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無制限の成長

 ジークが倉庫を漁ること数時間。


結果を先に言ってしまえば大収穫だった。


何が書かれているか分からない古びた書に、ガラス容器に入った色とりどりの謎の液体、何を入れるのか分からない骨董品。

 

使い方は全てわからない。

もう一度言おう、大収穫だった。


そうでも言わなきゃやってられない。


リビングでガラクタ(大収穫)を並べながら、一人ジークは悶々とする。


一体なんなんだ…この液体。

毒薬かな?昔のこの家の先祖は、誰か暗殺とかでもしてたのか…?


それにこの本。


ボロボロになった本なのか書類なのかわからないものをジークは手に取る。


全く読めない。

この世界の字は覚えたつもりだが、目の前の文字は全く分からない。


別に俺のために倉庫にあったわけではない。

でもいざ読めないとなると物凄く憎らしい。


買うんだったらちゃんと読める本買ってこいよ。


100年前までは読めました…とか、そう言う話の問題じゃねーだろ!

文字が違いすぎるんですけど!?

文字が無いマンガの方がまだ分かりやすいわ!!


「ダメだこりゃ」


思わず大の字で床に転がってしまう。


分からないものは分からないのだ。

鑑定する知識もなければ道具もない。

一体どうすれば、こんなものたちを使えるだというのか。


「何やってるのジーク?」


「おぉ!いいとこに来た!」


リビングに入ってきたのはエイラだ。

おそらく農作業の手伝いをしてきたのだろう、肩にタオルを掛けている。


「エイラ!これが分かるか!?」


「えーと…何これ?」


そんなの見れば分かるだろ、ガラクタに決まっている!!


心の中ではそんな愚痴をこぼす。


「おじさんの倉庫から引っ張り出してきたんだけど、全く使用用途が分からない。頼む!手伝って欲しい」


「……分かったわ」


エイラはため息を吐きながらも、なんだかんだ手伝ってくれるようだ。

彼女はジークの隣に座る。


「まず何これ?不気味な色してるけど…」


エイラが手に取ったのはガラス容器に入った謎の液体。


「それはよくわからない。でもたぶん毒薬か、ポーションだと思う」


「毒薬かポーションって、違いすぎるでしょ…。

片方は飲めば死ぬし、片方は飲めば回復できるわよ」


「ポーションには体力回復系と魔力回復系があるけど、もしこれがポーションだとしたら魔力回復系に近い色をしている」


「えっなんでそんなのわかるの?」


だってゲームだと緑は回復の王道の色だろ?

逆に青は魔力とか回復しそうじゃん。


彼女がゲームという存在を知っていれば、どれほど説明が楽だったろうか。


「勘…かな」


「それは当てにならないわね、何か良い方法とかないの?例えば鑑定してもらうっていうのは?」


鑑定?

……かんてい?

かんてい……だと!?


そうだ、その手があったのだ!


彼女の手からポーションを掠め取る。


隣で「何するのよ…」っと言っているが無視だ!


精神を統一するように、ポーションを握った手に力を込める。


彼女の発言でジークは気がついた。

簡単な話だったのだ!鑑定すればこんな事悩まずに済んだのだ。


ただ他人の鑑定を待つには時間も費用も掛かる。

だから自分で鑑定すれば良いのだ!

それらしき魔法を唱えればいけるはずだ!!


幸い自分はステータスオープンの魔法を成功させている。自分の身体を鑑定するように、アイテムの正体を鑑定するのも似たようなものだろう。


似ていて欲しい。


「アイテム分析!」


「えっ!?」


「おぉ!?」


するとなんとポーションの情報が、ステータスの時のように3D化して視覚情報になった。


「凄いわジーク!!」


「ま、まさか本当に出来るとは思わなかった…」


正式名称 魔力快復ポーション(小)

製造 70年前

価値 銀貨3枚


魔力回復ポーションっていうのか。

やっぱり青色は魔力を回復する色なんだな。

それと70年前…古すぎでしょ。熟成されてそう…。


「ねぇ、このポーション銀貨3枚の価値があるの?

