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第5章 8


 __一体、何を話しているのだろう?


 とうとう彼は先ほどたてた誓いを破り、こっそりと泉の方へ足を進めた。別にキリスト教徒ではないので、神にかけて誓ったところで何の気兼ねもない。


 裸足になれば、足音を隠せる。ゆっくりと体を低くして、聞こえてくる声を頼りに忍び足を重ねた。


 そしてとうとう開けた場所に出た時、視界は驚くほど明瞭に澄んでいた。仙人の生み出す霧は周りから自分たちを覆い隠すためだけに作用しているのだろう。


 木の陰に身を隠し、双は息を呑んだ。信じがたい光景が広がっていた。


 泉のほとりに立っているのは訓だ。何と、その足下に大龍将軍と仙人が平伏していた。


 双は目をこすった。あの誇り高い将軍たちが、主君に対するように這いつくばって、武器を傍らに置いていた。

 キリスト教の魔術だろうか。連中の信じている経典によると、キリスト者は石を食べ物に変えたり、死者を蘇らせては信者を増やしたという。

 大龍将軍に、訓が尋ねた。

「お前の心臓はどこにある?」

「それは……その、つまり……」

 大龍将軍が言いよどんでいる。

「悪いようにはしない。どうかこの私にも教えてほしい……他でもない、阮朝の安泰のために」

 大龍や仙人は、その言葉に感じ入っているようだった。

 大龍将軍の隣の仙人が答えた。

「私が肌身離さず、持ち歩いておりまする」

 双は驚いてあっと声を漏らした。視界の端で金色の何かが光り、青い衣の誰かが仙人に突撃した。



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