テキーラ
馴染みのバーで俺はテキーラのショットを空けるとライムをかじる
「世の中は不平等だと思うわけだなお前は?」
隣でテキーラを同じように空けたアキはそう言ってカウンターを二本の指で叩くとバーテンの方に向かってビールと呟く
「ヒサよぉ、今さらお前からそんなにセンチな言葉が出るとはな。
今年の夏はいよいよ馬鹿もイカれるほど
ヤバいって事か」
バーテンがビールを2つよこすと何き囁き奥に戻る。
はっきり言えよコノヤロー!!と、少し苛つくが我慢してアキを見る。
タピオカの殻を斜め後ろのカップルに向けて投げつけていた
「盛ってんじゃねーぞコラ!!」
イカれた馬鹿はお前だと心で呟き紳士な俺はビールを飲む
「で、お前はどーなんだ?何かオレオレのバイト始めたって言ってたよな」
アキはタピオカの殻投げを三回ほど繰り返しビールを飲むと俺を見て、またビールを
飲み口を開いた
「ダメだあんなもん。下らねーから辞めた」
「だいたいよ、俺達を育て日本を引っ張ってきたおじいさんおばあちゃんにな、タカるなんて酷い事ができるか!?
俺はな、いつか世の中に何かしら返したいと思うわけ…だからあんな事で儲けられっか!!」
「そぉか…って、コラぁ!!
お前さっき俺が仕事辞めた話ししたら散々馬鹿にしやがったじゃねーか!!」
「お前のおセンチな話しと一緒にすんな。
俺は社会問題に真っ向からぶち当たったんだ」
「何が社会問題だコノヤロー!!お前も俺と同じだっつーの」
「アァ!?太陽が眩しいから仕事辞めた奴と同じだとコノヤローぶっ飛ばすぞ!!」
しばらく友情の殴りあいをした俺達は席に着くとカウンターを指で叩きバーテンに
2つづつと呟く
テキーラとビールがそれぞれの前に並び無言で空ける
「ま、とりあえず無職だな…」
アキが呟き俺も重ねる
「無職だ…」