きらわれクマさんはがんばります
・・・・・ぼくは、みんなにきらわれている
りゆうはわからない、でもきらわれてる、ぼくにはわかるんだ。
みんながぼくをさける、だからぼくもみんなをさけるんだ。
いつしか、この森のみんながみんな、そんなふうになったんだ。
でもみんながしわせならぼくはそれでいい、だからぼくはひとりぼっちでくらすんだ。
さみしくないのかって?さみしいに決まってるよ。
ぼくだってみんなと遊びたい、みんなとお話がしたいんだ。
でも、しかたないから・・・みんなのにこにこがぼくは好きだから・・・。
キィ、キィと小さな音を立ててゆれるブランコの上で
きょうもクマのパーシーはしずかにすわっています、ブランコであそんでいるわけではありません。
ただすわってとおくを見つめているだけです。
パーシーはとおくであそんでいるおともだちをじっとうらやましそうに見つめます。
「(ぼくも・・・みんなとあそびたい・・・。)」
そうはおもっても、だれもパーシーに近づいてはきません。
でもみんな、パーシーがそこに“いる”ことはわかっています。
「きょうもみてる・・・パーシーくん、わたしたちとあそびたいのかなあ?」
すなばであそぶ、うさぎのリリーはおともだちのねこ、アリアにそうききました。
アリアはくびをかしげます。
「あそびたいなら、パーシーくんがじぶんからくるんじゃない?それにわたしたちが話かけようとしてもパーシーくんすぐにげちゃうじゃん、あそびたいわけないよ。」
「そうかなあ・・・」
リリーはちょっぴりしんぱいになりました。
それからも、どれだけの時間がすぎてもパーシーはすわったまま。
「おい、あいつきょうもあそこにすわってんのか?ようもないクセにな!」
「オレたちでとっちめてやろうぜ、ジャマだっていってよ!」
それはカンガルーのローガンとその弟のウィリアムでした。
二人はすぐにブランコにかけより、パーシーのせなかをつよくけりました。
「おい、おまえいつもなんでここにいるんだよ、ジャマなんだけど。」
「そうだそうだ、ひとりぼっちのパーシーくんよぉ!」
パーシーはブランコから落ちてつよく地面にたおれます。
そのたおれたパーシーのおなかをふんだのはローガンでした。
「おいおいデカいのは身体だけか?」
ローガンはおなかの上上で足をグリグリとうごかします。
「いたいよ!いたいよ!やめてよ・・・!」
パーシーはなみだがボロボロとでました。
ぼくは、ぼくはただみんなとあそびたかっただけなのに・・・!
くやしさと、みんなの輪のなかにはいれないじぶんがとてもはずかしくなりました。
そのときでした。
とおくからだれかがはしってきました、ローガンとウィリアムのまえでとまりちいさなてをいっぱいにひろげました。
「え・・・?」
けられ、身体がいたいなか目にはいったのはうさぎのリリーでした。
「え・・・?なんで・・・?」
ぼくはきらわれているのに、さけられているのに、どうして?!
わからないけど、わからなかったけどぼくはなみだがたくさんでました。
「ローガンくん、ウィリアムくん・・・も、もうやめなよ!かわいそうじゃん!」
「バカ・・・あのこ・・・!」
あたまをかかえ大きくためいきをつき、アリアもそこにやってきました。
ひざをついてローガンとウィリアムにせなかをむけてすわります。
「リリー、あんたなにしてるの?またへんなことにまきこまれて・・・。」
「アリア・・・いつもごめんなさい。」
アリアはリリーの顔をりょうてでやさしくつつみました。
「いいのよ、そんなことより・・・」
アリアがうしろをふりかえると、そこにはとてもおこっているローガンとウィリアムが。
「なんだよ、こいつおまえらのともだちじゃねえだろ!?」
ウィリアムがおおきなこえでアリアとリリーにききます。
「だったらなにしたっていいよなあ!?」
ローガンもおおきなこわいこえでつづきます。
リリーはちいさくふるえながら、はっきりこたえました
「ううん!パーシーくんはわたしたちのおともだちだよ!!」
パーシーはリリーが何を言っているのかわかりませんでした。
“だって、いちどもお話をしたこともない”のにおともだちなんてへんです
それは、ローガンとウィリアムもわかっていました。
ふたりは顔をみあわせて大きなこえでわらいます。
「あははは!おまえらがしゃべってるところなんかみたこともねーよ!」
「オレもそうおもう!なにいってんだようそつきめ!」
「もういい、もういいよリリーちゃん、ごめんね・・・ぼくのせいで・・・」
パーシーがそういってもリリーはそれでもにげませんでした。
「なんにもよくないよ!パーシーくん、パーシーくんはわたしたちとなかよしになりたいんじゃないの!?ずっとずっとこのブランコからわたしたちのこと見てたじゃん!それを・・・わたしもずっと見てたんだよ!?それなのに、いままでなんにもしてあげられなくてごめんね・・・パーシーくん、パーシーくんはどうしたいの!?どうなりたいの!?これはわたしもだけど・・・ちゃんといわないと、ちゃんとことばにしないとつたわらないんだよ!そんなふうにパパとママがいってた!パーシーくん!おしえて!!」
リリーのことばに・・・せっかくとまったなみだがまたあふれてくるパーシー
「ぼくは・・・ぼくはずっと・・・みんなのなかにはいりたかった・・・でも、いえなかったんだ。だからずっと見てて・・・見ることしかできなくて・・・ぼくはよわいばっかりに・・・みんなをまきこんでごめんね・・・ぼくは・・・ぼくはみんなとなかよしになりたい!!!」
そういったとたん、パーシーは身体にちからがみなぎってきました。
パーシーはけられながら立ち上がります。
「じゃあパーシーくん、わたしたちもうおともだちってことで・・・いいのかな?」
リリーのことばに、パーシーははっきり「うん」とそうこたえました。
そしてパーシーがちらりとローガンとウィリアムをみると二人がビクッとして
まるでローガンとウィリアムはパーシーをこわがっているようでした。
「な、なんだよこいつら・・・わけわかんねぇ・・・いこうぜ」
「あ、あぁ・・・そうだな・・・。」
ローガンとウィリアムはへんなかおをしてどこかへいってしまいました。
それからはあっというまでした。
リリーがぼくをみんなにしょうかいしてくれて、あっというまにともだちがたくさんできました。
いまぼくはさっきまでとおくから見ていることしかできなかったところにいます。
そしていまのぼくからはあのブランコがとおくに見えます。
だからぼくはブランコにむかっておしえてあげました。
“むかしのぼく、だいじょうぶ、リリーちゃんのおかげでちゃんとこっちにこられた、おともだちもたくさんできたよ”ってね