8.クリスマス
12月。1番大きなイベントと言えば、クリスマスだ。よく非リアは「今年もクリぼっちだあああ」とか嘆いている。快佐もリア充ではなく非リアだが、毎年1人では無い。毎年近所の雨露家とクリスマスパーティをしている。しかし、今年は少し違う。いつもは雨露家の父、母、理実、妹&快佐の父、母、快佐で行っているのだが、2ヶ月前司の両親が死んだため今年の桐谷家のメンバーはひとりとなった。24日の6時から10時までクリスマスパーティは行われる。ケーキを食べたりプレゼントを交換したり、あとは何かをして遊んだりする。
ーピンポーンー
ーガチャー
インターホンを鳴らし少しすると玄関が開く。
「こんばんわ」
「いらっしゃい。快佐くん」
「お邪魔します」
快佐は挨拶をし雨露家に入った。家の外装は何も変わっていなかったが、内装はとてもクリスマスを感じさせるような飾りがしてあった。
そんな飾りを見て回っていると、、、
ードンー
と後ろから背中を勢いよく叩かれた。
「うお」
「にゃはははは。こんばんはー、かいさん」
この子は雨露理美の歳が一つ下の妹。雨露綾。とても元気のある、俗に言うメスガキのようなやつだ。いつも快佐にちょっかいをかけている。綾は快佐のことを【快佐】と【さん】を合わせた【かいさん】と呼んでいる。
「ねぇ。今年のプレゼントは?」
「ん?あぁ、それはまだ内緒だよ」
「えぇ?ねぇ、教えてよ。ねぇねぇねぇ」
毎年プレゼントを交換している。快佐は理実と綾からプレゼントをもらい、その2人にプレゼントを渡している。いつもは親と相談してプレゼントを決めているのだが、今回は自分で決めた。
「じゃあそろそろ始めるかメリークリスマス」
「「「「メリークリスマス」」」」
雨露理実と綾の父の合図で、快佐、理実、綾、理実たちの母も合図をし、クリスマスパーティが始まった。最初は食事から始まる。その後にプレゼント交換をし、なにか遊んで解散となる。
「あ。綾それ俺のチキン」
「私のモノは私のモノ。かいさんのモノも私のものだもんねーだ」
「こら、綾だめでしょ。勝手に料理取っちゃ」
「別にいいんだもん」
綾にチキンをひとつ取られてしまったが、快佐はあまり食べる方では無いので別にいいだろう。
そうしていること数分後、食事を食べ終わった。
「うっし。じゃあプレゼント交換だぁ」
綾が今か今かとプレゼントを待っている。
「わかった。わかった。ほらよ」
「やったぁ」
「ありがとう」
快佐は用意していたプレゼントを理実と綾に渡した。
「ねぇ。開けていい?開けていいよね?」
「開けていいよ」
そういうと、理美と綾がプレゼントを包んであった梱包用紙をはがした。
「これ、マフラー?」
「そうそう。この時期寒くなるから防寒用のマフラーと手袋だ。」
「ありがとう」
理美、綾へのプレゼントはマフラー、手袋で白色で毛糸で編んでいるものだ。
「じゃあ、綾、次は俺にだ。」
「はいよー」
そういうと今度は理美と綾がプレゼントを渡してきた。
「私からは被っちゃったけど手袋。ごめんね?」
「いやいや。良いよ。めっちゃいい。被るなんて奇跡だね」
と快佐は嬉しさのあまりおどおどしている。
「かいさん?」
「あぁ。ごめんごめん。綾のは?」
「ふふん。私からはネックレスだ」
「ネックレス?」
「かいさん、あまりオシャレしないじゃん。だからかっこよくなるためのネックレスなのだ」
「あんがとよ」
「じゃあ次はゲームだ。負けないぜぇ?」
「お。ゲームか。俺に勝てると思うなよ?」
「はは。それはこっちのセリフじゃ。いざ参る」
食事が終わり、プレゼント交換も終わったので、あとはフリータイム。結局はゲームをやることになった。毎年、毎年、快佐と綾はゲームで競っている。
そして毎年のように、、、
「アアア。また負けたぁ。もう1回、もう1回!」
「はいはい。分かりましたよっと」
そう綾は快佐にゲームで勝ったことは1度もないのだ。
有利になったかも思うとすぐに快佐が逆転する。そんなこんなで結局、綾は快佐に勝つことなくクリスマスパーティが終わることになった。
「今年もありがとうございました」
「いえいえ。こちらこそ。また遊びに来てね」
「はい。またお邪魔させていただきます」
「かいさん。またねー」
「快佐くんまた学校で」
「うん。またね」
理美の言葉に司は頬が上がった。
そして今年のクリスマスパーティは終了した。