表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/132

第6章 16

 象の鼻が後ろから伸びてきて、訓と翠瑠を巻き取った。

 背中に放り投げられた訓たちをつかんで引き寄せる者がいる。背中に乗った、見知らぬ少年である。変わった衣をきて、耳や首に金の飾りをいくつもつけていた。

 別の象に乗った志毅が叫ぶ。

「帰るぞ!」

 象はゆっくりと動き始めた。兵士が射かけた矢も、象の皮膚は貫けない。

 刑場を離れようとしている。しかし大切な人がそこに残されたままである。

「高文司祭!」

 遠くなりつつある柱の側に倒れた高文と、早々に逃げ出したマルシャン。兵士たちの格好の的だ。高文が危ない。 

 訓は叫んだ。高文を起こすために。頭に浮かんだ最初の呼び名を繰り返した。

「父さん!!」

 その時、象の歩みが止まった。志毅がひらりと飛び降り、柱のところへ走って戻った。高文を抱き上げ、また駆けてくる。

 二人を乗せると、象は再び歩き出した。翠瑠が笑っている。しかし彼女は同時に泣いていた。ぼろぼろと涙を流しながら、嬉しそうに新しい仲間の少年を紹介した。

 翠瑠の話を聞いているうちに訓は意識を失った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