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ルーズリーフは宝石の輝き?驚きの文房具事情

  シャワーを終え、皆で丸くなって座る。


 顔が小さいイケメンに美人…何でも似合うんだなあ…モデルさんみたい。

 店にある、海外モデルを使った広告を思い出す。


 マリアはうきうきとした様子だ。

「一瞬で服が留まるのには感動しました。風を通さないのにとても軽いですね。

それに、お洗濯をしてもすぐに乾きそうで、遠征中でも困らなさそうです」


 マリアは上品スポーティーな甘辛ミックス。

 くすんだベージュのオーバーサイズなマウンテンパーカーと甘めの小花柄ロング丈ワンピース。裾がふんわり揺れるタイプだ。美人は何でも素敵だなあ。


 アンがコソコソと話しかけてきた。

「ねえ、ミュウ?さっきの下着ってもうないの?私、あれ以外履きたくないよ…」

 私も小さい声で返事をする。

「あと1枚ならあったよ。あとで渡しとくね。気に入ってもらえて良かった。

こちらの下着って違うの?」

「やった!ありがとう!あれすごく気持ちいいんだよね。こっちはもっとゴワゴワしてるんだよ」


 アンは天真爛漫なテック・ガーリー。

 アイボリーのシアー素材ワンピースにフード付きの丈が短いボアベスト。それにパステルカラーのルーズにたゆませたハイソックス。ネコミミのニット帽が破壊的なかわいさ。買い物に行けば、おまけしてもらえそうだ。


「なんだこの青いズボンは?鉄みたいに丈夫なのに動きやすいな」

 ジークはアーバン・サバイバル。

 フード付きパーカージャケットはチャコールグレーの、少し撥水加工がされたようなクールなデザインだ。それに履き込んだようなヴィンテージ加工のワイドジーンズ。

 更に腰にはしっかり剣を帯びてるところがめちゃくちゃかっこいい。ハイブランドのモデルみたい。顔がいいって罪だ。


 みんなよく似合っている。従姉妹一家に感謝だ。



 みんなが落ち着いたところで、スマホと筆記用具を用意して、色々聞いてみることにした。


…が、みんながこちらを見ながら驚いている。


「なになに、そのペンに紙と薄い板!」

「そんなに白くて薄い紙があるのか?」

「インクはいらないのですか?……透けそうなのに、とても滑らかですね」


「筆記用具も違うの?」と、私が言うと、アンが見せてくれた。羽根と魔石という石がついているペンだ。羽根ペンって本当にあるんだ……


「私のはこんなのだよ。キラキラした字を書けるけど、すぐ消えるよ。高かった〜」

「え、見せて見せて!」

 魔力で空中に光る字を書く。しばらくしてそれは消えた。

「すごいね……」まさにファンタジーって感じ。


「私は今、持っていませんが、ペンにインク壺、それに羊皮紙です。インクがこぼれるのであまり出したりはしません」

 羊皮紙で書き損じた時は、ナイフで削るようだ。何度も再利用できるみたいだし、一生モノって感じかな?


「俺のはこれだな。綺麗に書く必要はないからな。生存のためのサインが書ければそれでいい」

 ジークのは木炭に木片だ。地形や敵の数を書き留めるらしい。


「ねえ、ミュウのを使わせて!」

「いいよ、はい」アンにボールペンとルーズリーフを手渡す。

 『カチッ』というノックをする音に驚いたジークが剣に手をかけた。


 試し書きしたアンが言う。

「わぁっ、これすごい!インク無しにスラスラ書けるよ!

裏写りしないし、すごく軽い!すぐに乾くんだね!

