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さらばコブ山! キーホルダーになった車と新たな旅立ち

 一度車で戻って、散らかった荷物を整理することにした。戦闘の緊張が解けて、ようやく落ち着いて荷物に向き合える気がした。


 それから、今後を話し合うことになった。

 あの場所は強い魔物が出ないらしいし、マリアの結界魔法のおかげもあって安心だ。


 車内でマリアに飲み物を渡しておいた。

 ペットボトル入りのりんごと洋梨の紅茶だ。

「ふわりとした果物の香りと、ほのかな甘さがとてもいいですね」


 マリアの表情が緩む。

 りんごは特に高価で中々手にはいらないと聞いた。

 ハーブティーは浸透してきたけれど、花の香りやフルーツの香りを使ったフレーバーティーは無いらしい。


「友人に飲ませたいです」


 お金持ちの友達のお茶会で、沢山珍しくておいしいものを飲んだり食べたりしたけれど、私が出すのはもっと珍しいらしい。


「その人に私も会ってみたいなあ」

「きっと気が合うと思いますよ。異世界の珍しいものが好きですから」


 ジークは私が飲んでいた水のペットボトルが中身も容器も美しいと気になるらしく、同じものをあげることにした。




 帰りは周りを見る余裕が出来た。

ゴブリンらしきものや凶暴な猿みたいな魔物がいた。一瞬、目が合った。

 窓の外でギャアギャアと騒ぐ魔物を横目に、車であっと言う間に置き去りにしていく。


 でも、窓の外で暴れる魔物を見て、背筋がひやりとした。

 もし車がなかったら、私は今頃どうなっていただろう……


 徒歩なら何時間もかかる道でも車と一緒ならどこまでも行ける気がした。

 でもいつかはああいうものとも戦う日がくるだろう。



 元いた場所に戻ってきた。

 朝晩を過ごした場所だから、ちょっとホッとする。

 皆は適当に積んだ荷物の整理をし始めた。私もついでに整理をする。

 

 これからどうしようかと考える。最終目的は塔だけど、魔法を覚えて強くなる、装備品を整える、色々やることはあるな。

 皆とは一緒にいたいけど……まだ一人で行動するのは、ちょっと怖い。


「ねえ、みんなはこれからどうするの?」

「街に戻るよ!」

「依頼も完了してたことだしな」


 私と会うまでにやることは終わっていたらしい。


「ねえ、私も一緒に行ってもいい?」

「もちろん、大歓迎だよ!」

「不慣れなのですから、色々とご案内しますよ」

「これからのことを考えて、冒険者ギルドに登録をした方がいいだろうな」

「わぁー楽しそう!みんな、どうもありがとう」


 良かった。とりあえずは皆にくっついて最寄りの大きな街まで一緒に行くことになった。

 人情味あふれる、賑やかで豊かなところらしい。 

「ナニヴァルというんだ」

「そういう名前なんだね」


 冒険者ギルドというのも、依頼主と冒険者の間に入り依頼を仲介する組織のようだ。

 大体どこの街や村でもあるらしい。を依頼や冒険者のランク付け、情報の収集を行う。

 本当にゲームみたいだ、と思って少しワクワクした。



「それでね、私はこの世界のお金が無いし、こういうものを売ってお金にできないかな?」


 従姉妹一家が忘れていったもの、その2の袋を出してきた。サージカルステンレスのピアスやパワーストーンのペンダント、和装の髪飾りやおしゃれな鏡が入っていた。

 心の中で、おばさん、本当にごめん……でも今は生きるために使わせて……!

と手を合わせる。


「わ、きれ〜い!ピアスかわいい!」

「異世界のものは貴重で人気ですからね。いい値段で売れると思いますよ。それにしても精巧なつくりですね……この髪飾りなどは芸術品です」

「見たことがないようなデザインだな……俺たちの行きつけの店が良心的だから、そこで見てもらうといい」


 おばさん、ありがとう本当に!


 ジーク達がよく行く店に連れて行ってもらうことにした。



 それから一番気になっていること。皆が見守る中、操作してみる。

 車の鍵を取り出し、新たに加わったボタンを長押しすると、車はミニカーサイズのキーホルダーになった。

 手のひらに収まる、まるで精巧なミニチュアのような。少し、ずっしりとしている。ひんやりとした金属の質感なのに、どこか温かい。


「おお〜!!」

「まぁ……!」

「本当に小さくなったぞ……!」



 出発直前になってコヨリ様から止められた。

「この世界では目立つぞ」

と、祠で細工して下さったのだ。

 何回か元に戻したり小さくしたりを繰り返す。うん、問題無し。

 これでどこでも持っていける!


 山の入り口で車を降りる。

 それぞれの荷物を持ち出した。


「あーここから徒歩かぁー」


 車での移動はここまで。疲れた体が悲鳴を上げるだろう。でもこの先には初めての街がある。

 文明のありがたさを噛みしめながら、私は歩き出した。



 そうして最初の、迷い森のコブ山を後にした。

読んで下さり、ありがとうございます。


慣れ親しんだ(?)コブ山とも、いよいよお別れです。

愛車がキーホルダーサイズになるという神様改造、駐車場代もかからないし、盗難の心配もなくて最高ですよね(笑)


そして、美優の命運を握る「おばさんのアクセサリー」

異世界で一体いくらの価値がつくのか……親戚の忘れ物が、まさかの救世主になるかもしれません。

次回からは、賑やかな街「ナニヴァル」編に突入します。


次回は来週、4/12(日)の19時頃に更新予定です。

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