売りましょ!」


「売らないよ!」


銀貨3枚って考えたら中々の価値。


つまり、それほど希少価値が高い可能性がある。

いつ手に入るか分からない以上、大事に保管する必要がある。


続いてガラス容器に入った緑色の液体を調べる。

だいたい予想はつくが。


ジークは魔法を唱えた。


体力回復ポーション(小)

製造 72年前

価値 銅貨5枚


まぁ予想通りって感じだな。

やっぱりRPGにとって緑色は回復の証みたいなもんだからね。

これで身体能力強化とか言われたらビビってたわ。


製造年代は大体一緒か。

価値としては、さっきの魔力回復ポーションに比べたらだいぶ下がってるな。


前に街の方でポーションの店を歩き回った時は、確かに魔力ポーションの方が高いっていう印象はあったけど、まさかここまで違うとは。


銅貨5枚を日本円に換算すれば500円。

回復ポーションにすれば、まぁ妥当っちゃ妥当だけど、魔力ポーションは銀貨3枚。

つまり日本円に換算したら3000円。


つまり2500円も値段の差があるということ。


凄いな。


この世界におけるお金いうものは全て硬貨で成り立っている。社会が高度に発達した地球とは違って、この異世界では紙幣などを作ることは難しい。


作ったところで偽札が出回るだけだし、紙幣がお金として価値があると証明できないからだ。


そしてこの世には価値の低い方から、小鉄貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨がある。


小鉄貨が1円だとして銅貨は10円。

より良い硬貨になるにつれて一桁ずつ価値が上がっていくと思えば良い。


そしてそういう考えでいくと、体力回復ポーションはあまり価値が無いと言うことだ。

逆に魔力ポーションはかなりの価値がある。


ポーション系はチラホラまだ数はあるが、後で確認しておけばいいだろう。


それよりも…。

ジークは今日一番で気になった本を手に取る。


これが本命だ。

もしこれがジークの期待するものと一致しているならば、これは物凄い戦力増強になるかもしれない。


「アイテム分析」


そう言うと、本の情報がずらりと表示され始めた。


「こ、これは凄い!」


「えっ?」


「一部傷んだりページが抜き取られたりしてるけど、これは大きい!」


「なんなのそれ!?」


やったぁ!!


思わず走り回って叫んで、踊り散らかしたくなる。


これなのだ。

これこそがジークが探し回っていたもの。


死霊系の図鑑だ。


これがあれば俺が生み出せるアンデッドの数は格段に増やせることができるかもしれない!

俺が夢にまで求めないアンデッドの軍団が作れるかもしれない!!


早速練習だ!

俺がいつも稽古している草原に向かうぞ!!


エイラの手を無理やり引っ張って、家を飛び出した。



△△△△




「ちょっと…ここは?はぁはぁ」


「ここは俺の稽古場所だ、今からエイラには俺の実験台になってもらう!」


そう、エイラを連れ出した場所は毎日自分が練習している草原のど真ん中だ。


さっそく先ほど一緒に持ってきたアンデッドの書を手に持つ。

そしてアイテム分析の魔法を発動する。


凄い…凄すぎる。

俺は世界を征服できるかもしれない。


その図鑑に載ってるアンデッドは二十種類弱。

もしこれを読んで、自分は思いのままにアンデッドを召喚できるなら、自分が召喚できるアンデッドの数は格段に増加する。


「行くぞ、サモンアンデッド(死霊系召喚)、アンデッドベアー!!」


「――えっ…嘘でしょ?」


「まだまだ終わらん。サモンアンデッド(死霊系召喚)、スケルトンアーチャー!!」


二人の前方に、全長2メートル強はあろうか超巨大なクマのアンデッドと、弓を持った10体のスケルトンが出現した。


「凄すぎる!」


やはりもしかしたら俺に死霊系召喚者(ネクロマンサー)の才能があるかもしれない。

これはなによりも嬉しい可能性だ。


「ステータスオープン」


本命 ジーク

種族 人間 男性

年齢 15歳

職業 村人Lv2 死霊系召喚者(ネクロマンサー)Lv2


体力 14

MP 33

力 13

身の守り 10

素早さ 15

賢さ 21


ギフト

死霊系最強化(一日に回数制限)

死者の怨恨(一日回数制限)

死霊系スキル共有


職業のレベルが上がってる。

ネクロマンサーのLvが1上がったし、ステータスも全般的に向上した。


特に伸び幅が凄いのはMPと賢さか、MPは8上昇してるし賢さは6も上がった。


「わ、私こんな化け物の相手できないわよ」


エイラはすっかり怖気付いている。

それも無理はない。彼女は未だに村人Lv1なのだ。


もちろん、彼女は俺の練習に付き合っているわけでは無いし、しょうがないのだが。


だけど、この力を何かに試したい。

そうだ!!


「良いこと思いついた」


「なに?」


「ここから少し離れたところに山があるでしょ?

あそこで実験をさせてもらおうか」


「あの山って、ヒレル山のこと?

あそこは低いとはいえ危険よ」


「それは俺を舐めすぎだね。

見せてあげるよ、禁術師の力を」


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