体育館で話す人たち 3
ムラヤマさんもデガワさんと同じように静かな感じで、身長が165センチくらいあり髪も長いので、私達同級生よりより大人びて見える。
たぶん私服になったら普通にОLだと思われそうな感じ。
ムラヤマさんは輪の真ん中まで行ってしばらく下を向いていた。
何だろう。静か感じの人だし、やっぱりみんなの前で話すのが苦手なのかな。
どうしよう…と私は思う。
私が立ち上がって行かないとまずいんじゃないの?だって最初言われたの私だったし、私がはっきりしないせいで、たまたまこの時間の担当が双子だったせいで、たまたま双子の兄弟姉妹を持つ子たちが前に出させられて話をさせられる。
ムラヤマさんがすごく嫌ならやっぱりここは私が立ち上がるべきだ。
「「よ~~~し」」と田代姉妹が言う。
「「無理しなくてもいいんだぞ~~。パスもありだから~~」」
パスもありなんだ…
でもムラヤマさんは前を向いて話し始めた。
「私の双子の妹は、双子だけど私よりずいぶんちっちゃくて、小さい時はずっと病院に、今は施設に入っています。生まれた時から大きな疾患があって。…私は普通に生まれたのに」
みんなが少しうつむいて話を聞く。
「私が全部栄養取っちゃったからだ、って思ってすごく哀しい時もたくさんあったんですけど、それとかもしかしたら妹じゃなくて、私の方が妹みたいに動けない体に生まれたかもしれない、とか。そう考えたら生まれるって、生きるってすごく怖いなとか。そして最後には何かおかしいかもしれないけど、すごく不思議な気持ちになります。それでも私はここに居るんだなっていう…うまく言えないけど…もしかしたら、っていう生きていく上でのいろんなもしものケースが考えられるけど、それでも私は今はここに居て、こうしているんだなって。だから、そういう風に思ったら、勉強とか頑張ろうとか、もっと一生懸命生きよう、とか。思える人もいるのかもしれないけど、私はそうは思えなくて、私は普通でいたいな、と思うんです。普通に生きてご飯食べて寝てそれがすごいなって」
ムラヤマさんの話はここで終わった。
なんか…涙が出てきたので慌てて眼を少しグルグルさせて
涙を出さないようにする。
ああ~~と私は思う。
こういう話、もし私だけに聞かされたら、私はちょっと困ってしまったんだろうな。なんて受け答えすればいいかわからないから。
受け答えなんてムラヤマさんは望んでいないとは思うけど。
ぐすっ、ぐすっと泣く声が聞こえて
私以外にも泣く子がいるんだな、と思ってみたら、田代ミカとリカがぐすぐす泣いていた。
2人は立ち上がってムラヤマさんの所へ行き、ムラヤマさんの頭を2人の大きな手でがしがしと撫でた。




