【漫才】謝罪会見
二人「はい、どうも~」
ボケ「すっかり涼しくなってきまして、秋っぽくなってきましたね~」
ツッコミ「そうね~、なんか唐突に夏終わった感あるよな」
ボケ「秋といえば〇〇の秋とか色々ありますけども、君知ってる? 〇〇の秋」
ツッコミ「なに、食欲の秋とか?」
ボケ「あ~、なるほどね。ほかには?」
ツッコミ「え~? 読書の秋だろ。あ~、あとはスポーツの秋とか」
ボケ「はいはい、ほかには?」
ツッコミ「もういいだろ。3つも出したんだぞ。何を言わせたいんだよお前は」
ボケ「あれ? 出てこない? 一番有名なのが出てこないじゃない」
ツッコミ「えぇ? なんだよ、一番有名? あぁ! 紅葉の秋か」
ボケ「違うんだよな~、一番有名なのがあるじゃない。あれだね、君は今まで秋を過ごしてきたことないね、じゃあ」
ツッコミ「いねーよそんな奴。いくつだと思ってんだ俺のこと。え~? わかんねーよ、なんだよ、一番有名なやつって」
ボケ「謝罪会見の秋でしょ」
ツッコミ「あるか、そんなもん! どういうことだよ謝罪会見の秋って。えっ、待って、お前の中では謝罪会見をしないと秋を過ごしてきたことになんないの?」
ボケ「はい」
ツッコミ「はい、じゃないんだよ。説明しろっつーの」
ボケ「去年の秋ももちろん謝罪会見しましたし」
ツッコミ「お前なんかしたっけ? 俺何も知らねーぞ。何したんだよ」
ボケ「えぇ~? あんまり言いたくないなぁ……」
ツッコミ「めんどくせぇな、早く言えって」
ボケ「もうみなさんご存じでしょ? 今更改まって言うのも――」
ツッコミ「ご存じじゃねぇんだって。みんな知らねーの、そんな謝罪会見なんて」
ボケ「わかった、じゃあそのときの謝罪会見を再現するから、君記者役やって」
ツッコミ「だから何したか知らねーんだって! どうやって記者の役やんだよ!」
ボケ(神妙な顔つきになり、前で手を組む)
ツッコミ「いきなり始めちゃったよ。どうやって記者の役やんの、これ」
ボケ「え~、このたびは、ご迷惑をお掛けいたしまして、また、大変なお騒がせを致しまして、誠に申し訳ございませんでした。……では記者の方質問をどうぞ」
ツッコミ「知らねーんだって、だから!」
ボケ「あっはっはっは!」
ツッコミ「笑うなって! 謝罪会見の場だぞ」
ボケ「どうぞ、遠慮なさらずに。自分の家だと思って」
ツッコミ「ふざけんな、お前ん家に遊びにきたわけじゃねぇっつの。えぇ、もう……じゃあどうしてそんなことをされたんですか?」
ボケ「はい、我が身かわいさのあまりと言いますか、自己保身に走ってしまいまして。かわいい子には旅をさせろ的な」
ツッコミ「どういう意味だよ」
ボケ「かわいさ余って憎さ100倍になってしまいまして」
ツッコミ「ふざけてますよね?」
ボケ「はい」
ツッコミ「はい、じゃないんだって。謝罪会見だっつーの!」
ボケ「そこの……眼鏡を掛けたそこのお前」
ツッコミ「お前とか言うな!」
ボケ「早く質問してくんない? このあと予定入ってるんだから」
ツッコミ「だから謝罪会見だっつーの! なんなんだよその態度。余計心象悪くなるだろ。っていうかこのあと予定あるとか言うな」
ボケ「このあと別の謝罪会見の予定があるんだから」
ツッコミ「はしごすんな! 聞いたことねぇよ、謝罪会見のはしごとか。そんなに悪いことばっかしてるの? お前。もう質問しますよじゃあ。えぇ~、何をやったのか具体的に、もう一度ご本人の口から教えてもらえますか?」
ボケ「報道されているとおりでございます」
ツッコミ「説明してください」
ボケ「はい。報道されているとおりでございます」
ツッコミ「政治家かお前は。言えってもう、めんどくせぇな!」
ボケ「えぇ~……あんまり言いたくないなぁ……」
ツッコミ「謝罪会見なんですけど」
ボケ(テーブルにある水を飲むジェスチャー)
ツッコミ「うん、1回水飲んでね。一旦落ち着いてから話そうか」
ボケ「え~、私が飲んだのは……六甲のおいしいお水です!」
ツッコミ「きき水すんな! 謝罪会見だっつの! あなたさっきからふざけてますよね? 悪いことをしたという自覚はないんですか?」
ボケ「あるからこうやって謝罪会見開いてるんでしょうが!」
ツッコミ「逆切れすんな!」
ボケ「やる気のない人は出てってもらいますよ!」
ツッコミ「お前だよ!」
ボケ「このエレベーターから出てってもらいますよ!」
ツッコミ「エレベーター!? そんなとこで会見すんな! 人きたら『何階ですか?』とか聞いちゃうだろ。もっと広いこと借りろ、広いとこ」
ボケ「この大型エレベーターから出てってもらいますよ!」
ツッコミ「そうじゃねぇっつの! 部屋借りろって言ってんの! そんなことはどうでもいいから何したか早く言えって」
ボケ「はい、仕事から帰ってきて冷蔵庫を開けたら……」
ツッコミ「開けたら?」
ボケ(水を飲むジェスチャー)
ツッコミ「絶対飲むタイミング違うと思うけどね」
ボケ「こうやってお茶を飲みまして」
ツッコミ「……再現だったのかよ! 紛らわしいなもう」
ボケ「もう最後のほんの一口だけ残して冷蔵庫にしまってしまいまして」
ツッコミ「うん、それで?」
ボケ「誠に申し訳ございませんでしたぁ!」
ツッコミ「終わり!? えっ、何? なんの謝罪会見? お茶をちょっと残したから?」
ボケ「はい、2ℓのペットボトルのお茶です」
ツッコミ「意味わかんねぇ。なんだよ、お茶残して謝罪会見って」
ボケ「麦茶です」
ツッコミ「どうでもいいわ! 誰が気にすんだ、麦茶か緑茶かなんて。なんの罪になんだよお茶残したくらいで。何罪だよ」
ボケ「次の人が片付けてくんねぇかなぁ罪、ですかね」
ツッコミ「そんなんで人集まるか。いいかげんにしろ」
二人「どうも、ありがとうございました~」




