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第5章 33(志毅(トマス))

 鋭い拳を突き出される。志毅は手足をばたつかせ、何とかかわした。「遅い!」と怒声が飛ぶ。無理に組まされた相手は志毅を完全に侮っているようだった。

 木の棒を一人一本渡され、皆が師範と同じ動きをする。志毅だけは動きの「型」が分かっていない。だから、人より多く叱責される。でも、仕方ないじゃないか!

「僕は兵士じゃなーーいっ!」

 __志毅は、こう力いっぱい叫びたかった。

 ただぼんやり歩いていただけだったのに、知らん男に腕を掴まれ、あれよあれよと連れてこられたのは兵士の訓練場だった。しかも、宮廷の警護兵の養成だと聞いて、志毅はひっくり返りそうになった。どえらいところに紛れ込んでしまった!

 上官らしき男ががみがみと説教するところによると、志毅はどうやら、脱走兵の一人と間違われているらしい。顔が似ているのか何なのか、上官は志毅の訴えに耳を傾けて貸さず、彼が兵士とはほど遠い格好をしていることを歯牙にもかけていない。

 でも、説教だけで済んだのはよほど運がいいのだろう。訓練に放り込まれた心配する仲間(?)もいれば、げらげら笑う奴もいた。そして訓練用の木の棒が渡されたq。

「はっ! やっ!」

 逃げ場がないので、志毅は訓練に真面目に取り組んだ。そして__

 気がついたら、夜中になっていた。

 大鍋でぐつぐつ煮込んだ雑炊と豚肉を一切れずつ配られ、わりに気が良い兵士と適当に話を合わせながら夕食をかっこんで、宿舎の寝具に身を横たえた志毅。何か忘れている気がすごくした。

 うとうととまどろみながら、志毅は今日一日の出来事を思い起こした。

「……あ! 集合!」



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