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第6章 8

 皆が集まった広間に、最後に現れたのが反乱の首謀者である。両脇を固める兵士に厳しく追い立てられ、足がふらついている。あっちに行きこっちに戻りする酔っ払いのような姿に、何人かの大臣が忍び笑いした。

 ふと奥に座っている藍皇女に目をやると、彼女はまっすぐ囚人を見つめていた。滅多に見ない叔母の頑固な表情が降りている。前に見たのは、フランス語の文書を全て焼き捨てるよう明命帝が命じた時だ。 

 視線を戻した。囚人はゆっくりと近づいてくる。この頃霞むようになった目ではっきりとその面を拝むため、明命帝はもっと近づかせるように促した。足下からほんの十歩というところで囚人が平伏させられる。首枷が床に衝突し、その男は顔を歪めた。

 皇帝と反逆者の近すぎる距離に、大臣たちがざわめいた。手を挙げることでそれを制し、明命帝は囚人を見つめ続けた。

 色の薄い瞳。ところどころ黒い染料がついた、明るい茶色の髪の毛。深い皺が刻まれた顔に息を呑んだ下級大臣が何人かいた。何故か宝物庫に隠されていたピニョーの肖像画に似ていなくもない。 

 思わず口をついた長い溜息に乗せて、明命帝は問いかける。

「そなたの名前は?」



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