に巻き上げだす。そして、黒い光の輪からずるりと何かが引き上げられた。そう、もしかしなくても、地面から引き上げられ空中にぶらんとぶら下がっているのは、間違いなく私。


 

 やっぱり、この人たちが私を攫った犯人に間違いないようだ。



 どうやらこの赤胴色の髪の男が、他二人の主人で、私をこの世界に攫ってきた張本人みたい。着ている服の感じから中世の貴族っぽい感じがするんだけど、後ろの二人に威張り散らしている姿は威厳なんかまったくなく、癇癪持ちの子供みたいな印象を受ける。


 そうこうしているうちに立体動画は私の頬を打つ赤胴色の髪の男と、それを止めるグレー髪の男、ワタワタとその成り行きを見守っている獣人の男の所まで進んでいた。

 

 二度三度と殴られていた私を庇うように男が振り下ろした腕を掴んでいる。そして、赤胴色の髪の男は急に興味を無くしたかのように私から視線をそらして、どこかに歩いていった。そんな赤胴色の髪の男を見送りながらグレー髪の男と獣人の男は私にかかっていた針を外すと、焼け野原であるこの地面ではなく、森の近くの草がおおい茂っている場所に私を投げた。



 ・・・やっぱり、赤胴色の髪の男が私の顔を殴ったやつか。ていうか、この二人、私を気遣ってくれていた?・・・そうか、主人の眼があるから助けたくても助けられなくて、自分たちの力の及ぶ範囲でなんとかしてくれたんだ・・・



 最初は現れた三人とも敵だと思っていたけど、ちゃんと優しい人もいたみたい。それに赤胴色の髪の男(仕返し相手)の顔はしっかり覚えた。そして、ふと気がつけば、いつの間にか早鐘を打っていた心臓の鼓動も普通の状態に戻っている。


 何も言わず虚空を見つめ心臓の辺りの服をぎゅっと握りしめていたからだろうか、隣のベルデちゃんに目を向けると、心配そうな表情をしていた。そんなベルデちゃんに、私は努めて冷静にここで攫われてきたことを告げた。



「ベルデちゃん、見つけた。ここで私攫われてきたみたい」

「本当!?」

「うん、攫ってきた相手も分かったよ。やっぱり人間の男の人だったみたい。赤胴色の髪の男とグレーの髪の男と、獣人の男の3人がいたよ」



 そう告げると、ベルデちゃんは眉をひそめる。



「こんな場所にわざわざ人間が来るなんて・・・」

「ここ、なんかあるの?」



 ベルデちゃんは少し考えるような表情をしたあと、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。



「・・・昔、ここで大きな戦いがあったの」

「戦い?」

「そう、すごく昔。200年以上前・・・その戦痕なの」

「え・・・?そんなに昔なのにまだ焼け野原なの⁇」

「・・・ここでたくさんの人間が死んだわ。たくさんの血や怨嗟の言葉がこの土地を汚した。そのせいでマナが多くて、とても清浄なはずのこの大樹林でも浄化しきれずこのままなんだと思う。多分この先ずっとここはこのままよ」

「・・・・・・」



 ベルデちゃんの話を聞きながら、ふとあるお年寄り達の話を思い出した。


 

 「昔、日本でも大きな戦争があって、いろんなところが焼け野原になって何もない状態だったんだよ」


 本当に何もなくなって、友達も兄弟も親もみんなみんなたくさん死んで、生き残った自分たちはとってもとっても苦しんで、それでも生きるために毎日必死だったんだ、と。


 『戦争は何も生み出さない』『悲しみしか残さない』『戦なんてしちゃいけない』そうみんな口ぐちに言っていた。そして、みんながみんな、本当はあの時の事は思い出したくない、けど戦争を知らない世代にちゃんと知ってもらいたい、同じような事はもう二度とおこしてはダメなんだ、と苦しそうに歪めた顔がとても印象的だった。





 じゃあ、私がやろうとしている復讐(しかえし)も無意味なことなのかな・・・?



 私は改めて焦土と化したその土地に目を向け、そしてその物寂しい場所からしばらく目が離せなかった。

戦争のおばあちゃんやおじいちゃんの話は筆者が子供の頃に聞いた話を元にしています。


よくネットとかで「戦争したらいいじゃん!」とかそんな言葉を目にしますが、そういう人って「誰が戦いに行き」「誰が犠牲になり」「誰が泣き苦しむことになるのか」を考えた事があるのかなぁ、と思います。


他人事だと思っているんでしょうかね・・・一度戦争が起きると一夜にして今の生活が壊れるってことを知っていたほうが良いと思います。


そして、あの苦しみを知っている世代の人たちに同じ思いをさせてはいけないとも思います。


小学生の頃に学校の図書館前の妙に薄暗い廊下に張り出されてた戦争写真とか犠牲者の写真とか見てると、そんな気も起こさないほど怖かったんだけどなぁ・・・


今の学校ってどうなってるんだろうね。


って、・・・あれ?ちょっと話が真面目になっちゃった・・・おかしいな、この小説はコメディ路線のはずだが・・・(汗

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