服を汚す必要もないし、時間が止まっているみたい。魔術学院の論文、これで書きたかった〜

……これ、書き間違えたらどうするの?削れないよね?」

「消すかそこだけ捨ててやり直すよ」

 私がそう言うと、

「消せるの?!こんな綺麗な紙を捨てる?!!」 

「こちらでは、綴るか、巻物なのですよ。まさかやり直せるとは……」

「ページを入れ替えられるのか……」

 とても驚かれた。


 ジークとマリアも恐る恐る、試し書きをする。

「こんなに細い線を変わらず書けるとはな……先端を削る必要が無いし、これは魔法なのか?いや、精霊が住んでいるのか?」

「なんて素晴らしい書き味なのでしょう…!滑らかで美しいインク…!ミュウ、これは本当に『ペン』なのですか?」


「よかったらあげようか?まだいくつもあるし」

 私がそう言ったら、

「わーい、やったー!ありがとうー!」アンは大喜びだけど、

「そんな高価なものをいただけません!」

「こんな便利で貴重な道具をもらえるわけがないだろう……」

マリアとジークが遠慮している。

「これはどこにでも売ってる消耗品だし大丈夫だよ、はい」

 手渡したら三人はそれぞれお礼を言って受け取った。


「ミュウ、お前の国ではこんな魔道具のようなものを、大勢の人間が持っているのだな……」

 ため息をつきながら、ジークはボールペンを観察していた。



 落ち着いたとこころで、三人にスマホの地図アプリを開いて見せる。


 …これを見せたらどう思われるだろう?


 少し緊張するけれど、順番に聞くより、こちらのことを話しながら聞いていくのがいい気がした。


「これは地図を出せるものなの。私がいた世界だけ、そう思っていたけど表示が違うんだよ。

もしかして、これってここの山じゃない?」

 画面をタップし、拡大してみせる。

 ジークはうなり、アンは信じられないという顔をした。


「この板の中に精霊が住んでいるの?ずっと光ってるね。光の呪文をかけ続けてるみたい」

「俺たちが時間をかけて歩いた山を、一瞬で見通せるのか?」

「確かに、この山です!でも持っていた地図よりかなり詳しく書いてあるようです」


(やっぱり、ここの山なんだ)


 なぜこちらの地図が表示されたのかは聞いてもわからない。

 …理由はわからなくても、この地図を使えるのは心強い。



「荷物を落としたって聞いたけど、何か大変なことがあったの?」

「見たことない魔物が出たんだよ!魔法も剣も効かなかった!」


 こんな感じ、とアンが地面に絵を書く。テトラポットのようだと感じた。中央にポツンと丸い宝石みたいなものがついている。


 宝石みたいなのが目なのか、核なのか━━考えた瞬間、背筋がゾワリとした。


「あんな鉄の塊みたいなものは見たことも聞いたこともないです。ミュウの車とも全く違います」

「それまでの探索で疲弊していた俺達には、とても敵う相手ではなかった。それで野営の準備をそのままにして逃げてきたんだ」

 マリアとジークも答えた。


「そうだったんだ…」

 それであんな状態だったのか。

何とか逃げられて、本当に良かった。



「ねえ、この祠って私たちがいたとこじゃない?」

 アンは拡大縮小とスライドの仕方をもう覚えたらしい。

少し離れたところにあった祠を指して言った。


「確かに、近くに泉もありましたし、そうだと思います」

 マリアもそう言った。



 よく見ると8キロぐらいの距離だった。ルートを見れば、車で行けそうだ。

「この地図だとすぐに見えるが…もっと距離があるんじゃないか?」

 ジークが言う。

「未知の魔物に気をつけながらだと半日くらいかかりそうだな」



 少し息を吸ってから言った。


「ねえ、後で車で行ってみない?」

「「「えっ?!」」」

 3人の声がハモった。



「怖いけど…荷物とこの祠が気になるよ。確かめたい」私がそう言うと、


「確かに…貴重品はありますが、荷物が無いのは困りますし…」

「しかし…あの魔物に遭遇するわけには…」

「じゃあ時々、空飛んで見てから移動するのは?もう回復したからいけるよ!ミュウの地図もあるからね」アンが提案する。


「…危険そうなら、すぐ逃げることにすればいけるか…?ミュウの『クルマ』は鉄の魔物より強いのだろうか?」


(まさか……これで戦うつもり?)


 ジークは車を大人しい魔物だと思っているらしい。



「それじゃ、決まり。準備したら行ってみよう」

「おぉ〜!」

「うーむ…」

 読んでくださる方が少しずつ増えていて、本当に嬉しいです。ありがとうございます。

 第10話も同時に更新しています。よろしければ合わせてお楽しみ下さい。

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