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ぼくはきらわれもの  作者: コスモス
1/1

きらわれクマさんはがんばります

・・・・・ぼくは、みんなにきらわれている


りゆうはわからない、でもきらわれてる、ぼくにはわかるんだ。


みんながぼくをさける、だからぼくもみんなをさけるんだ。


いつしか、この(もり)のみんながみんな、そんなふうになったんだ。


でもみんながしわせならぼくはそれでいい、だからぼくはひとりぼっちでくらすんだ。


さみしくないのかって?さみしいに()まってるよ。


ぼくだってみんなと(あそ)びたい、みんなとお(はなし)がしたいんだ。


でも、しかたないから・・・みんなのにこにこがぼくは()きだから・・・。



キィ、キィと(ちい)さな(おと)()ててゆれるブランコの上で


きょうもクマのパーシーはしずかにすわっています、ブランコであそんでいるわけではありません。


ただすわってとおくを()つめているだけです。


パーシーはとおくであそんでいるおともだちをじっとうらやましそうに()つめます。


「(ぼくも・・・みんなとあそびたい・・・。)」


そうはおもっても、だれもパーシーに(ちか)づいてはきません。


でもみんな、パーシーがそこに“いる”ことはわかっています。


「きょうもみてる・・・パーシーくん、わたしたちとあそびたいのかなあ?」


すなばであそぶ、うさぎのリリーはおともだちのねこ、アリアにそうききました。


アリアはくびをかしげます。


「あそびたいなら、パーシーくんがじぶんからくるんじゃない?それにわたしたちが(はなし)かけようとしてもパーシーくんすぐにげちゃうじゃん、あそびたいわけないよ。」


「そうかなあ・・・」


リリーはちょっぴりしんぱいになりました。


それからも、どれだけの時間(じかん)がすぎてもパーシーはすわったまま。


「おい、あいつきょうもあそこにすわってんのか?ようもないクセにな!」


「オレたちでとっちめてやろうぜ、ジャマだっていってよ!」


それはカンガルーのローガンとその(おとうと)のウィリアムでした。


二人(ふたり)はすぐにブランコにかけより、パーシーのせなかをつよくけりました。


「おい、おまえいつもなんでここにいるんだよ、ジャマなんだけど。」


「そうだそうだ、ひとりぼっちのパーシーくんよぉ!」


パーシーはブランコから()ちてつよく地面(じめん)にたおれます。


そのたおれたパーシーのおなかをふんだのはローガンでした。


「おいおいデカいのは身体(からだ)だけか?」


ローガンはおなかの(うえ)(うえ)(あし)をグリグリとうごかします。


「いたいよ!いたいよ!やめてよ・・・!」


パーシーはなみだがボロボロとでました。


ぼくは、ぼくはただみんなとあそびたかっただけなのに・・・!


くやしさと、みんなの()のなかにはいれないじぶんがとてもはずかしくなりました。


そのときでした。


とおくからだれかがはしってきました、ローガンとウィリアムのまえでとまりちいさなてをいっぱいにひろげました。


「え・・・?」


けられ、身体(からだ)がいたいなか()にはいったのはうさぎのリリーでした。


「え・・・?なんで・・・?」


ぼくはきらわれているのに、さけられているのに、どうして?!


わからないけど、わからなかったけどぼくはなみだがたくさんでました。


「ローガンくん、ウィリアムくん・・・も、もうやめなよ!かわいそうじゃん!」


「バカ・・・あのこ・・・!」


あたまをかかえ(おお)きくためいきをつき、アリアもそこにやってきました。


ひざをついてローガンとウィリアムにせなかをむけてすわります。


「リリー、あんたなにしてるの?またへんなことにまきこまれて・・・。」


「アリア・・・いつもごめんなさい。」


アリアはリリーの(かお)をりょうてでやさしくつつみました。


「いいのよ、そんなことより・・・」


アリアがうしろをふりかえると、そこにはとてもおこっているローガンとウィリアムが。


「なんだよ、こいつおまえらのともだちじゃねえだろ!?」


ウィリアムがおおきなこえでアリアとリリーにききます。


「だったらなにしたっていいよなあ!?」


ローガンもおおきなこわいこえでつづきます。


リリーはちいさくふるえながら、はっきりこたえました



「ううん!パーシーくんはわたしたちのおともだちだよ!!」



パーシーはリリーが何を言っているのかわかりませんでした。


“だって、いちどもお(はなし)をしたこともない”のにおともだちなんてへんです


それは、ローガンとウィリアムもわかっていました。


ふたりは(かお)をみあわせて(おお)きなこえでわらいます。


「あははは!おまえらがしゃべってるところなんかみたこともねーよ!」


「オレもそうおもう!なにいってんだようそつきめ!」


「もういい、もういいよリリーちゃん、ごめんね・・・ぼくのせいで・・・」


パーシーがそういってもリリーはそれでもにげませんでした。


「なんにもよくないよ!パーシーくん、パーシーくんはわたしたちとなかよしになりたいんじゃないの!?ずっとずっとこのブランコからわたしたちのこと()てたじゃん!それを・・・わたしもずっと()てたんだよ!?それなのに、いままでなんにもしてあげられなくてごめんね・・・パーシーくん、パーシーくんはどうしたいの!?どうなりたいの!?これはわたしもだけど・・・ちゃんといわないと、ちゃんとことばにしないとつたわらないんだよ!そんなふうにパパとママがいってた!パーシーくん!おしえて!!」


リリーのことばに・・・せっかくとまったなみだがまたあふれてくるパーシー


「ぼくは・・・ぼくはずっと・・・みんなのなかにはいりたかった・・・でも、いえなかったんだ。だからずっと()てて・・・()ることしかできなくて・・・ぼくはよわいばっかりに・・・みんなをまきこんでごめんね・・・ぼくは・・・ぼくはみんなとなかよしになりたい!!!」


そういったとたん、パーシーは身体(からだ)にちからがみなぎってきました。


パーシーはけられながら()()がります。


「じゃあパーシーくん、わたしたちもうおともだちってことで・・・いいのかな?」


リリーのことばに、パーシーははっきり「うん」とそうこたえました。


そしてパーシーがちらりとローガンとウィリアムをみると二人(ふたり)がビクッとして


まるでローガンとウィリアムはパーシーをこわがっているようでした。


「な、なんだよこいつら・・・わけわかんねぇ・・・いこうぜ」


「あ、あぁ・・・そうだな・・・。」


ローガンとウィリアムはへんなかおをしてどこかへいってしまいました。



それからはあっというまでした。


リリーがぼくをみんなにしょうかいしてくれて、あっというまにともだちがたくさんできました。


いまぼくはさっきまでとおくから()ていることしかできなかったところにいます。


そしていまのぼくからはあのブランコがとおくに()えます。


だからぼくはブランコにむかっておしえてあげました。


“むかしのぼく、だいじょうぶ、リリーちゃんのおかげでちゃんとこっちにこられた、おともだちもたくさんできたよ”ってね



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