桜井への確認 3
ハハハ、と桜井が高笑いしたのでビクリとする。
止めろ桜井。みんなが振り向くじゃないか。
「適当に選んでも一生懸命選んでもたいしてかわらんよ」
「え?」
「さっきも言っただろう?たいていの事はどうでもいい事なんだって。全ての事は運なんだよ」
「…」
「ある人が『これは運じゃなくて人から作為的にもたらされたものだ』と思っても、作為的にもたらされたこと事態がもう運なんだからね」
「…」
私は頭の中で桜井が言った事を考えるが、それで私に何を言いたいのかもわからない。
「だから」と桜井がため息をつくように言った。
「どうでもいいって事だよ」
「…」どうでもいい?
「どうやったって山根の所にみな来るわけだ。それを聞いてただそれだけ。
3,4人選ぶのもただ選べばいいだけ。山根も一昨日、わかりましたって言ったのを私は聞いたけどね」
わかりましたって言ったよ。ヤグチにもそう言われた。でも…
「先生、私がどう思おうがみんなが私のとこに来るのがもう決まっているのなら、私にはどうする事も出来ません。ただ話を聞くだけです。でも相談みたいな話をされたり、むやみに意見を求められるのは無理だし嫌なんです」
「あぁ、そう」桜井は気の抜けた感じでそう言う。
「大丈夫だよ。山根に誰もたいしたことは求めてないから」
「…」
「何か言ってやりたいと思ったら言ってやったらいいし、ほっときたいと思ったらほっとけばいい」
そんなもんなのか?
「じゃあその仕事私がやらなくても…」
「バカか山根。山根が出席番号が一番最後なんだから」
「…」
桜井は優しく微笑んで言った。
「自分の置かれた状況を楽しみなさい」
「でも先生…あの…、あったじゃないですか?」
言い出すのがちょっと恥ずかしい。
「山根」ちょっとしかめた顔をしてみせた桜井が言う。
「その、『何とかじゃないですか~?』っていう言い方、私はちょっとイラっとくるんだよね」
「あ~すみません…あの、男子が2,3人、私の事を…好きになるって言う話なんでけど」
うんうん、と桜井がうなずく。
「無しにしてもらえませんか?」
「ふん?」
「無しに」強調する私だ。
「そういう設定はあった方が心躍ると思うけどねぇ。私だったら嬉しいけどな、そういうオプション」
「…でもそれ本当は私の事好きでもない人が好きだって言って来てるわけじゃないですか?」
私の『じゃないですか?』に反応して桜井が変な顔をする。でもそんなのどうでもいい。
「私…」と言いかけてこんな事本当だったら絶対桜井なんかに言いたくないのにと思う。
「先生、私、男子と付き合った事ないんです」
ふんふんと桜井がうなずく。
「だからそういう事に全然慣れてないから」
ふんふん。
「何て言うか…余計な期待はしたくないっていうか」
ふんふん。
桜井の『ふんふん』、ウザいな。
「その子は本当だったら私の事を好きになる事なんてなかったはずなのに好きになってるって事ですよね?」
「う~ん」
「それで先生に言われた仕事が終わったら元に戻るんでしょう?私の事なんて何とも思ってない感じに急に戻って、その時私がその子の事すごい…その…好きになってたりしてたら嫌なんですけど!」
ふんふん!
桜井は今までで一番大きくうなずきながら言った。
「そうだよね。揺れる気持ち」ふんふん。
ふんふんがやっぱ相当ウザいよ桜井。
それにもう私、結構ツブツブの事好きなんですけど…




