大切にしたいもの
まだ、キャラクターをつかみきれてなくて申し訳ないです。
「………落ち着いた?」
アルフレドは愚痴も程々にこぼし終わると今度は何だか落ち込み始めた。
「ごめん、先生、呼んで来る」
そう言ってアルフレドは逃げる様に部屋を去ってしまった。トナリは悲しい様な寂しい様な申し訳ない様な、よく分からないそんな気持ちになった。
しばらくすると今度は先生らしきおじいちゃんがやってきた。
「おはようトナリ体調はどうだい、私はここで医者をやっているんだが覚えているかな?」
そこから先生の診察は始まった。結果を言えば人に関する記憶がほとんど無かった。なんなら自分の名前もあやふやでさっきから〝トナリ〟と呼ばれているがそんな名前だったかな?と思ってた程だ。親とか兄弟については覚えているが家族以外の人になると自分を含めとことんダメだった。ただ、影響があったのが人に関する事だけだったのでまだ助かった。物の使い方やお金に関する事などは覚えており日常生活に支障は出なさそうだからだ。人間関係を除いてではあるが。
とにかく記憶喪失ではあるが日常生活をする分には問題は無く健康であるという事でトナリは家に帰れることになった。
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「ただいまぁ〜」
おかえり、トナリにそんな言葉さえ掛けてくれる人はこの家にはいないが不思議と1人で寂しいとは感じない、そもそも親や兄弟は死んで無いし、みんな生きてるし元気なはずだからだろうか?そしてこの家は確か母方の曾祖父母の家だった気がするが今のトナリには正確に思い出せない。まぁ、思い出せない事を考えてもしょうがない!と結論づけたトナリはまず自分の日記帳的な物を探すことにした。家の中を探し回っていると日記帳は出てこなかったがたくさんの花や、木、鳥、宝石などのスケッチが多く出てきた。その中でも一番古いスケッチは高祖母のカラスのスケッチだった。
「すごっ!こんなとこまで細かく!えっ、待って何これ200年前の絵!?〝ひい〟が一体何個付くおばあちゃんが描いたんだろ……会ってみたかったなぁ〜、どうしようか私もなんか描いてみようかな?」
と、自分の記憶そっちのけにしてスケッチの鑑賞会を始めたトナリだったがドアのノック音で我に返ると窓の外はすっかりオレンジ色だった。
ドアの前に立っていたのは病院で会った男だった。何だか美味しそうな匂いがする。しかし、困ったことに聞いたはずの名前が出て来ない。
「……あ〜、えっと〜、ごめんなさい今頑張って思い出すから待って、あと名前当てたいから何も言わないで、…あ…あ…ア、アル?アル、アル、ル…フライパン?フライド?…フレンド?違うよね〜、……あっ、分かった!アルフレッドだ!」
「ヴン、惜しいな〜、絶妙に違う、けど、ンフッ、、フライパンとかフライドとか、絶対違うだろうに、候補に挙がる辺りがトナリらしいよ。」
「笑いのツボがいまいちよく分かんないけど違うの?自信満々で言ったのが恥ずかしいじゃないですか!」
「ンフフッ、正解はアルフレドでした!」
「うわっ、本当に悔しい」
その後も取り敢えずアルフレドに家の中に入ってもらい会話を続けたがビックリする程楽しい、記憶喪失になる前から友達だったのは容易に想像出来た。だからトナリが目を覚ました時にあれほど感情的になっていたのかも分かった。とても心配をかけてしまったと申し訳なく思った。
さて、先程から気になるものが一つ、籠だ。アルフレドの持って来た籠からとても美味しそうな匂いが漂っているのだ、トナリはその事を言って食い意地が張っていると思われるのは避けたかった。が、恐らくまだ籠の中身はまだ温かい、匂い的にも冷める前に食べた方が絶対に美味しいヤツだ。さっきまでの申し訳なさは何処へやら、トナリの脳内は籠について言うか言わないかでいっぱいだった。
読んでくれてありがとうございます( . .)"
結局匂いには抗えず籠の中身はビーフシチューでした。
次回アルフレド視点は、まだ早いか?