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日々進展 1

 バスが学校に近付いて来た。

「先生、今日放課後先生のとこに行っていいですか?」

「いいけど今日はツブツブと帰らんのか?もうメアドも交換したんだろう?」

ウザっ!

「今、っていうかずっと私の事をウザいと思ってるだろう?」

桜井はずっと嬉しそうだ。

「説明の時も言ったけど、報告とかはいらないんだよ」

「何言ってんですか?昨日はバスの中でわざと聞いたくせに」

ハハハ、と桜井は笑った。

「あれは昨日もツブツブと帰ってる山根を見てちょっと嬉しかったのと、いろいろ心配だったからだよ。別に放課後来てもいいが、来なくても全然いいぞ。私だって忙しいからな、いろいろ」



 バスを降り、校門へ向かう。

 桜井から離れたいのに桜井は微妙に歩調を合わせてくる。

 校舎の前になってやっと桜井は職員室のある1号棟へ私は教室のある2号棟へ向かう。


「薫ちゃん!」と後ろから聞こえた声はツブツブだ。

 パッと振り向いてから恥ずかしくなる。今結構大きな声で「薫ちゃん」て呼んでくれた。

 私はちょっと周りを気にする。

 一便早いバスに乗ったからまだあまり周りに人はいない。


 ツブツブは自転車を押していた。

「おはよう。直ったんだね、自転車」

「そうなんだけど…メール見た?」

「うん、ありがとう。私も登録したってすぐ送ったんだけど見てくれた?何か私…短いメールしか…」

「うん、それは見たけど、オレの今朝のメール見てない?」

え?私は慌ててかばんからケイタイを取り出しながら言う。

「ごめん。私、毎朝目覚ましに使った後、マナーモードにするからメールくれてたの気付かなかった!」


ツブツブがくれたメールは

   「おはよう  

    昨日と同じバス?」。


「返事があったらオレもやっぱバスにしようと思ったんだけど。雨降りそうだから」

「そっか。残念!メールに気付いたら良かった」

つい言ってしまったら、ツブツブが「え?」と少し驚いてから嬉しそうな顔をしてくれた。



 ふわ~となっている気持ちの所に、「はよ」と声がして頭にポンと軽く手が置かれた。

 驚いて首をすくめ振り向いた相手は私を追い抜いて前にいた。自転車に乗ったヤグチだ。


「やっぱりヤグチと仲良いんだね」

ツブツブが言うのでもちろん反論する。

「ううん!おはようなんて初めて言われたよ」

「ふ~ん」というツブツブの声が、さっき2人で喋っていた時の声とは違うように聞こえて私は焦る。



 自転車を置いてくるからとツブツブが言う。

 どうしよう?ここは自転車を置きに行ったツブツブを待つべき?でも「待っといて」なんて言われてないし…先に行ってとも言われてないけど…

 待ちたい気もするけど、あれ?待ってたの?とか言われたら嫌だ。


 ちょうどそこへクリハラミノリちゃんが「おはよう」と言ってきてくれたので私はツブツブに「じゃあ先に行ってるね」と言えた。

 ありがとうミノリちゃん。



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