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白と黒の物語  作者: コーヒー先生
4/5

お目覚め?目指すは最上階

ん…………

意識がぼんやりとしている。

なんだか後ろからやわらかい感触が……


「はァっ!?!」

目が覚める。

ぼやけた視界が次第に色付いてく。

目を開けた瞬間見えたのは銀色に光る……手錠だ。

…………は?

どうやらその手錠は俺の両手に繋がってるようだ。



「ふふ、起きられましたか?」

と、不意に後ろから声が聞こえる、かなり近い位置だ。

「起きるまで私が支えていたんですよ!」

人生も、家庭も支えて欲しい…………!

……そんな気持ち悪いことを考えてしまうような可愛らしい声。

それと甘い匂い。


少し後ろを振り向くとそこには、フライザがいた。

薄桃色の髪の毛がさらっとなびいて翡翠の瞳が揺れる。

可愛らしい顔立ちの美少女……

そう、フライザ・マリアさんだ。


しかもなんと至近距離にいる。

至近距離に……。

振り向いた顔をまたゆっくり前に顔を戻し……一旦考える…………。

……もしかし抱きつくような近さで体を支えられていたのか!??!?

おいおい、天国かここは。俺死んだか??

じゃあさっきから感じる柔らかい感触は……


「起きたか。」

不意に響く冷静で冷酷それでいて中性的な声。

俺の邪心が全て消えていくくらいには怖さもある声のこの人は……。

「記憶はあるか?僕の名前はN711……流石にそれくらいは覚えているか。」

そう、中学生もといN…さん?だ。

というかなんなんだこの名前は……

Nは俺がつけられている手錠を持ち、引っ張っている。

ちょっと痛い。


「あ、あぁ。中学生見たいな人にデコピンされて意識失って、起きたら縛られてていきなり美少女がきて色々説明して……ってことくらいはな。」

痛みがムカついたので皮肉混じりに言う。

というか俺今日2回意識失ってるよね。なかなかないよ、そんなこと。

「ふふ……美少女……私が…ふふふ」

と嬉しそうなにやけ声が聞こえるが一旦忘れとこう。


「………まぁそうだ。あと!僕は中学生ではない、断じて。」

手錠を強く引っ張られる。痛い、痛い!

中学生と言われるのが相当嫌みたいだ。

中学生くらいでしょ年齢……


「まぁそれくらい覚えていれば上等だ。今からお前にはここに住んで黒の国を潰すために生きてもらうからな。」

さらっとえぐいことを言うN。

いやいやいや、なんだよ潰すために生きるって。

俺人間、どこ人権……

というか潰すって殺すってこと……だとさっき聞いたはずだ。

そんなこと俺ができるわけが無い、というかそもそもなんで俺が……。


「お前は今、『なんで俺が』と思っているだろう?まぁそれはおいおい説明するし、お前はここにいなければいけないのだ。残念だがな。」

予言するかのようなことを言い、ふっと嘲笑を浮かべるN。

それがなんとも腹立たしい。

おいおいじゃなくて早く説明して解放して欲しい……

ここにいなきゃって?そんなことは無い、俺にはアットホームなお家とアットホームな学校がある。


うーむ、学校のことを考えると隆二のことを思い出す。

そういや、さっきデコピンで潰されてたな……あいつ……。

そう考えるとこいつに抵抗すると最悪殺される、ということが想像される。

というか隆二きっとまた戻って俺の事殴りに待ってるだろうからここにいた方が安全なのでは……?

あんな大口叩いてデコピンでひるんだこときっとめちゃくちゃ根に持ってるだろうし。

それに学校に行ったって意味は無い、友達いないし。

悲しくなってきた……俺ここがお似合いなのかもな……。


色々考えてるうちに絞り出た言葉は

「……ここはどこなんだ?」

だ。

なんとも情けない。

「ここは守檻Nの5階廊下だ。」

淡々と返される。

薄暗く冷たいここは廊下のようだ。

俺が目覚めてある程度たったしそろそろどこか部屋やらなんやらにつくと思っていたがどこにもつかない。

というかこの廊下自体窓もドアも見つからない。

あるのは乱雑に置かれたダンボールのようなもののみだ。


「5階はほとんど使われていなくてな、このように何も無いからな。ほとんど物置のようなものだ。」

……らしい。階丸々が使われてないってなかなかないような気がするが。

と、しばらく歩くと近未来的でスタイリッシュなエレベーターのようなものが見えてきた。


「フライザ。」

小さくNがそれだけ言う。

「はい、N様!」

ぱぁっと顔を光らせ答えるフライザ。

俺の時これの10分の1くらいの笑顔だったな……。

なんてこと考えていると後ろにいたフライザがぴょこっと動き、エレベーターのボタンまで歩いていった。


メイドとも看守ともシスターとも言えない衣装の白黒のスカートがひらりと揺れる。

……見えないか。

「お前がこれから行くのは25階。最上階だ。」

25……正直こういうビルだともっと高い気がしていた。

まぁあんまり分からないけど。

というかこっから最上階に連れて行かれるってなかなか怖いな……。


チンッと軽く音が鳴る。エレベーターのドアが開く。

「入れ。」

手錠をされたままエレベーターに押し入れられる。

そこにNとフライザが入ってくる。

フライザがまた近くなった……と思った途端に、

ヒュュンンンン

っとエレベーターが高速に上がっていく。

ちょっとびっくりしたぞ……うん。


あっという間に最上階へ。

「行くぞ。」

とだけ呟きまた引っ張っていくN。

ニコニコ顔のまま今度はNの横に行くフライザ。


……

ここが最上階か。

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