俺の親友は翻弄したい
どうも、市舞ポメです!
今回は短編です!
普。連載とは少し趣向を変えて、今回はキャラクター同士の「掛け合い」を意識して書いてみました。
ひたすらヒロインに翻弄される主人公と、そんな主人公をからかって楽しむヒロイン。
二人のやり取りを楽しんでいただけたら嬉しいです!
それでは、ゆっくり見ていってください!
突然だが俺、褒手望斗には仲のいい女子がいる。仲は、良いのだが...
「あああああああ!小遣い減らされるー!」
「ほんとにあんたは馬鹿だよねー」
「そんなこと言うなよぉ...」
「でも、いつも頑張ってるの私は知ってるから」
「褒めてるんかい!」
「それでもあんまり結果は芳しくなかったみたいだけど...」
「貶してるんかい!」
「なんであんなに勉強しててこんな悲惨な点数がとれるんだろう...」
「不思議そうに言うな!追い打ちになってるから!」
「努力に結果が追いついてこないタイプだ...」
「もうやめろぉ!」
「あ、いい意味でね?」
「それ言えば何でも許されると思ったら大間違いだからな!?」
最近彼女に翻弄されすぎていて、非常に困っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「最悪だ...どうやってテスト隠そう...」
「諦めなよー。後からバレたほうが怒られるでしょ」
放課後。その日は期末テストの結果が返され、ほとんどの人が荷物をおろしたように晴れやかな顔で教室を出ていく。そんな中、俺は自分のバッグに頭をうずめ、鬼が住む家にどうやって忍び込もうか考えていた。
「鬼いちゃんにバレたらなんて言われるか...」
「学校では私が教えて、家では鬼...お兄さんがつきっきりで教えて、よくこんな点数が取れたわね」
「今俺のお兄ちゃんのこと鬼いさんっていいかけただろ!」
「い、いやそんなことは〜...ってかあんたが言い出したんでしょうが!」
「何の話かな〜」
「よし、望斗の家行くわよ。点数全部私の口からバラしてやる」
「待て、早まるな!」
猛然と走り始めた彼女に、俺は持てる力全てを足に注いで陸上選手もびっくりの速度で追いかけた。後ろをちらっと見て、俺が追いかけていることを確認した彼女は、俺のあまりの必死さに面食らいながらすばしっこく逃げ回った。途中で先生に注意されながらも学校鬼ごっこは続き、校門を出てすぐのところで、やっと俺は彼女の肩を捕まえた。
「はあ、はあ。望斗ってそんな速度で走れたの...?」
「はあ!はあ!げほっげほげほ!」
「あ、やっぱ無理してたんだ」
し、死ぬ...余裕でこれは死ねる...。いつもあんまり運動しないから死にそう...。運動得意ってわけじゃないのに...無駄に火事場の馬鹿力を発揮したせいで、肺が潰れそう...心臓が破れそう...うっ
「うっぷ...」
「わあああ!が、我慢して!えぇっと...あそこの手洗い場行くよ!」
焦った顔をして、俺の手を引く彼女は...唐貝月という。彼女との出会いは確か...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よろしく〜」
「よろしくな、えぇっと唐貝...つきさん?」
「あ、ごめん。それ月って書いて『ほし』って読むんだ」
「えぇ!?そうなの?」
「だって、月だって星でしょ?」
「そういう問題なのかなぁ!?衛星は衛星でも『月』っていう名前があるじゃない」
「じゃあ君は夜空を見上げて、星を指さしたときに一つ一つ名前を呼ぶの?」
「いや呼ばないけど...知名度が違うでしょ、知名度が」
「ひどいよ...星にも名前が一つ一つあるっていうのに...」
「じゃあ『月』も『つき』と呼んであげろよ」
第一印象は明るくて面白い子だなと思った。初対面なのに気を遣わないでいいというか、彼女と話すのは単純に楽しかった。彼女も俺と同じようなことを感じたのか、学校では自然と彼女といることが多くなっていった。そして...今に至る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほんっとに運動神経ないんだから...」
「ぐうの音も出ません...」
「ポジティブに捉えたらチャームポイントとも言えるのでは?」
「それがチャームポイントになるのは女子限定だよ...」
「確かに。鞘音とか運動神経が悪いよね〜。ほぼ毎日男子から告白されて大変そうだよね。逆に男子は運動神経がいい森とかがモテてるよね」
「そうだよ...結局運動神経がいいヤツばっかりがモテる世の中なんだ...」
「女子の間では若葉とかも人気あるけどね。運動神経は普通だけど、頭が良くて落ち着いた雰囲気がいいんだとか」
