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描かれる私 1

 目をあけない私は腰かけたまま、ヤグチが言ったようにこの部屋に一人でいると想像する。

 誰も私の事なんて見ていない。

 …目を開けても実際誰も見てないかもしれないし。何しろ私を見ながら私が見る夢をデッサンするんだから。



 夕べ見た夢を思い出す。

 学校中桜井を捜し回って、でも桜井はいなくて、私は出口を捜して、ヤグチが手を引いてくれて、それでも学校からは出られなくて、ヤグチに連れていかれた屋上で呆然としていた。

 …その夢、まんまを描いてる人がいたりしたら怖いな。

 いや、いないいない。誰も私の夢の中までは本当には入り込めないのだ。


 …じゃあ桜井が言っていた、私が選ぶ誰かの夢に出る3,4人はどうやってその人の夢に入り込むのだろう。

 いや、きっと入り込むとか関係ないんだな。そう設定されるのだ。劇の配役のように。



 …私の夢の中ではいつも、私は私だ。私以外の何者にもなった事はない。

 例えば今の私ではなくて、もっと小さい頃の私になっている夢の中でも私は私だ。

 私が私以外の誰かの意思まで左右したりする事もない。

 夢に中でも、現実の世界のように、私以外の人たちは私の意思とは関係なく、そして現実の世界とは違った動きをする。


 …そうだろうか?やっぱり私の意思も少しは関係してるよね?

 この人にこうして欲しいとか、私はこの人にこうしたい、とか。現実の世界で気になっている人が出て来たり…そういう思いがあって、夢の中の人たちと夢の中の私はかかわっているんだろう。



 じゃあ私は本当は、ヤグチに助けてもらいたいと思っているんだろうか。

 いや、あれはヤグチが私の事を助ける、と言っていたのを聞いた夜だったからあんな夢を見たのだ。だって実際、夕べの夢の中の私は、ヤグチよりツブツブに助けて欲しかった。



 私の夢にツブツブやヤグチが出て来たように、私も夕べ誰かの夢に出ていたかもしれない。

 でもそれは私ではないのだ。もちろんだけど。

 誰かの夢の中の私は私じゃない…はず。

 それでも私の意思とは全く関係なく、誰かの夢の中で勝手に動き回る自分を見てみたいな。


 …誰も私の夢なんかみてないよね。

 父さんや母さんさえも見てなかったら、夕べの私は、眠っていた私と、

私の夢の中にいて走り回っていた私だけだ。



 そういう風に考えると、誰かの夢の中に出る3,4人を選ぶのは、桜井が言ったようにそんなに深く考える事ではないのだろう。

 適当に選べばいいだけ。

 『違和感のある人』って言ってたから、全員の話を聞き終えた後、私はその子たちを、パッ、パッ、パッ、と決める。


 あ、何か首のとこがかゆい。腕動かしてもいいかな…

 …そうかみんなはここにいる私の事を描いているんじゃなかった。じゃあ私、わざわざこうやってみんなの前にさらされる意味ないんじゃないの?


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