1/9
プロローグ
ある所に女の子がいました。
その女の子はまだ赤ちゃんでした。
この世に産み落とされ、空気を幾度か吸ってすぐ、死にました。
名前も付けられず、両親にも抱かれることのないまま、死にました。
女の子は小さく呟きました。
「何故私は誰も愛せなかったのかしら。何も悪いことをしてないのに、何故こんな所に閉じ込められなければいけないのかしら。」
女の子がいた世界から反対側。
そこにはピエロがいました。
もう何年、何十年、何百年生きたか分かりません。
嘘ばかりの、空っぽな生を過ごしていました。
ピエロは大きく叫びました。
「何故私は誰にも愛されないんだ。人のためにたくさん尽くしてきたのに、何故誰も私の願いを受け入れてはくれないんだ。」
正反対の世界にいる、ピエロと少女。
誰も愛すことのないまま死んだ者と、誰にも愛されることのないまま生きている者。
出会うことは許されず、出会わないほうが良い二人でした。