「そうだよ...結局頭がいいヤツばっかりがモテる世の中なんだ...」
「それに比べて望斗は...はぁ」
「なんのため息!?『望斗は...』に続く悪口全部ため息に変換したんか!?」
「焦る必要ないよ。いつかいい人が望斗にも多分恐らくメイビー見つかるかもしれないねって私は思ったかもしれないよ?」
「確証がないとかいうレベルじゃない!」
あれ...おかしいな、目から水が止まらないぞ。体の水分が急速に減っていってるぞ。あぁ、なんだろうすごくしょっぱいな。ははは... 俺が中空を見つめながら「は、ははは...はっ、はは...」と虚ろに笑っていると、俺の前に月が一歩進み出た。
「まあ...」
「ははは...」
「私は、望斗のそういうところ好きだけどね?」
「はは...は?」
聞き捨てならない言葉に俺はバッと月を見た。俺の目は涙を瞬時に止め、彼女の顔に焦点を定めた。彼女は指で制服の袖を掴み、その手を口元に当てた。頬を朱に染めて、もじもじと下の方に視線を泳がせる月。ドクン...俺達の間に何やら甘い空気が漂い始める。
「あの、私は別に運動神経が良いとか...頭が良いとか別にどうでもいいし」
「月...」
「望斗が定期テストで毎回平均点を下回ってるとか...」
「月さん?」
「運動会では何回コケるのか賭けの対象にされてるとか...」
「月さん?」
「顔はブサイクでもなく、飛び抜けてイケメンなわけでもないとか...」
「それはひどくない?」
「取り立てて特技という特技もないとか...」
「うん、喧嘩売ってる?」
「全部ひっくるめて、私は望斗が好きだか、くふっふふふ」
「いやせめて最後まで言い切れや」
序盤の流れは置いといて、最後の決め台詞まで演技が続いたら許してやろうと思ったのに、コイツは...!
「ガチ告白に見せかけたただの罵倒じゃないか!ミジンコぐらい期待した俺が馬鹿だったわ!」
「はあ〜!?私があんなにあざとい仕草してあげたってのに損だけしか期待してなかったわけ!?」
「あざといって自分で言うのかよ!」
「あ、今のナシで」
「取り消させねえよ?」
「まあまあ、細かいことは気にしないで。そんなんだから器が小さいって言われるんだよ」
「さらっと追撃すんな?そんな事言われたことないからな?」
あ〜なんだろう。最近はこいつと喋ってると色々と体力が削られる気がする...家帰ったら即寝落ちかな〜これは。俺がおでこに手を当てて、天を仰いでいると、月が俺の制服をくいっくいっと引っ張った。
「今度は何だよ...」
俺が警戒心に満ちた視線を向けると、月はニヤッと口角を上げ俺の耳に口を寄せた。
「でもぉ、望斗のことはちょぉっとだけ、かっこいいって思ってる...よ?」
「っ!」
俺は耳を抑え、バッと後方に飛び退いた。耳にかかる吐息と彼女との距離となんかわからんいい匂いと...全てが一気に俺の心に会心の一撃をぶっこんできた。
(あぶねぇ...!瞬時に距離を取らなければやられていた...!)
シリアスにそう心の中で言いながらも、頭の中ではさっきの彼女の言葉がリフレインしていた。「う、ぅぅぎぃ...」と俺が口の中で唸る俺を見て、月はくすくすと笑っている。くそ、舐めやがって...。俺は悔しげに彼女を睨む。すると、
「にひっ」
「...?」
彼女はいたずらを思いついた子供のように、あるいは面白そうなおもちゃを見つけた悪魔のようにその口に笑みを浮かべた。そして、その口をゆっくりと動かした。声は出さずに。
(何だ...?)
警戒しながらも無意識に彼女の口に注目し、何を言ってるのかを読み取ってしまう。
(だ、い、す、き...はっ?)
彼女とパチっと目が合う。恐らく俺は今とても間抜けな顔をしていると思う。そんな俺に向かって、月はあざとくウインクをしてみせた。
「ふぎゅうぅ...」
俺は家に帰る前に寝落ちした。本当に...翻弄されすぎている。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は「こういう掛け合いを書いてみたい!」という気持ちから生まれた短編でした。
望斗と月の会話を書いているのがすごく楽しくて、気づいたらほぼほぼ会話だけになっていました。
ちなみに、この作品は『恋は変幻自在で一人十色』という短編シリーズの一作目になります。
シリーズについて気になる!という方はぜひ私、市舞ポメの活動報告を見てみてください。
もし「この二人の掛け合い好きだな」と思っていただけたら、ぜひ評価や感想をいただけると嬉しいです!感想ほんとに気軽に書いてみてください。
それでは、また次の作品でお会いしましょう!




