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組織の崩壊

お待たせいたしました。

それと一番下の後書きで皆様に質問があります。

「……………」


しばらくの間お互いに沈黙が流れる。


しかしそれはあくまでも口だけでの話。

実際は睨み合っているような険悪な雰囲気がジークと騎士団の中で流れている。


睨み合いにおいてどちらの方が優勢だったのか。


それはジークの方であった。


これだけの兵士の視線を一心に集めながらも、たじろぐ様子は一切ない。

むしろ、数百人の軍勢が一人の男の圧倒的な気配によって押されていた。


そして遂に片方が()を上げる。

どちらが降参したのかというと、それはやはり王国騎士の方だった。


カインは軍馬から降りた。

そして被っていた重厚なヘルムを取る。


「この街の兵士たちが残忍な事をしてしまった事は非常に申し訳ないと思っている。

この通りだ、許してほしい」


そして謝罪をしたのだ。


この国一番の精鋭部隊の隊長が、正体不明の男に頭を下げる。それを見た後ろの兵団に動揺が走った。


だが、ジークとしては別の感想を抱いた。

それは男の容姿からである。


え、なに、こいつイケメンじゃん。


ヘルムから現れたのは美形の男だったのだ。


短髪の金髪に青い目。

歳は20代半ばから後半ぐらい。


先ほどリエルが猛者と言っていたので、どんな厳つい顔が出てくるかと思ったら、まさか自分と歳も変わらなさそうな美形が出てくるとは。


外国人のモデル並みに整った顔。

どう見ても国一番の精鋭部隊にいて良い顔ではない。

思わず自分の顔が渋くなってくる。


なんだこのイケメンは…。

想像と違うんですけど…。

精鋭部隊の人間だったらもっと怖い顔をしているべき、いやしていろ(命令形)。


あちらは謝っているのかもしれないが個人的にこれはマイナス。減点の理由としてこの男の容姿が整っているからという嫉妬点。


俺が女だったら別かもしれないが俺は男。

謝ってはいるもののわざわざこんなイケメンの顔を見せつけてくるのでこれはマイナスなのでしかない。


自分に理不尽な採点を付けられている事はつゆ知らず、カインは話を続ける。


「衛兵や犯罪組織を抑えるためにこの場に馳せ参じたのだが、我々が警戒を怠っていたばかりにこんな事態になるとは…。我々の代わりに組織の首魁を討ってくれて感謝の言葉もない。本当にありがとう」


それは先ほどの態度とは打って変わって、本当に心を込めた感謝。男の人となりの良さが滲み出ているようであった。


「別に感謝は不要だ。

我々も自分の利益のために行った事なのだから」


ジークは適当に言葉を選びながら採点を続ける。


ちなみに今回はプラス。

イケメンで尚且つ性格が良いとすれば大減点なのだが、自分に感謝してくれているのでここはプラスにしておいてやろう。


そんな事を考えていると、


「そうは言われてもこの恩義を水に流すことは出来ない」


男はこちらににじり寄って来て手を差し出す。


おそらく握手を求めているのだろう。


…まぁ別にそんなことは全然構わないけど。

でも俺と手を握ったところで何も出ないけどね。


ジークは神妙な顔をする。


するとあちらは雰囲気で気づいたのか、


「これはとんだ失礼。

私の名はカイン・グラストイラ=シャウデール。

アンデルン王国騎士長兼、第一王国騎士団の隊長だ」


なんか長い肩書きカッコいいっすね。

俺も蒼翠だけじゃなくて適当に名前つけよっかな。


「先ほども言ったように我の名前は蒼翠のフェンリル。よろしく頼むぞ」


「…………」


ん?


こちらも手を差し出すが握ってくれない。

そして彼は何故かこちらの顔を凝視している。


俺の顔に何かついてる?


そう思ってトップハットを触ったところで気づいた。

そう、カインはこちらの素顔を見たかったのだ。


「よければお顔を拝見させて頂けないだろうか?」


そう言ってきた。


しかし残念ながら、この手の質問に対する回答は一つしか持ち合わせていない。


「それは無理な話だ。

我の顔は、我と同じ志を持つ同志のみにしか見せることができないのだ。すまないな」


「そうか…。それは残念だが仕方がない」


カインはやけに大人しく引き下がった。


そして二人は握手をした。


硬い紐が結びつくような力のこもった握手。

ジークの手がブンブンと振り回されるように揺さぶられる。


それほどまで感謝をしているという事なのか。

だったら初めからこのような対応をしてくれれば、この場の緊張も無かったのではないか。


心の中で少し毒付く。


いや、そうではないか。


そう出来ない理由があったのだろう。

この人も立場やら面子というものがある。

おそらくこの人は国の軍事面でトップ、そして今は大勢の部下を引き連れている。


そんな者がそうやすやすと弱みを見せてはいけないのだ。


少数ではあるが自分も組織のリーダーだけに、この男の気持ちが痛いぐらいに分かる。

そしてこれが最後のプラスだった。


「では我々は行こうとしよう。

君ほどの存在ならば心配は不要かもしれないが、後ろの男は侮れない力を持っている。

今は腐敗の力を受けているのでおとなしいが、何か不測の事態になるとも限らない。

あの男は細心の注意を持って連行させた方がいいぞ」


「なるほど、了解した」


「それとこれを」


「これは…?」


カインは謎の結晶を受け取った。


その結晶は毒々しく光り輝いている。

まるで巨大な宝石の塊にも見えた。


「それはあの男の腐敗を和らげる魔法が込められた結晶。あのままでは苦しくてまともに動くことや尋問すら出来ないだろう。それを適量ずつ粉にして塗っていけばあの男の症状も治る。ただ、与えすぎは危険だ。あの男から腐敗の力が抜ければまたあの男は暴れ出すかもしれないからな」


「おお!そんなものを…。

本当に何から何まで感謝する」


「ふん……せいぜい諸君らも頑張るといい。

リエル、こちらへ」


「うん!!」


後ろの銀髪の女性が走り寄ってくる。


フェンリルが僅かに笑ったのを視界に捉えた。

この短い時間で初めて見たその笑顔は口元しか見えなかったものの、少年のような眩しくて爽やかな笑みであった。


そして何より自分の笑い顔と似ていた。


もしかしたら彼は自分と似た存在なのかもしれない。

光の道を歩いているのが自分だとすると、彼は影の道を歩いている自分に似た誰か。


そう思うと急に親近感が湧いて来た。


それをジークは首を傾げるように見る。


何嬉しそうなんだこいつ?

まぁいいだろう。


ジークは口を開く。


「諸君らが何かで苦しんでいる時、私はまた君たちの前に姿を表すだろう。ではさらばだ」


まぁ会う事は無いだろうね。

じゃあねこの国騎士長さんよ。


そんな事を考えながらリエルのムチムチの腰に手を当てる。


フェンリルとリエルは闇の靄とともに消えていった。






唐突な話ですが、叡智(H)なシーンは好きでしょうか?


実は私がこの物語を綴りたくなったのはそういうシーンが描きたかったのです。

そこでなのですが、是非ともそういうシーンが気になる。という方は、今日から三日間の間に下の星から評価、もしくはブックマークをお願いします。


一定の反応が集まりましたら小説家になろう様の、ノクターンズノベルにてたびたび執筆したいと考えています。

是非ともご判断のほどよろしくお願いいたします。

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