005 ★
7/3:修正 文章のはじめの字下げ追加
7/28:改稿 書きミス等を直しました。
「まず、解析された身体情報が、突然私にも読めるようになったり、今まで表示されてなかった情報が表示された理由を教えてくれる?」
ガクガク揺さぶるのをやめてはくれたんだけど、今度は「説明するまで逃がさないぞ!」と言わんばかりに、膝を突き合わして向かい合わせで座っている状況に置かれています。
説明を求められているはずなのに、説教されている気分になるのはなぜでしょう? ……たぶん、ベルデちゃんから出ているオーラが、そんな気にさせているに違いない。
――というか、緑髪の美幼女と、フードで顔の殆どが隠れているアラサー女子が膝を突き合わして座っている姿って。
傍から見るととってもシュールな絵なんだろうなぁ、ていうか誰かに見られたら間違いなく警察呼ばれそうな姿よねぇ……。とか下らないことを思いつつ、先ほどやったことをそのまま説明する。
「私もよく分からないんですが、突然パソコン画面とキーボードが現れまして……。その中にいつも仕事で使っている開発ツールがあったので、その中に書かれてるプログラムの内容読んでたら明らかにバグと思われる箇所があったので、ちょこちょこっとそこを直してコンパイルしてアプリケーション実行したら、あのような結果になりました」
「何言っているか分からないわ……」
ついつい丁寧語で説明したら、困惑した表情でそう返された。
ですよねぇ。パソコンが分からない人に、そっち系の話しても通じるはずがないですよねぇ。失敗失敗。じゃぁ……そうだなぁ……
「えっとね私の仕事が、色々な言語で物を作り出すことが出来る仕事なんだけど、職業柄おかしなところを見つけたり、修正したり、新しく構築したりするのが得意なの」
「……魔術構築みたいなもの、と思えばいいのね」
そう言って神妙に頷くベルデちゃん。何とか自分が分かる方向に噛み砕いて理解してくれたみたい。まぁ、言われてみれば魔術っぽいかもね。
『文字を書いて結果を出す』
それの媒体や出力結果が、機械か魔力かの違いな訳だし。
「でね、さっきやったのは、さっきの魔法の内容を解析して修正したんだとおもう。全部解析したわけじゃなくておかしな部分だけ直しただけだから、たぶん、ってしか言えないけど……」
「理解せずに直したってこと?」
「全内容を把握しなくても、慣れてくると書き方が明らかに違っていたり、処理内容がおかしい個所ってのは分かるもんよ? まぁ、仕事ではバグ内容把握してから原因箇所特定、修正方法決めて影響範囲見てから……ってごめんごめん、脱線した」
「……つまり、すべて把握したわけじゃないけど、簡単なミス……例えばスペルが違っていたから直した、っていう程度の事なのかしら?」
「そうね、そう思ってくれていいよ。流石に本格的に内容理解していじり倒す、っていうなら、あの時間だけじゃ足りないし」
「……なんか気になる言葉が聞こえたけど、まぁいいわ」
そう言ったベルデちゃんは、すくっと立ち上がると、私の頭上にまだ浮かんでいるステータスのある一点を指差した。
「ここ。技能なんだけど、普通のスキルは目に見えて出現する事は無いの。たぶんさっきカエデお姉さまが使ったのは、このスキルの解析と仕様変更だと思う」
「え? 魔法じゃないの?」
「うーん、カエデお姉さまはそもそも魔法使えないみたいよ?」
「ぇっ!?」
ウソ―!? 剣と魔法の世界に来たら、魔法が使えるようになるのが当たり前じゃないの!?
「ほらココ……祝福もないし、魔法の所なんて『なし(魔法力が無いため利用不可)』って書かれてるわ」
ぉぅ、本当だ……。懇切丁寧に書かれてたね……。
見落としてた……。こんなにデカデカと書かれていたのに、見落としてたよーー!! ちょっとは「魔法が使えるんじゃないか」とか期待していたのに、一気に夢も希望も打ち砕かれちゃったよ!!
目に見えてがっくりと肩を落とした私の姿をみて、ベルデちゃんが慌ててフォローしてくれる。
「具現化するスキルなんて聞いたことも見たこともないわ! ほら、ある種魔法が使えるよりもレアよ!? だからね、落ち込まないで」
まぁ、言われてみればそうなんだけど……
ゲーマーからしてみたら、やっぱりファンタジー世界に来たなら、一度はド派手に魔法打ったり幻獣召喚したりとかしてみたいじゃない……。
で、三十分前に繰り広げたあの滑稽な呪文モドキは、全く意味がなかったと。単に恥かいただけだと……。
……ぃぃやぁぁぁぁ!! 恥ずかしさで死ねるっ!!
さっきの事を再度思い出してしまい、「魔法も使えないのに何やってんのよ!」と、殆ど土下座に近い恰好で頭を抱える。
そして「穴があったら入りたい」「そのままゴロゴロ転げまわりたい」、とばかりに身悶えて出した私に「魔法が使えなくても大丈夫よ!?」と、あたふたフォローを入れてくれるベルデちゃん。
……だけど、私はしばらく立ち直れそうになかった。余りに痛すぎて。




