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私が描く私の夢 2

 灰色のパステルで自分のクロッキー帳を薄く塗る。

 そして左の端の方に青で何かうずまきみたいなものを描く。

 …夢ってみんな毎回カラーで見るのかな。私の夢はいつも、色がくすんでいてたいてい空は曇っている。

 私の性格が暗いからかな。


 …まぁいいやどうでも。

 青いうずまきをぐるぐる塗りながらどうしようかと考えて、うずまきから片手がにゅうっと伸びてきている風に描く。

 これは…認めたくないけどヤグチの手だな。

 そして右の端からオレンジ色のパステルでもう一つ手を描く。

 これは私の手だ。

 どちらの手も延ばされているけれど、私が描いている絵の中では二つの手は今の所重ならない。



 そこでまた振り向いてきたヤグチが「あっ」と言った。

 ヤグチが自分の絵を見せてきた。

「…うそ、気持ち悪っ!」

思わずそう言うとヤグチがゲラゲラと笑ったので「しっ!!」と私は口に指を当てた。

 さっき見た鳥が灰色に塗られて、その鳥に被せるように左端から青い手と

右端からオレンジ色の手が中央に伸びていた。


「まぁな!気持ち悪いな!」

ヤグチも言ったがものすごく嬉しそうな顔をしている。

 嫌だやっぱ、気持ち悪…

 私が嫌な顔をしたままなのにヤグチがおかしそうに笑った。



 ヤグチの笑い声に、モチダタケトが私達の絵を覗き込んで眉をしかめた。

「…お前ら気持ち悪っ!」

「「しっ!!」」

ヤグチと私は人差し指を口の前に立てて、モチダタケトを黙らせようとするが、同時に同じリアクションをした私達をモチダタケトは冷たい目で見ながら、「うっわ~~~」と言った。

「何、お前ら、気持ち悪っ!…すげーなお前ら。つか、出来あがってんなお前ら」

私は黙ってモチダタケトに首を振って見せた。


 「なぁなぁ、みんなに言っていい?」モチダタケトが嬉しそうにヤグチに聞いた。

「ダメ」とヤグチが言うのでほっとする。

もちろんヤグチが良いって言っても全力で阻止するけど。

「お前ら…もしかしてもう付き合ってんの?」

「しっ!」と今度は私だけがモチダタケトをけん制する。

「そんなことないから、大きな声で言わないでよモチダくん」



 キタに言われてクロッキー帳が集められる。後ろから渡していくのだ。

 私はヤグチに渡し、ヤグチはモチダタケトに渡す。

「でもすげーわ」とモチダタケトはまだ感嘆しながらそれでも自分のクロッキー帳を重ねて前に回した。

 モチダタケトはそのまま立ち上がり、ヤグチと私の分までパステルを返しに行ってくれる。

 行きながらまだ「すげーわ」と言っている。


 その先にいる、私の席の列の、前の方にいるハヅキモエノがくるっとこちらを向いた。

 私に向かって自分の絵を見せている。


「…ヤだ…」

私のつぶやきにヤグチもモチダタケトもハヅキモエノの絵を見た。

 その絵の真ん中には灰色のフクロウがいた。もっこりとして目玉の大きい普通な感じのフクロウだ。

 そしてその左側に青色の手。右側にオレンジ色の手。



 ヤグチは何も言わずにそしてあまり驚きもせずに、振り向いて私を見つめた。

 気持ち悪い。

 桜井に放課後呼ばれて話をされた時よりも、生物の高森に変なお茶を飲まされた時よりも、今がずっと気持ち悪い。


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